ベネッセ=進研ゼミのイメージを払拭…ベネッセ会長兼社長 原田氏

 ベネッセホールディングスは7月2日、代表取締役会長兼社長 原田泳幸氏による同グループの経営方針についての説明会を開催した。教育事業に関わる部分の概要を紹介する。

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ベネッセホールディングス 代表取締役会長兼社長 原田泳幸氏
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  • ベネッセグループ経営方針説明会
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 ベネッセホールディングスは7月2日、代表取締役会長兼社長 原田泳幸氏による同グループの経営方針についての説明会を開催した。

 原田氏は社外取締役から今年6月の株主総会の承認を経てベネッセホールディングスの会長兼社長に就任したもので、新しい経営方針について自ら説明するという、同社としては異例の発表となった。予定終了時刻を超える会見で、グループ全体の事業方針の説明と質疑応答が行われた。

 冒頭、原田氏は「ベネッセ=進研ゼミと思っている人が多いかと思いますが、このイメージを払拭したい。」と語り、今回の発表ではいくつかの改革を進めていくことを表明した。そのうち教育事業に関わる部分の概要を紹介する。

 原田氏によれば、進研ゼミはベネッセの中核事業ではあるが、そのイメージが強すぎて、他事業の業績がよくても4月の会員獲得数だけで事業を評価されがちであるという。そこで、東京個別指導学院、東大特講などすべての事業について「A Benesse Company」のロゴを付与するCI(Corporate Identity)戦略を開始していると発表した。

 しかし、事業の30%を占め、365万人という圧倒的な会員数(0歳から18歳の日本の子どものうち5人に1人)を持ち独自性も高い進研ゼミは「キャッシュカウ(金のなる木)」である。「赤ペン先生はベネッセの宝」と原田氏が言うように、改革の中でも進研ゼミを最大化する方向で各種塾との連携を強めていくとした。

 そのためには、塾ごと、商品ごとに展開していたマーケティングを統合し、1つのID(会員番号)で複数のサービスを提供できるCRM(顧客管理システム)を導入する。DMも商品・サービスごとではなく顧客ごとに管理され、これまでの会員獲得戦略の路線変更にも言及した。DMでの「『今だけ』『最後のチャンス』といったフレーズは禁句」(原田氏)とのことだ。

 ID連携は塾やゼミにとどまらず、留学、生活、介護などグループ全体のサービスにも広げ、新規獲得よりは継続率、顧客満足度にフォーカスした戦略にするということだ。原田氏は、そのKPIとして「(ゼミ+塾)×継続率×会員数」を掲げ、今後はこの指標でベネッセをみてほしいという。そして「1IDで一生の付き合い」とした。

 また、さまざまな塾やサービスの連携を支援するため、500拠点を目標に「エリア ベネッセ」を展開するという。ここではサービス案内やイベントなどを通じ、ゼミから塾へ、塾からゼミへ、その他サービスへの移行をサポートする。まずは7月を目処に都内に開設し、2015年1月の500拠点を目指す。

 顧客満足度については、タブレット戦略にも見直しが入った。現在進研ゼミが展開しているタブレット付きの通信講座に、デバイスフリーの補助教材プログラムを追加するという。実施は2015年4月からを予定している。開始時点ではiOSのみ対応とのことだがAndroidも順次対応したいとする。無料教材などのキャンペーンも検討している。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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