【中学受験2021】安浪京子先生に聞く(2)親のタイプ別、子どもに言ってはいけないこと

 中学受験に向けて親はわが子とどう関わっていくのが良いのだろうか。予約3年待ちのカリスマ家庭教師・安浪京子先生に親のタイプ別の子どもとの関わり方について聞いた。

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【中学受験2021】安浪京子先生に聞く(2)親のタイプ別、子どもに言ってはいけないこと
  • 【中学受験2021】安浪京子先生に聞く(2)親のタイプ別、子どもに言ってはいけないこと
 「共働きで忙しいから塾におまかせして子どもに頑張ってきてもらいたい…」「親としてできるだけのことを全力でしてあげたい…」。中学受験に向けて各家庭で可能なサポートは、マインドやタイプによっても異なる。親はわが子とどう関わっていくのが良いのだろうか。予約3年待ちの超人気カリスマ家庭教師で、多くの大手塾で中学受験生を指導してきた安浪京子先生に、親のタイプ別の子どもとの関わり方について聞いた。

言ってはいけないこと・言ったほうがいいこと



--忙しくて保護者が子どもの塾の宿題などの勉強面をなかなか見てあげることができない、あるいは極力かかわりたくないと考える親が、言ってはいけないこととは何でしょうか。

 まず、子どもを見ていない親が子どもの勉強に口を出す資格はありません。模試の点数だけを見てダメ出しをしたり、塾のクラスが上がらないことをなじったりすることが一番ダメです。「塾へひとりで行って帰ってきているだけでエライ!」という気持ちで関わらないといけません。

--では反対に、言ったほうがいいことや伝えたほうがいいこととはどういったことでしょう。

 勉強のことでは「こんな問題は(ママは)解けないな」「これ解けるんだ、すごいね」など褒める言葉を伝えてください。勉強に関われない場合は「ご飯何がいい」「お風呂はいつ入る」といったような日常のことを気遣うと良いでしょう。

 親が忙しいと短時間で効率化しようとし、あれこれ口を出したくなる気持ちもわかります。しかしそれは我慢してください。コミュニケーションというのは効率化できません。丸付けだけでもやったほうが良いかどうかも、結局は親子関係次第です。良好な親子関係を保ってほしいと思います。

 また、問題集の答えを写すことで勉強をやった気になるお子さんがいますが、それは勉強ではないと親が教えてあげる必要があります。また、カンニングが癖になっている子(第1回の記事を参照)は、親が解答を管理しておくのがお薦めです。

--子どもの中学受験に積極的に関わりたいタイプの保護者の場合、言ってはいけないこととは。

 積極的に関わる保護者がやってしまいがちなことは、あれこれ口を出して子どもを去勢してしまうことです。「次はこれをやって」「スケジュールはこれ」など、教材や時間などを全部管理したり、お膳立てしたりはいけません。先回りしすぎると何も考えない子どもになります。

 常に言われたことだけをしている子どもはハングリー精神が生まれず、思考を停止した指示待ち人間になります。本人が自ら考え、自ら動く力を身に付けられるよう、親は常に意識する必要があります。そうでないと、たとえ希望どおりの学校に合格して入学したとしても、その先つぶれてしまう可能性も高まります。

 また、毎日のように「うちの子どうでした?」など、塾に電話をかける保護者がいますが、漠然と不安をぶつける質問では何の解決にもなりません。具体的に何ができていないかを親なりに分析するなど、子どもの状況を把握して不安な点を整理してから塾に電話をするようにして下さい。塾の先生は非常に多忙なので、そういった事情も考慮し、保護者が先生と良好な関係を築くことが大切です。

--積極的にかかわりたいタイプの親が言ったほうがいいこと、するべきこととはどういったことになるでしょうか。

 指図をせずに、聞くこと、一緒に考えることです。 学校で6時間以上過ごした後にさらに塾に行っているんですから、子どもはとても頑張っているんです。親は常に「時間がない」と不安にかられてすぐ指示を出したがりますが、「今日何かあった?」「何か手伝えることある?」など問いかけて、子どもが答える言葉を聞く姿勢をもってください。

 もしかしたら学校でトラブルを抱えていて、学校でパワーを使い果たして帰ってきているかもしれません。今は学級崩壊、いじめ、友人関係のトラブルなどの悩みを抱えている子が沢山います。お子さんが学校の愚痴を親に言える関係であることが大切です。この良好な「親子関係」がないと、何をするかを「一緒に決める」事が難しくなります。

 また、個人のブログで受験について書いている「ほかの誰かの成功事例」を参考にして、わが子に当てはめるようなことはやってはいけません。あくまでそのご家庭での親子の関係性であるがゆえの成功なのです。

 中学受験生の保護者にご相談いただく度にお伝えしているのですが、「愛情」だけは決して外注できないのです。家庭でできるサポート、ぜひ考えてみてください。

--ありがとうございました。

 親子の良好な関係を保つためには、毎日の生活の中で子どもの気持ちに寄り添う姿勢が大切なのだろう。子どもとの心の距離を空けずに、親だからこそ子どもの変化や成長に気付いてあげられるようサポートしていけると良いのではないだろうか。

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《編集部》

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