【中学受験2021】安浪京子先生に聞く(3)春休み総復習どうすすめる?

 予約3年待ちの超人気カリスマ家庭教師で、多くの大手塾で中学受験生を指導をしてきた安浪京子先生に、春休みの過ごし方について聞いた。

教育・受験 小学生
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 2020年の春休みは、新型コロナウイルスの影響もあって思いがけず長い期間となる。そうした中、家庭学習をどのように進めたら良いか悩んでいるご家庭も多いのではないだろうか。そこで、予約3年待ちの超人気カリスマ家庭教師で、多くの大手塾で中学受験生を指導をしてきた安浪京子先生に、この春の過ごし方や勉強の仕方について聞いた。

やりたいことに集中して取り組める良い時間



--現在、休校・休塾で長時間家にいるお子さんが多いと思います。そうしたときの理想的な学習環境や学習時間、学習方法について教えてください。

 一概にこれといえるものではなく、あくまでもお子さんによると思います。ただし、家にいるからといって極端に勉強時間を増やさないことが大事です。

 大人でも、1日働いて帰ってきてから勉強の時間を取れと言われたら大変ですよね。でも子どもたちは普段、学校で1日5時間から6時間勉強をしてきて、帰ってきてから宿題をやったり習い事に行ったり、塾に行っている子は塾の宿題に通塾と、限られた時間にめいっぱい詰め込んで頑張っているわけです。塾に通っているお子さんにとってこの時期は、適正な時間をかけて勉強できるようになるわけです。ですから時間をかけて問題に取り組むのが良いと思います。

 塾に通っていないお子さんでしたら、この時期は弱点補強を行うのが良いでしょう。科目でいえばやはり算数たとえば1年生だったら、繰り上がり繰り下がりの計算、2年生でしたら九九、3年生は分数といったように、その学年での重点目標となっている内容はしっかりと身に付けてから進級するように準備すると、新学年のスタートがスムーズになります。

 ただし、この期間にたくさん勉強させるぞと欲張って詰め込むのではなく、しっかりと「遊ばせる」こと。外で思い切り身体を動かすのはもちろんのこと、工作や手芸、料理など好きなことに取り組むことです。

 実は、受験でも必要とされる、「思考力」というのは本来、何かに集中するという経験の中で養えるものなのです。突然できた長期休暇のこの時期は、やりたいことを熱中してやる絶好の機会。やりたいことに集中して取り組める良い時間ができた、と捉えて下さい。

抽象概念は時期がこなければ理解できない



--受験を考えるお子さんは新4年生から通塾を始めるご家庭が多いと思います。そうした新4年生の今の段階で身に付けておくべきこと、またつまずきやすいポイントを教えてください。

 まず身に付けるべきなのは学習習慣です。個々の子どもの性質にもよるところも大きいですが、一定時間机に向かう習慣をとにかく身に付けること。これができていないと受験どころではありません。

 学習習慣をつけるために、ルーティンとして毎日計算と漢字に取り組む時間を確保しましょう。小学校低学年からの積み重ね的な部分ではありますが、新4年生の段階ではまだまだ繰り上がり・繰り下がり、掛け算・割り算でつまずく部分のある子が大多数です。これから小数・分数が始まる中で、これらのつまずき部分を少しでも減らしておくことは非常に大切です。

--実際に4年生のカリキュラムが始まってからはいかがでしょうか。

 4年生になると約数や倍数などの学習も始まります。この辺りは4年生が意味を理解するのに手こずり、つまずきやすいポイントといえます。

 逆に、「抽象概念」にかかわる部分には時間を割かないことです。抽象概念は理解に個人差があり、5年生の夏くらいでその子の適正なところに到達するケースが多いです。わからないからといって時間をかけても、理解できないときは理解できない。ところが時期が来るとすっと理解できるようになるのがこの「抽象概念」なのです。

 ですから、それなりの時間をかけて頑張ってもやっぱり根本理解ができないものに対しては、一旦身を引きましょう。ここで勉強が嫌いになってしまったら、元も子もありません。塾は学習内容を学校の教科書よりかなり前倒ししているので、抽象概念にかかわる分野(割合など)を4年生から始めるケースも多いですが、まだ理解が追い付かない子が多いのが現実です。

 これは学力云々ではなく、成長度合いによるものなので、子どもができないと思ったら、今の段階ではこの分野は一旦見送ってほかの分野に時間を割く方がよほど有益です。見送った分野は、入試までに理解できるようになれば大丈夫。そのタイミングが4年生の夏なのか、冬なのか、5年生の春なのかは子どもによります。

 国語の勉強については、4年生のうちは語彙をしっかり増やすことを目標にしましょう理科や社会は、4年生のうちは遊びの延長で地図や記号、星などを覚えるのがおすすめです身構えず、楽しみながら覚えるのがコツです。

子どもの成長を待つスタンスを



--新5年生が今の時期にやるべき学習は何でしょうか。

 5年生になると一気に勉強内容が難しくなり、学習ペースが崩れやすくなります。よって、「いつ・何を・どこまでやるか」の適正量をさぐることが大切です。とはいえ、春期講習が始まりやはり生活はイレギュラーで、家での勉強時間の確保もやはり容易ではありません。

 その中で4年生の学習内容を総復習するのは時間的に難しいので、苦手意識をもっている分野を1つでも潰せたら万々歳です。さらに、理科は「物理・化学・生物・地学」、社会は「地理・歴史」の中で好きな分野・単元を1つ作っておくと、「理科が嫌い」といった科目に対するマイナスイメージを払拭することができます。

--実際に5年生のカリキュラムが始まってからはいかがでしょうか。

 分野特性もありますが、新5年生になると、扱う分野がさらに広がります。基礎問題だけでなく応用問題、発展問題が増えてきます。これらも理解できない場合に、理解できるまで時間をかけ過ぎて頑張ったあげく、その科目が嫌いにならないようにうまくハンドリングしていくことが大切です。

 大事なのは全部を完璧にしないこと。特に割合と速さですね。何度も言うようですが抽象概念の理解のタイミングは子どもによって異なり、塾のカリキュラムどおりに子どもの理解が進むわけではないのです。できなかったらいったん離れましょう。他分野を勉強することにより、考え方に幅が広がります。そのうえでまた戻ると、どれだけ時間をかけても理解できなかった分野が、案外あっさり理解できるようになっています。

 5年生の夏前くらいになれば、ある程度その子の先が見えてくるもの。人間関係などでもまれることが出てくるのがちょうど5年生ごろからです。するとその子の人間力が磨かれます。物事の理解力と人間の成長力はクロスするものですから、5年生の後半からはガラッと様相が変わるはずです。

 でも、塾は個人の成長を見て教えるわけではありません。お子さんの成長度合いを見ての学習内容の取捨選択は、ご家庭でやるべきサポートの部分になってくると思います。

--ありがとうございました。

 今年の長い春休みの期間はいろいろと制約もあるだろう。それぞれのお子さんに合った時間の使い方をしてほしい。有意義で充実した時間を過ごし、満ち足りた気持ちで新学年のスタートを切ってほしいと思う。
《編集部》

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