トヨタ プリウスα 試乗、デザインは甘口なプリウス…千葉匠

『プリウス』と『プリウスα』を瞬時に見分けるのは難しい。並んでいれば一目瞭然で「すべてが違う」のだが、別々に見ると「どっちかな?」。

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『プリウス』と『プリウスα』を瞬時に見分けるのは難しい。並んでいれば一目瞭然で「すべてが違う」のだが、別々に見ると「どっちかな?」。これはつまり、見る人の脳裏に擦り込まれた「プリウスらしさ」のイメージを、プリウスαのデザインが巧く活かしているということだ。

例えばトヨタが「トライアングル・シルエット」と呼ぶ、あえて頂点を設けて三角形っぽくしたルーフラインは、先代から受け継ぐプリウスの特徴だ。それをプリウスαも踏襲する。3列目席の頭上空間を確保するために、実際のルーフラインは頂点から後ろがほぼ水平だが、ルーフサイドに後ろ下がりラインを入れてトライアングル感を表現。ここが、ミニバン・パッケージなのにプリウスに見える最大の要点である。

やや高めのドラポジに座り慣れてしまえば、乗ってもプリウス…ではあるが、増えた車重のおかげでαの乗り心地は本家を凌ぐ。もっと感心したのが3列目の静かさで、フロント席の人たちの声が明瞭に聞こえるから会話に参加しやすい。3列ミニバンにとって、これは大事な性能。プリウスの美点の静粛性が、αではさらにありがたみを増す。

ただ、プリウスらしい先進感はどうか? 左右対称形状のインパネは広々感をもたらす反面、プリウスの宙に浮いたようなコンソールに感じたほどの斬新さはない。ステアリング・スイッチに触れるとそれと同じカタチがメーター内に表示されるタッチトレーサーの新機構も、プリウスαには装備されない。エクステリアのデザインもプリウスほどトンガったイメージではなく、少し控え目で甘口な印象だ。

プリウスの支持層は子供の頃から技術進化と共に育ってきた50代男性がメイン。それに対して子育て世代にユーザー層を広げたいαは、イメージより実利に、そして先進感を強調するデザインから親しみやすい甘口なデザインへ、じわりと軸足を移している。プリウス・ファミリーの第2弾として、まさに相応しいデザインだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

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《千葉匠@レスポンス》

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