大学進学の目的で重視したのは「専門知識・技術の習得」が約2割

 電通育英会は2月27日、京都大学高等教育研究開発推進センターと電通育英会が共催で実施した、全国調査「大学生のキャリア意識調査2010」の結果報告書を公開した。

教育・受験 その他
重視した大学進学の理由
  • 重視した大学進学の理由
  • 授業と授業外で身につけた能力(1年生)
  • 授業と授業外で身につけた能力(3年生)
  • 大学生活の重点
  • インターンシップへの参加(入学前/入学後)
  • 将来の見通し
  • キャリア形成科目の受講
  • 将来設計について
 電通育英会は2月27日、京都大学高等教育研究開発推進センターと電通育英会が共催で実施した、全国調査「大学生のキャリア意識調査2010」の結果報告書を公開した。

 電通育英会は昭和38年3月、財団法人として創設。平成23年4月より、公益財団法人 電通育英会として、経済的理由により修学困難な多くの優秀な学生に対し、奨学金の給付・貸与をはじめ、育英のために必要な各種セミナー、シンポジウム、調査、情報発信などの事業を行っている。平成23年度からは新たな事業として、NPO法人や学内組織など非営利団体が行う人材育成事業への助成を開始するという。

 同調査は大学生の学びと成長に関する一般的動向を把握することを目的に、2007年より3年おきに実施しているもの。今回公開されたのはその第2サイクルの報告書で、全国の4年制大学、医系・薬系6年生大学に通う1年生・3年生(大学1年生 1,328人/男子557 女子771、大学3年生 1,324人/男子533 女子791)を対象に、インターネットリサーチで2010年11月8日〜14日に実施した(調査機関:マクロミル・日本デイリー通信社)。

 公開された調査報告書は、今回の調査におけるアンケート調査の基礎集計結果を掲載している第1章と、前回(2007年)調査との変化をみる第2章、 「学生の学びと成長」という視点から調査結果を分析する第3章からなる。ここでは第1章の調査結果から、主な項目をピックアップして紹介する。

 現在の大学1年生と3年生に、大学進学の目的としてもっとも重視した点を1つ答えてもらった質問では、1年生と3年生ともに、「入学前」は「専門知識、技術の修得」がもっとも多かった。1年生の入学前では「就職に有利」(16.0%)、「就職に必要な勉強をする」(14.1%)、「教養や視野の拡大」(12.1%)と続き、3年生の場合は「教養や視野の拡大」(14.1%)、「就職に有利」(13.9%)であった。

 授業を通じて身についたと考える能力のトップは1年生、3年生ともに上位が「専門分野で研究するための基礎的な学力と技術」、「コンピュータ・インターネット」であり、1年生は「専門外にわたる幅広い教養」、「文章表現力」と続く。3年生では「文章表現力」、「プレゼンテーション能力」と続いている。

 一方、授業外で身についたと考えている項目のトップは、1年生、3年生ともに「他人との協調性」であり、「対話能力」、「忍耐強く継続して物事に取り組む能力」などを挙げている。

 大学生活の重点を、8つの選択肢から1つ選ぶ設問では、1年生、3年生ともにもっとも多く見られたのは「何事もほどほどに」(1年生27.9%、3年生26.4%)、次いで、「勉強第一」(1年生22.5%、3年生23.9%)であった。また、1年生、3年生ともに7割弱の学生が、学生生活が充実していると答えている(1年生64.4%、3年生68.5%)。

 「入学前」にインターシップに少しでも参加経験のある学生は、1年生(28.6%)が3年生(21.0%)よりも高かったが、「入学後」は3年生(30.5%)が1年生7.8%)を大きく上回っていた。

 将来の見通しを持っていると答えた学生は1年生、3年生ともに70%を超えている。将来の見通しでもっとも重要なものについて尋ねた設問では、もっとも多い回答は「仕事」で、1年生が53.7%と、3年生の45.6%を上回っている。将来の見通しがより現実的なものとなりつつある3年生では、「ライフスタイル」や「結婚」、「大学院への進学」などの各項目で1年生を上回っている。

 将来どこまで進学するかは、1年生、3年生ともに約80%の学生が「大学卒業」約15%の学生が「大学院修士課程修了(専門職大学院を含む)」であった。

 キャリア形成科目の受講経験は、1年生が40.0%、3年生は51.5%で、3年生の関心の高さがうかがわれる。資格の必要度を尋ねた設問では、必要と回答した学生は、1年生が84.3%であるのに対し、3年生は71.8%だった。

 就職や将来設計があると回答したのは、1年生、3年生ともに約60%と、大差はなかった。就職・将来への両親の関与は1年生・3年生ともに43~44%であった。1年生、3年生ともに65%の学生は、両親の関与を「よい」と評価している。否定的な評価は約10%と少ない。

 希望する雇用形態についての考え方を5つ提示して、もっとも近いものを1つ選ぶ設問では、「正規雇用の従業員以外は考えられない」という学生が、1年生、3年生ともに6~7割を占めた。

 いつまで仕事を続けるか、リタイアする時期については「定年まで仕事」と、「中断するが一生続けたい」を合わせると1年生62.4%、3年生63.0%に達し、「一生続けたい」を加えると、1年生、3年生ともに80%近くになる。

 大学生にとっていちばん理想的な仕事とは「仲間と楽しく働ける」ことであり、「失業の心配がなく」、「専門知識が生かせ」、「世の中のためになる」仕事だった。「高い収入」は一番大切なことの6位で、2番目に大切なことのトップとなっている。

 仕事と余暇のあり方について「もっとも望ましい」ものを1つ選ぶ設問では、1年生、3年生ともに、「仕事にも余暇にも同じくらい力を入れる」と答えた学生が約半数を占めた(1年生45.2%、3年生48.9%)。次いで多く見られたのは、1年生、3年生ともに、「仕事はさっさとかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ」(1年生22.6%、3年生20.3%)であった。

 「いろいろな人と出会って自分を高めたいか」の問いにもっとも多い回答は「思うが、すべきことを実行できない」で、1年生、3年生ともに過半数に達する。幅広い教養を身に着けることへの行動についても「思うが、すべきことを実行できない」が、1年生、3年生ともに過半数に達している。

 自分の将来の姿についての認識は、1年生、3年生ともに「はっきりとわからないが、見つけようとしている」がトップで、全体の半数に達している。「はっきりとしている」は全体の35%前後で、これも1年生、3年生が同じ傾向であった。
《前田 有香》

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