東京都教育委員会は、平成21年度より3年間、効果の検証等を行ってきた「就学前教育プログラム」および「就学前教育カリキュラム」の3年次の成果をまとめた報告書を作成した。 現在、乳幼児期の教育の課題として「基本的な生活習慣の欠如」「持久力、根気の欠如」「自制心や規範意識の希薄化」など、子どもの育ちの変化や、「人間関係の希薄化」「家庭や地域社会の教育力の低下」など、子どもの保育を取り巻く環境の変化が指摘されている。 また、同委員会が平成21年7月に行った実態調査では、いわゆる「小1問題」と言われる小学校入学当初における児童の学校生活への不適応状況の実態が明らかになった。 こうした課題に対応するため、同委員会は「就学前教育プログラム」を作成。小学校教育との円滑な接続のための保育所、幼稚園などと小学校との具体的な方策を示した。さらに、0〜5歳児向けの「就学前教育カリキュラム」を開発。併せて、平成21年度より文京区と北区をモデル地域に指定し、プログラムおよびカリキュラムの実証研究事業を進めてきた。 報告書によると、プログラムの趣旨を踏まえ、幼児と児童の交流を意図的・計画的に進めることで、幼児は小学校の生活に親しみを持ちながら入学への期待が、小学生は幼児との関わりを通して自尊感情がそれぞれ高められていったという。 同委員会は、今回作成した報告書を都内の保育所、幼稚園、認定こども園に配布。就学前教育の充実に役立ててもらう。