学校での香料自粛要望書を文科省に提出

 化学物質により健康影響を受けている人や支援団体が10月4日、文部科学省に学校などにおける香料自粛に関する要望書を提出した。子どもたちが柔軟剤や洗剤などの香料で、アレルギーや喘息など健康状態が悪化し、望む教育が受けられなくなることを挙げている。

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岐阜市の「香料自粛のお願い」のポスター
  • 岐阜市の「香料自粛のお願い」のポスター
  • 和泉市のポスター
 化学物質により健康影響を受けている人や支援団体が10月4日、文部科学省に学校などにおける香料自粛に関する要望書を提出した。子どもたちが柔軟剤や洗剤などの香料で、アレルギーやぜん息など健康状態が悪化し、望む教育が受けられなくなることを挙げている。

 要望書を提出したのは、香料自粛を求める会、化学物質問題市民研究会、日本消費者連盟関西グループ、反農薬東京グループの4団体。

 内容は、幼稚園や学校などの教員や学校関係者、児童生徒および保護者に強い香りが漂う製品の使用を自粛するように呼びかけること。においのもとである香水、整髪料、柔軟剤、洗剤、シャンプー、リンスなどで、児童生徒がアレルギー症状やぜん息、頭痛、めまいなどの健康障害が起きているという。部活後の同級生の使用する全身ローションの香りで頭痛になった生徒や、化学物質過敏症と診断されて自宅で学習している児童もいるという。

 学校は強い香りをつけてくる場所ではないことを伝えるための具体案として、生徒、保護者向けに香料自粛のポスターを掲示し、関係者に啓発をはかる。行事の案内文書に来校(園)時の注意事項として香料自粛の配慮を求める文書を記載する。児童生徒に香料によって健康被害の可能性について知らせるとともに、都道府県や市町村の教育委員会への啓発などを行う。

 教室内の換気の徹底や、化学物質過敏症やアレルギーなどの配慮が必要な児童生徒が在籍している場合は、当該児童生徒への配慮だけを強調するのではなく、いじめなどの2次的被害が生じないように求めている。

 国民生活センターは9月に、柔軟仕上げ剤の香りで、「においがきつく家族がせきをするようになった」「隣人の洗濯物のにおいがきつくて頭痛や吐き気が起きた」などの相談事例を紹介している。全国消費生活情報ネットワーク・システムにも「柔軟仕上げ剤のにおい」に関する相談件数が増加傾向だという。

 既に、岐阜県岐阜市や大阪府和泉市などの自治体では、「香料自粛のポスター」の掲示を呼びかけ、化学物質過敏症による健康被害の予防と啓発を進めている。
《田中志実》

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