都立学校生徒の探究学習で連携、都教委と東大先端研が協定書締結

東京都教育委員会は2019年9月27日、東京大学先端科学技術研究センターと、「Diverse Link Tokyo Edu(ダイバース・リンク)」の取組みにおける連携に関して協定書を締結した。

教育・受験 高校生
東京大学先端科学技術研究センター 所長 神崎亮平教授(左)と東京都教育委員会 教育監 宇田剛氏(右)
  • 東京大学先端科学技術研究センター 所長 神崎亮平教授(左)と東京都教育委員会 教育監 宇田剛氏(右)
  • 東京都教育委員会 教育監 宇田剛氏
  • 東京大学先端科学技術研究センター 所長 神崎亮平教授
  • 東京大学駒場リサーチ(駒場II)キャンパス
 東京都教育委員会は2019年9月27日、東京大学先端科学技術研究センターと、「Diverse Link Tokyo Edu(ダイバース・リンク)」の取組みにおける連携に関して協定書を締結した。

 東京大学先端科学技術研究センターは、今年で32年目を迎える東大でもっとも新しい附置研究所。研究領域は、「情報」「生物医化学」「環境・エネルギー」「材料」「バリアフリー」「社会科学」の大きく6つにカテゴライズされ、そのもとで40以上の専門分野・部門名を冠した研究室が研究活動を展開している。

 協定書の締結にあたり、東京大学先端科学技術研究センター 所長の神崎亮平教授は「本日は協定を締結できて大変嬉しく思っています。通常、大学は学部があり縦割りで、その中で新しいことを展開していくことがどうしても難しい。分野をまたいで学際的研究を展開する先端研は、ひとつの答えを出す科学技術ではなく、多様な答えを出して多様な人々に対応していこうと、科学技術の中にデザインやアートなど感性を取り入れたり、さまざまなチャレンジをしているところですので、ぜひ活用してほしいと考えています」と話す。

 さらに「東京都の人材育成に先端研が協力できることで、さらに教育・研究を拡大することができるようになり、さらに大きな連携になると考えています。先端研はユニークでパッションのある多様な先生が揃っています。我々の情熱が生徒の皆さんに影響を与え、ぜひ科学技術に興味をもち、日本を背負って立つ人材に育っていってほしいと思います」と、次世代を担う子どもたちとの新しい取組みへの期待を語った。

 今回の連携の最初のトライアルとして、世界最先端・トップレベルの学習機会を提供する特別講座「How to realize sustainable energy systems」を、2019年11月17日(日)に開催。講師には東京大学先端科学技術研究センターの杉山正和教授と、ダイバース・リンクに関する個別の覚書をすでに締結しているクイーンズランド工科大学のIan Mackinnon教授を迎え、再生可能エネルギーに関する、最新の日本の取組みと世界の動向、国際連携の重要性を高校生にレクチャーする。

 太陽光と水素とがどのように発電に関係するのかがわかる最新機材による実演やQ&Aセッションも行う。参加生徒による研究成果のプレゼンテーションも行われ、生徒たちは教授陣による講評を直接聞いたり、Q&Aセッションでディスカッションしたりすることから、より深く多様な考え方に触れ探究学習のヒントを持ち帰り、生徒自身の研究をさらに深める内容となっている。講座はすべて英語で実施される。

 東京都教育委員会 教育監 宇田剛氏は、「ダイバース・リンクは、Society 5.0という新しい時代を生き抜き、牽引することができるグローバル人材を育成することを目的した取組みです。子どもたちには主体的に課題を見出し分析する深い思考力、多様な価値感を尊重しながら協働する力、斬新かつ柔軟な想像力によって解決へ導き行動していく力を育んでいきたいと考えています。そのためには何といっても個々に応じた多様な学びの機会、課題研究の充実や他校生徒との学び合い、高度な大学の先生から教えていただく機会が必要だと考えています。本協定の締結によって、高校生が高度な大学における研究に触れ合える、高校生自身が大学の先生に研究を披露し、意見をいただき、さらに充実していくことができるというのはきわめてインパクトが大きいと思います。」と、東京ならではの取組みのスタートについて喜びを語った。

 ダイバース・リンクとは、東京都が2019年度から構築を進めている学びのプラットフォーム。新たな時代に対応できるグローバル人材を育成するため、高度で創造的な探究学習を社会・世界と連携して提供する。文部科学省の2019年度新規事業「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」に採択された。

 具体的には、東京都教育委員会を管理機関とし、中核となる学校と国内外の多様な機関(海外の教育行政機関、国内・海外の大学や企業など)をつなぐ。中核となる学校は、拠点校が南多摩中等教育学校、共同実施校が白鴎高校・附属中学校、事業連携校が東京グローバル10指定校(日比谷高校、深川高校、西高校、国際高校、飛鳥高校、千早高校、小平高校、小石川中等教育学校、三鷹中等教育学校、立川国際中等教育学校)など。
《田口さとみ》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top