学校は毅然とした対応を…文科省「虐待対応の手引き」作成

 文部科学省は2019年5月9日、「学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き」を公表した。学校や教育委員会などの関係者が虐待と疑われる事案について、迷いなく対応に臨めるよう具体的な対応方法についてまとめている。

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 文部科学省は2019年5月9日、「学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き」を公表した。学校や教育委員会などの関係者が虐待と疑われる事案について、迷いなく対応に臨めるよう具体的な対応方法についてまとめている。

 総務省によると、2017年度の全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、13万3,778件と過去最多となっている。そのうち、9,281件は学校等からの相談によるもの。文部科学省では、学校関係者が虐待の発見・対応にあたり重要な役割を果たしているとしている。

 一方で、2019年1月に千葉県野田市で発生した事案に触れ、教育委員会が児童の書いたアンケートの写しを父親に渡したこと、写しを父親に渡す際に児童相談所などの関係機関へ相談しなかったことなど、関係機関との連携が不足していた点などを課題としてあげている。また、2019年2月に児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において「『児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策』の更なる徹底・強化について」が決定され、これを受けて文部科学省は、内閣府、厚生労働省と連名で2通の通知を同月に発出。児童虐待に係る情報の管理や学校・教育委員会と児童相談所、警察などとの連携に関する新たなルールを定めている。

 今回公表された「学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き」は、これらの教訓を踏まえつつ作成されたもの。学校や教育委員会などの関係者が児童虐待の対応に留意すべき事項をまとめたマニュアルとなっており、基礎編、対応編1「日頃の観察から通告まで」、対応編2「通告後の対応」、対応編3「子ども・保護者との関わり方、転校・進学時の対応」で構成されている。

 学校・教職員の役割、責務について、虐待の早期発見・早期対応に努めるとともに、市町村(虐待対応担当課)や児童相談所などへの通告や情報提供を速やかに行うことが求められると明記している。また、保護者から情報元(虐待を認知するに至った端緒や経緯)に関する開示の求めがあった場合は、情報元を保護者に伝えないこととするとともに、児童相談所などと連携しながら対応する必要がある。学校が保護者から威圧的な要求や暴力の行使などを受ける可能性がある場合は、即座に設置者に連絡すると同時に、設置者と連携して速やかに児童相談所や警察、弁護士などの専門家と情報共有し、対応を検討することが重要だと記している。

 学校が通告を判断するにあたって、「確証がなくても通告すること(誤りであったとしても責任は問われない)」「虐待の有無を判断するのは児童相談所などの専門機関であること」「保護者との関係よりも子どもの安全を優先すること」「通告は守秘義務違反にあたらないこと」の4つのポイントを伝えている。

 要保護児童等への対応では、要保護児童対策地域協議会への参画、進行管理台帳に登録された幼児児童生徒の出欠状況等の情報提供を行う。要保護児童等が休業日を除き、引き続き7日以上欠席した場合には、定期的な情報提供の期日を待つことなく、速やかに市町村(虐待対応担当課)や児童相談所に情報提供することが必要となる。

 保護者からの問合せや要求について、子どもの一時保護が行われた際に保護者が学校等に押しかけて「学校が言い付けた」「先生を信じていたのに裏切られた」などと言ってくることも考えられるという。そのような場合、「一時保護は児童相談所の判断であり、学校が決定したものではない」など、一時保護は専門機関の権限や責任で行われたことを明確に伝えることが重要だとした。

 また、「親権」を理由に保護者が威圧的、拒絶的な態度をとる場合でも、学校はひるまず子どもの命を守り抜く姿勢で毅然とした対応をすることが重要だと記している。

 手引きでは、虐待リスクのチェックリストや対応のフローチャートなども掲載。実際の対応の際はもとより、研修の実施にあたっても手引きを活用してほしいという。
《黄金崎綾乃》

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