清水正孝社長は13日の会見で「津波対策はこれまでしかるべき基準に沿ってやってきた」と、今回の事故が想定外の津波によって引き起こされたことを、改めて強調した。しかるべき基準は、「津波評価指針」で明らかにされる。それを定めるのは、土木学会の原子力土木委員会の下の津波評価部会だ。自民党・河野太郎代議士はいう。「このメンバーが津波評価部会だと言われても、とても中立公正に指針が作られたとは思えない」。津波評価部会の構成は今年3月時点で、「委員」と呼ばれるメンバーが主査を含めて26人、「幹事」が幹事長(委員と兼務)を含めて15人、オブザーバー1人の41人で構成される。大学教授などの有識者は8人。経産省、国交省、気象庁の職員が各1人。あとは電気事業者と関連団体、コンサル会社で占められている。東電では、原子力発電所耐震技術チームの土木調査グループ課長が「委員」に、主任か副主任が「幹事」になる。有識者はいずれも大学教授だが、13日の会見では東電と大学の関係も取り沙汰された。「さまざまな寄付口座等も含めて、各大学のご要請、期待に応える形でやらせてもらうことは適切だと思う」(清水社長)。今後も寄付を続けるのかについては「ケースバイケース」だ。こうした関係の中で構成された部会で決定した「津波評価指針」が原発の津波対策の拠り所となっている。「津波の対策はこれまでの知見による指針に基づいている。津波対策の基準のあり方は、当然(※福島第一原発の)事故の評価結果に基づいてしっかり対策が取られるだろうと思う」また想定外の津波がやってきたら、津波評価指針が拠り所となるのかについては、清水氏は「今の段階ではそういうコメントはできる段階ではない」とする。