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紙ノート学習、タブレットよりテスト得点が2割増…立命館大ら共同研究

 コクヨが立命館大学 産業社会学部 岡本尚子准教授と共同で、「紙のノートとデジタル端末であるタブレットの筆記における記憶効果の比較実験」を実施した結果、タブレットに比べ紙のノートの方が、記憶への高い効果が得られることがわかった。

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ノートとタブレットへの筆記における記憶効果の比較
  • ノートとタブレットへの筆記における記憶効果の比較
  • 左上:脈波・皮膚コンダクタンス測定機、左下:呼吸測定機 /右:タブレットで筆記効果の実験をするようす
  • <成績評価>メモ媒体別の暗記テストの平均得点
  • <主観評価>メモ媒体別の暗記テストの平均評価
  • <生理計測評価>メモ媒体別の暗記学習時における脈波
  • キャンパスノートシリーズ (上段左から)キャンパスノート、ドット入り罫線 、(下段左から)ハーフサイズ、フラットが気持ちいいノート(ドット入り罫線)

 コクヨが立命館大学 産業社会学部 岡本尚子准教授と共同で、「紙のノートとデジタル端末であるタブレットの筆記における記憶効果の比較実験」を実施した結果、タブレットに比べ紙のノートの方が、記憶への高い効果が得られることがわかった。また「見返しやすさ」「覚えやすさ」に加え、脈波で測るリラックス度合いとストレス度合いもノートに有意な差が現れることが明らかになった。

 実験対象は大学生(1回目は21名、2回目は19名)。暗記学習を行い、直後に筆記式テストを実施した。筆記による暗記学習において、紙とデジタル端末を比較して、どちらが記憶への効果があるかを検証した。この共同研究は、2024年5月24日の第42回日本生理心理学会大会にて、一部発表した。

 1回目はノート(キャンパスノート)とデジタル端末(タブレット)、2種類の媒体を使用。それぞれ、動画を視聴しながら学習内容をメモし、そのメモを見返したり、書き込んだりして記憶する暗記学習を行い、学習直後にテストを実施した。

 2回目は2.5か月後。同一の参加者が1回目に使用したノートとタブレットそれぞれのメモで復習を行い、再度テストした。

 結果は、成績評価、主観評価、生理計測評価の3つを軸に評価。成績評価は、テストの正解数を指標としている。主観評価は、筆記のしやすさや疲労度、見返しやすさなどを定性的に測定、生理計測評価は、脈波と呼吸、皮膚コンダクタンスなどで測った。皮膚コンダクタンスとは、発汗を手指に取り付けた電極で皮膚の抵抗変化として計測するもので、覚醒度の指標などに用いられる。

 成績評価では、1回目はタブレットに比べてノートのほうが22%、2.5か月後もノートのほうが20%得点が高かった。主観評価でも、ノートのほうが「見返しやすさ」で24%、「覚えやすさ」で28%高く評価された。生理計測評価では、タブレットに比べてノートの方が、リラックス度が高くストレス度が低くいことがわかった。

 コクヨでは1975年の発売以来、定番ノートとして多くの方々に親しまれるよう「書き心地」「使い心地」を追求してきたという。東大生のノートから発想を得た「ドット入り罫線」、狭い机上を有効に使うための「ハーフサイズ」、見開き性を追求した「フラットが気持ちいいノート」などを発売している。

《藤本ゆう子》

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