東大合格のカギ J PREPが分析する英語と数学の攻略法

 英語塾・J PREPを運営するJ Instituteは2025年2月26日と27日の2日間、東京大学二次試験の問題分析を行う無料オンラインセミナーを開催。同塾の斉藤淳代表をはじめ、経験豊富な講師陣が出題傾向の変化を踏まえながら徹底解剖した。

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J PREP「東京大学二次試験問題分析」
  • J PREP「東京大学二次試験問題分析」
  • J PREP国内大学受験部数学主任講師の那須英和氏
  • 東京大学の数学試験の難しさ
  • J PREP代表の斉藤淳氏
  • 東大 英語試験の総語数
  • 東大入試英語2025 まとめ
  • J PREP国内大学受験部統括責任者の桂侑司氏
  • 東京大学の英語は何が難しいのか?

 小学生から高校生を対象とした英語塾・J PREPを運営するJ Instituteは2025年2月26日と27日の2日間、東京大学二次試験の問題分析を行う無料オンラインセミナーを開催した。毎年、英語の解説が東京大学二次試験の翌日に実施されているが、今年からは数学も加わった。同塾の斉藤淳代表をはじめ、経営豊富な講師陣が出題傾向の変化を踏まえながら、今年の問題を徹底解剖した。

 26日は数学について、今年度の問題や過去問を用いて総合的な特徴と今後の試験対策を解説(J PREP国内大学受験部数学主任講師 那須英和氏)。翌27日は英語について、データ解析の視点から最新の定量分析(代表斉藤淳氏)、続いて豊富な指導経験を生かした定性的な分析と今後の英語対策(J PREP国内大学受験部統括責任者 桂侑司氏)、さらに英語母語話者ならではの視点から効果的な学習法(J PREP国内大学受験部主任講師のTom McCormack氏)などをそれぞれ解説した。

アドミッションポリシーに書かれた東大が求める数学の力とは

 J PREPでは世界で活躍できる人材の育成を目指すにあたり、数学もひとつの言語とみなし、同塾が掲げる5つの力(話す・書く・読む・聴く・考える)を養うための重要な1要素として数学カリキュラムの充実を図っている。その一環として、26日は那須氏が「東大数学試験分析と今後の対策について」と題し、東大の文系数学・理系数学をともに解説した。

J PREP国内大学受験部数学主任講師の那須英和氏

 東京大学が公表しているアドミッションポリシーによると、高校段階までの学習で特に留意してほしいこととして、学習指導要領に基づく基本的な数学の知識と技法をベースに、次の3つの力を求めている。

 ・数学的に思考する力:問題の本質を数学的な考え方で把握・整理し、それらを数学の概念を用いて定式化する力
 ・数学的に表現する力:どのような考え方に沿って問題を解決したかを、数学的に正しい表現を用いて他者が明確に理解できるよう論理的に説明する力
 ・総合的な数学力:幅広い分野の知識・技術を統合して、総合的に問題を捉える力

 J PREPでは、こうした力が身に付くよう、教材や授業を通じてもっとも効果的なカリキュラムを組み立てているという。

「文系数学でも理系並みの論証力が求められる」(那須氏) 

 ここからは今年の問題を見ていこう。

 まずは文系数学だが、2025年度の問題は「『やや難しい寄りの標準』レベルだった」と那須氏は分析した。文系数学は出題4問の範囲がおおむね「微積分+図形+場合の数と確率+その他」になる傾向だったが、今年は珍しく微積分が2問と三角関数、確率漸化式という構成に。特に文系数学で10年ぶりに出題された確率漸化式が「合否を分ける問題になったのでは」と那須氏は見ている。

 「東大数学は、今年度のように急に出題傾向が変わることもあるので、すべての単元を満遍なく学習することが重要。特に近年は、文系数学でも理系並みの論証力が求められ、難易度が上がっている。その背景として、最近人気が高まっている経済学に高度な数学の知識が求められることも一因だが、他の学問分野でもデータの処理や分析など、数学的なリテラシーはもはや必須であり、文系でも数学の勉強は避けては通れない」(那須氏)。

 そして、理系数学も「『難しい寄りの標準』だった」という。「今年度は久しぶりに複素数平面や極限が出題されたが、どの範囲からの出題であっても、東大の理系数学は国内最高峰のレベル。アドミッションポリシーに書かれているとおり、総合的な数学力が求められている」と評価した。

 二次試験での東大数学の合格点は、年度によって増減するものの、5割取るのが目安だといわれる。ところが、多くの受験生がなかなかその得点に至らないのは、東大数学の問題が、他大学で出題例がなく出題が読みにくいこと、見たことのない誘導が多いこと、計算量が多く、高い処理能力が求められることなどが理由としてあげられた。

東京大学の数学試験の難しさ

 那須氏は、東大数学の攻略では、教科書に書かれた基本的な数学の知識と技法を土台にしたうえで、「本質を捉える」「自分で考える」「計算力を高める」の3つの柱が求められるとし、「問いに対して批判的思考をもって本質にたどり着いてほしい。J PREPもそのための支援をしていきたい」と語った。

「東大の英語はリスニングで差がつく」(斉藤氏)

 続く27日には、東大英語の分析が行われた。

 まず、J PREP代表の斉藤氏が、「データは語る 東大入試英語の傾向と対策」について講演。

J PREP代表の斉藤淳氏

 斉藤氏は、英語の入試は基本的に「分量」と「語彙」の2軸で難易度を把握できると述べ、この視点から東大英語を定量的に分析した。

 ちなみに、2025年度の大学入学共通テストで、J PREPの高校3年生は、「英語リスニングが全国平均62%に対して同塾生平均は94%。リーディングは同59%に対して同97%」と満点近い高得点をマークしたという。

分量・語彙の難易度の変化は?

 斉藤氏が東大入試の英語を1921年から2025年まで分析した結果をふまえ、今年の問題を振り返ったところ、総語数は昨年よりも若干減少。リスニングの印刷配布については、807語で横ばい、放送台本が1,584語で横ばい、読解・文法などが3,179語と微減した。

 これについて斉藤氏は、「東大の入試問題はかなり綿密に難易度を管理しており、最近は分量が大きくぶれることがなくなってきた」と指摘。語彙の難易度にもこの傾向が見られることから、「東大英語はかつては分量・語彙の難易度共に年度によってぶれることがあったが、最近は安定している。英検と比較した場合、出題される語彙や必要とされるスピードは、英検準1級~1級の間くらいだ」と分析した。

高1までに英検準1級相当の実力を

 斉藤氏によると、東大英語は「話す・書く・読む・聴く」の4技能を、「書く・読む・聴く」の3技能で測る試験であり、先ほども触れたように語彙の難易度や分量が安定してきている分、リスニングで差がつくという。

 リスニングについては、「例年であれば語彙が英検1級よりも難しいレベルだが、今年は準1級程度に落ち着いていた」というものの、「総合読解問題よりは語彙が難しく、差がつきやすいだけにしっかりと演習を重ねる必要がある」と注意を促した。

 また、東大英語の対策は「目安として高校1年生の終わりまでに英検準1級相当の実力を養成し、高校3年で東大の過去問が9割以上得点できるのが理想」だとし、「東大では授業で読む文献や論文で英語を多用するのはもちろんのこと、大学院進学にはTOEFLが必須になる。これを踏まえ、J PREPでは入学後も円滑に勉強が続けられるよう、長期的な視点に立った総合的かつ実践的なトレーニングを提供している」と述べた。

東大入試英語2025 まとめ

「東大英語には高度な論理力と日本語表現力も必要」(桂氏)

 続いて桂氏が、日本語を母語とする講師の視点から、入試の分析と今後の対策について語った。

J PREP国内大学受験部統括責任者の桂侑司氏

 桂氏は数学の那須氏と同様に、アドミッションポリシーを引き合いに出し、東大は
 ・英語を理解する力(リーディング・リスニング)
 ・英語を用いて表現する力(ライティング、スピーキング)
 ・理解と表現を連動させ総合的に運用する力(考える力)
の3つの力を求めていると述べ、「話す・書く・読む・聴く・考える」という5つの力の涵養をポリシーとするJ PREPと方針が合致するとした。

 東大英語は文系・理系とも配点は120点と高く、合格者平均は約7割。これは多くの受験生にとって非常に高いハードルで、制限時間に対して処理すべき分量が多い中、英語に関するあらゆる技能が問われるうえ、英語力を超えた高度な論理力と日本語表現力も要求される。問題の構成はリスニングを含め大問5問で、試験時間は120分。リスニングの放送時間30分と先読みのための10分を合わせた40分を差し引くと、残りの80分で大問4問を解く必要がある。単純計算すると大問1問につき20分しかなく、桂氏によると「10分単位で時間配分し、取り組みやすい問題から始める」ことが重要だという。

東京大学の英語は何が難しいのか?

東大が求める「英語に関するあらゆる技能」をどう身に付けるか

 次に桂氏は、今年度の東大英語の問題を一部取り上げ、具体的に分析した。

●大問1
 ここは要約と空所補充の問題だ。合計で1,230ワードある大問1は、8分で読み12分で回答するくらいのペースが合格ラインだが、そうなると、約150WPM(WPM:1分間に読む語数)のスピードが必要となる。これは、平均的な高校生の2倍の速度で読まなければならない計算だ。

 また、毎年出題される要約問題だが、文章を要約するには情報を取捨選択し、論理的につないで文章としてまとめる力が求められる。そのため、「そもそも長文読解や精読ができていなければ、要約はできない。要約は高度な技術なので、まずは低学年のうちにしっかりと文法をマスターし、精読をできるようにしてほしい」と桂氏は語った。

 空所補充については、「日本語と英語の文章構造が異なるため、日本語を母語とする人には解きにくい部分がある」と指摘し、「対策としては、英文における基本的な語法・例文の習熟が不可欠」だと述べた。

●大問2
 大問2は自由英作文。ここでは、設問をじっくり読むことが重要だと桂氏はいう。

 東大英語の自由英作文のテーマは抽象系、リアリティ系、描写・解釈・創作系の3パターンがあるというが、「英作文はスピーキングテストの代替にあたるため、英語でプレゼンするかのようにきちんと運用できるかが問われる」(桂氏)。

 いずれのテーマでも対応できるよう、スピーキングも含めて日々の練習を重ねることが重要であり、「書いた作文は添削を受けることが上達の近道だ」と語った。

●リスニング
 リスニングは30点と得点比率が高く、斉藤氏も触れていたように、ここを得点源にすることが合格に近付くカギになる。しかしながら、上達には時間がかかるので、「低学年からコツコツと対策しておく必要がある」と桂氏は強調した。

 東大英語のリスニングは設問量がかなり多いため、先読みして問われている内容をあらかじめ把握しておくことが必須だという。英米ラジオから採録される頻度も高く、こうした傾向を踏まえて練習する必要があるとした。

東大英語で満点(120点)をとるために

 桂氏によると、J PREPの強みは、普段の授業がそのまま入試のリスニング対策になっているところにもある。英語を母語とする講師とのディスカッションなど、アウトプットも強化できる。「日々の学びの中でわからない部分をごまかさずに考えていく、知的な誠実さをもって取り組んでほしい」とアドバイスを送った。

「幅広いジャンルの英語に触れる習慣を」(McCormack氏)

 最後に、McCormack氏が、英語母語講師から見た東京大学入試の特徴について語った。

J PREP国内大学受験部主任講師のTom McCormack氏

 McCormack氏によると、東大英語には特徴として共通のテーマがあり、「テーマを認識することが論題から別の論題へ移行する際の手助けになる」という。

Recognizing the common theme

 今年度の東大英語のテーマは「変化と適応」。それが端的に表れていたのが、試験全体のカギとなった大問1の要約問題だとMcCormack氏は指摘。ここでは脳死および生から死への変容という話題が取り上げられていた。ちなみに、大問3のリスニングでは、環境に適応した蝶について、大問4では検閲の起源と変遷について出題されていたという。

 内容については、「大問1の要約問題がもっとも難しかった」とMcCormack氏は分析する。その理由として、限られた時間で素早く正確に問題文を読み、解答を考えて簡潔に書くことや、文章の論理構造を把握し、正確な文法および語彙の使用が求められることなどをあげた。

 リスニング問題については、以前は実際のラジオ番組やポッドキャストなどから採用されていたが、2022年ごろからは、書かれた文章を改変したものや、独自文章が読み上げられるものが増えてきているという。今回は、地名や方角など豊富な情報が詰まっていたこと、現在形・現在完了形・過去完了形など時制の種類が多く、時系列を把握する必要があったことが難解さの要因だったとした。

 「こうした問題に取り組む際は、情報を把握するためにメモを取ることが重要。また、リスニング力の向上のためには、本物の英語を聞くことが欠かせない」とMcCormack氏は述べ、対策として日ごろから、VOR(米国国営放送)やNPR(米国公共ラジオ放送)などを聞くことを勧めた。

 最後にMcCormack氏は、「東大英語は多様な分野から出題される」といい、「普段から幅広いジャンルの本、特に雑誌をたくさん読み、リスニングの習慣を付け、英文を書く練習をしてそれを添削してもらうことが対策として有効だ」とし、2日にわたる東大入試解説の幕を引いた。

A variety of topics from different fields

英語と数学を言語として学び、考える力を養う

 東大入試直後に開催される恒例のオンラインセミナーは、今年も大好評のうちに幕を閉じた。特に今年初めて実施された数学の解説では、数学が学問の本質を深く理解するための「言語」として、文系理系を問わず英語とともに習得する必要性が示された。

 現代はグローバル社会の公用語である英語が重要性を増していることはもちろん、データ活用が進むうえで数学の素養も求められるようになっている。英語と数学を言語として学び、考える力を養うJ PREPの取組みは、そうした時代の要請を先取りしたものといえ、今後もますます需要が高まっていくだろう。

J PREP 2025年度入塾説明会 申込受付中

 なお、J PREPに通っている生徒の2025年東大合格者は12名(2025年3月14日時点)。合格者の体験記は以下にて読むことができる。

J PREPの2025年 大学合格体験記はこちら
《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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