旺文社教育情報センターは2025年3月6日、「2025年共通テストの結果を総まとめ!」と題した2025年度大学入学共通テストのビジュアルデータ分析をWebサイトに公開した。全体を通じた得点率がほぼ6割と高めの平均点となった試験を振り返り、科目別平均点や出題傾向などを分析している。
「2025年共通テスト ビジュアルデータ分析」は、新課程入試の初年度となった2025年度共通テストの結果について、旺文社教育情報センターが概況とともに、過年度実績からの推移データを示したもの。「全体結果(志願、受験、平均点など)」「科目別結果」「主要科目のスタナイン」で構成している。
全体状況によると、2025年度共通テストの志願者は前年度比0.7%増の49.5万人。6年連続の志願者減少に歯止めがかかったが、旺文社によると18歳人口が109.1万人(旺文社予測)と前年2.5%増の要因が大きいという。追試験の受験許可を受けた者は878人。コロナの影響で過去最多となった2023年(3,471人)から大幅に減少。
現役志願率は45.5%で過去最高、実際に受験した者は46.2万人で受験率(受験者数÷志願者数)は93.3%となった。コロナ禍以降、総合型選抜や学校推薦型選抜ですでに合格している者が、コロナ感染を避けるために「無理して受けない」という欠席者の多い状態は落ち着いてきたとしている。
2025年から出題教科に「情報」が追加され、国立大のほとんどで必須とされた。その結果、国公立大の典型的な共通テストの受験教科は、これまでの「文系型=国+数2+外+地公2+理1」、「理系型=同+地公1+理2」(数字は科目数)の5教科7科目900点満点から6教科8科目1,000点満点となった。共通テストは大きな変更がある年は、平均点が高く出る傾向があり、得点率は2024年の57.7%から、2025年は59.5%と大幅にアップした。
また、受験科目数には大きな変化があった。国公立大の典型的な受験教科が6教科8科目となったことで従来の7科目の受験層が8科目に移行し8科目受験者が激増した。7科目以上の受験者数は前年から1.6万人も増加。新課程になって国公立大志望者は「情報」の追加、数Cの追加、地公の履修単位の増加など負担が増している。当初は国公立大回避で7科目以上の受験者数が減ることも考えられたが、逆に増える結果となった。
2025年の得点調整は経過措置科目も対象となり、6教科22科目間で平均点の比較が行われた(これまでは3教科10科目)。対象科目が多い、新課程で平均点がどう出るのかわからず、得点調整の実施条件も拡大(スタナインを新たに活用)したため、得点調整が行われる可能性は従来より数段アップしていたが、実施されることはなく無事に終了している。
スタナインは各科目の得点分布に応じて受験者の成績を9段階にわけたもの。2021年から大学への提供がスタートし、さらに2025年から得点調整の実施を判断する材料のひとつとして使われるようになった。本来は大学の入試利用を目的に導入されたが、現状では静岡理工科大・情報(コンピュータシステム・データサイエンス専攻)の給費型奨学生選抜、鳥取大・工の総合型IIくらいしか利用されていないという。2026年からは千葉大・国際教養が総合型で利用を開始、2027年には園芸学部にも広げる予定だという。たとえば千葉大・園芸では1次が書類、2次が面接で合格内定者を出し、そこから「スタナインの5教科7科目合計が45以上、かつ理科2科目および外国語が7以上」の者を最終合格者とする、などの使い方が予定されている。
「2025年共通テスト ビジュアルデータ分析」は旺文社教育情報センターのWebサイトで閲覧できる。