「ペダルなし二輪遊具」による坂道の事故に注意…国民生活センター

 国民生活センターは7月3日、幼児を対象とした「ペダルなし二輪遊具」による坂道での事故が報告されていることを受け、ホームページで注意を呼び掛けた。実際に坂道を滑走した場合の速度を測定したテスト結果を公表し、安全に使用するための情報提供を行っている。

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ペダルなし二輪遊具
  • ペダルなし二輪遊具
  • ペダルなし二輪遊具の外観的な特徴
  • 坂道での事故の年齢分布
  • 滑走テストの概略図
  • 傾斜6°の坂を滑走した場合の速度
  • 傾斜10°の坂を滑走した場合の速度
 国民生活センターは7月3日、幼児を対象とした「ペダルなし二輪遊具」による坂道での事故が報告されていることを受け、ホームページで注意を呼び掛けた。実際に坂道を滑走した場合の速度を測定したテスト結果を公表し、安全に使用するための情報提供を行っている。

 近年、自転車に乗る前にバランス感覚を養う遊具として販売されている「ペダルなし二輪遊具」は、地面を蹴って走行し足を使って減速するため、ブレーキのないものが主流だという。重量は3kgと軽く、対象年齢は2歳以上のものが多くみられる。取扱説明書では、公道での使用を禁止している。

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、2009年度以降に危害事例が3件見られ、そのうち1件は「4歳児が坂道を下った先で衝突し小枝が顔に刺さった」という重傷に至った事故であった。また、医療機関ネットワークには、2010年12月から2014年4月までに危害事例が18件寄せられ、そのうち坂道での事故が11件(61%)であった。年齢別では、2歳児が4件、3歳児が5件、4歳児と5歳児が各1件であった。

 今回同センターが実施したテストは、「ペダルなし二輪遊具」で傾斜6°および10°の坂道で5mまたは10m滑走した場合の速度を調べたもの。ハンドル固定金具と補助輪を装着した4つの銘柄のものに、3歳児ダミーを乗車状態で固定して滑走させた。

 テストの結果、傾斜6°での速度は5m滑走時に時速9.0~9.5km、10m滑走時に時速13.1~13.5kmとなり、 傾斜10°での速度は5m滑走時に時速12.1~12.7km、10m滑走時に時速17.5~17.9kmとなった。JISにおいては一般自転車の常用速度は時速10~20kmと規定されており、「ペダルなし二輪遊具」が坂道において、わずかな距離でも一般自転車と同程度の速度に達することが確認された。

 また、商品の取扱説明書、注意表示の確認を行ったところ、4銘柄すべてに、坂道や公道など使用が禁止されている場所に関する記載、子どもだけで使用しない旨の注意記載、ヘルメット着用のうえ使用するよう記載があったという。

 これらを踏まえて、消費者へは「坂道では絶対に使用させない」「取扱説明書の内容をよく確認する」「慣れた場所でも保護者等が立ち会い子どもから目を離さない」などのアドバイスを、業界へは「保護者等がより危険性を理解できるよう一層の啓発活動を」と呼び掛けている。
《荻田和子》

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