iPhone 6/6 Plus所感、軽快な操作性・本格的カメラ機能など

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購入待ちの人たちでごった返す、東京・銀座のアップルストア
  • 購入待ちの人たちでごった返す、東京・銀座のアップルストア
  • 左からiPhone 6、iPhone 6 Plus
  • iPhone 6 Plusは画面を横向きにでも利用できる
  • ディスプレイ面からサイドフレーム接合部の丸みが見事にツライチで美しい
  • 背面はスチール素材を感触良く仕上げている
  • ホームボタンをダブルタッチで画面が半分下がって来る。これによって片手操作も可能になる
  • iPhone 6はこれまでのiPhoneデザインと一貫性がないという声も聞こえるが、じつは初代iPhoneのDNAを継承しているのではないか(写真は2007年発売の初代iPhone)
  • 2007年発売の初代iPhoneは、背面がスチール素材で、仕上げ方も今回のiPhone 6によく似ている。周囲に丸みを持たせているところも初代に通じている
 いよいよ9月19日より、iPhone 6/6 Plusが販売開始された。この日に発売を開始したのは米国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、香港、日本、プエルトリコ、シンガポール、英国の10カ国。このうちわが国は日付変更線に最も近いことで世界で最も早くiPhoneを入手できる国である。

 毎年、このiPhoneの発売時は、アップルストアをはじめ、各キャリアの旗艦店にはいち早くiPhoneを入手しようと、iPhoneの熱烈なファンを中心に泊まり込みを含む長蛇の列ができる。しかし今年の場合はSIMフリー版をアップルストアで入手できるということもあり、また世界ではまだ未発売の国も多い上に、円安の影響もあってか、外国人(とくに中国圏の人たち)もこの行列に加わり、例年とは違う様相を見せた。それほど、世界中から注目されている新型端末というわけだ。

 ともあれ、第8世代となるiPhone 6/6 Plusをさっそく手したので、そのファーストインプレッションをお届けしたい。


■その質感や仕上がりは実物を手にしなければ分からない

 筆者はあいにく米国での発表イベントに参加できず、これまでウェブにおける情報でしかiPhone 6/6 Plusに関する情報を得られることができなかった。対応周波数帯域などの話題にはすでにこのコラムで触れているが、実際の端末のサイズ感や仕上げにかかわる質感などはどうしても画像や動画では実感が湧かず、発売を心待ちにしていた一人だ。

 端末デザインを見ていくと、特筆すべきはディスプレイ面の周囲がフレームの金属部分とまるで接合しているように美しい角R(角の丸み)を描いて馴染んでいる点だ。かつて、音声通話しか機能が無かった時代の携帯電話は、メーカー同士で差別化を図るとしたら、その筐体デザインとユーザーインターフェイス(昨今はユーザーエクスペリエンスと言われることのほうが多いが)で選択するしかなかった。いかに手に馴染む形状で端末をデザインするか、さらに端末の個性をアピールするべくいかに美しいボディラインを描くかといったことを競っていたものだった。こうした競争が、スマホにおいても機能で差別化が図りにくい時代となった今、スマートフォンメーカー同士で同じこと(デザインによる差別化)が繰り広げられるようになっている。そういう点で、やはりアップルの端末デザイン志向はユーザーによって好き嫌いがあるにせよ、他の端末メーカーから一歩抜きん出て、シンプルながらも美しさをしっかり追いかけているように感じる。美しいボディライン、とくにディスプレイからフレームにかけての曲線はいくら眺めていても飽きない。

 iPhone 6で最も気になっていたことは、これまで一貫して4インチクラスのディスプレイサイズにとどめ端末幅も59mm程度に収めることで、iPhoneならではの使いやすさを一貫して訴えてきたアップルが、果たしてこの大型化した6や、さらに6 Plusでどのようなマジックを使って、これまでのiPhoneユーザーにサイズ感を納得させるのかを知りたかったことだ。

 まずiPhone 6に関しては、ひと回り大きくなった筐体でありながら、若干本体の厚みが薄くなったことと、端末周囲の角を取ったことで、握った感じでは本体が大きくなっていることをあまり感じさせないデザインとして上手に仕上げられている。昨今のAndroidスマートフォンでは主流となったサイズでもあるが、実際にはそれらよりも小さく感じられほどで、iPhoneならではの手に馴染む感覚は6でもしっかり継承されている。また、これまで一貫して端末上部にあった電源ボタンが、このiPhone 6/6 Plusからは端末右側面上部に移設された。これも、端末サイズが大きくなったことに伴って、より操作しやすい位置に移設したということだろう。

 ディスプレイを大きくしたことで、片手で操作しにくくなる懸念を抱いていたが、そこはハードウェアとOSを一緒に設計し提供しているアップルだけあり、ソフトウェアのギミックで操作性をしっかりカバーしている。ホームボタンをダブルタッチすることで、ディスプレイ表示が半分下に下がり、それによって最上段のアプリアイコンに親指でタップすることが可能になる。この機能はすべてのアプリで有効で、たとえばSafariでURLを入力する際に、同様にホームボタンをダブルタッチすれば、URL入力窓、あるいは検索窓に親指が届くようになる。ダブルプッシュすると起動中のアプリが一覧表示になるが、画面を下げたい時はプッシュするのではなくタッチするという、新しいギミックが盛り込まれた。


 iPhone 6/6 Plusの端末クオリティの高さは文面で説明するにはどうしても限界がある。こればかりは実端末を触っていただかないと伝えることは難しそうだ。それでも少々極端な例えをするとすれば、たとえば自動車を見た場合、国産車と輸入車ぐらいの違いがあるというと分かりやすいだろうか。決して国産車を卑下するわけではないが、テレビコマーシャルを見る限り国産車も輸入車も、見た目はそれほど違いが感じられない。しかし、実際に車両に乗ってみると、国産車は言ってみればテレビコマーシャル通りなのだが、輸入車はカタログや動画画像だけでは伝えられない、触ってみて、運転してみて分かる質感や満足感が得られるものが多い(その分、高価になるのだが)。また、モデルチェンジのたびに大きくデザインの意匠が変わってしまう国産車に対して、輸入車はモデルチェンジしても、そのメーカーの自動車であることが一目で分かる一貫したアイデンティティがある。これがiPhoneでも言えるような気がする。iPhoneのアイデンティティについては、また後述する。

 すでに各キャリアの店舗や量販店には実機も並び始めると思うので、実際に手に取って一段と質感が向上したiPhoneをまずは体感していただきたいものだ。


■とくにカメラ機能は一段と楽しめるようになった

 まだ入手してからわずかな時間しか端末に触れていないが、端末サイズを大きくしたという外観上の特徴のほか、やはり基本的なスペックも確実に向上させていることを感じる。

 まずカメラ機能だが、iPhone 5sのカメラ機能も十分にクオリティも高く、必要充分な機能が備えられていたが、iPhone 6/6 Plusでは、もはや「カメラ/動画撮影機能を本格的に楽しめる」ほどのスペックと機能を備えるに至っている。たとえば静止画撮影の際に、ピントを合わせるAF(オートフォーカス)速度が確実に向上している。体感的には、iPhone 5sの倍ぐらいのスピードで焦点が合うようになった。また、そこでシャッターを切る前に指でディスプレイ面を上下になぞると、被写体の明るさの調整もできるようになった。たとえば背景と被写体で明るさが極端に異なるような被写体の場合、背景に露出が合ってしまって肝心な被写体が明るく飛んでしまうようなシチュエーションでも、この機能を使えば適切な明るさで撮影が可能になる。

 光学式の手ぶれ防止機能は、ジャイロスコープも用いることで一段と性能向上させている。iPhone 5sとの差は、たとえばパノラマ撮影した際に、これまでは手ぶれで撮影画像に上下のぶれが見られることがあったが、iPhone 6/6 Plusでは上下にずれの無い美しいパノラマ画像が撮影できる。さらに手ぶれ補正は動作撮影でも有効で、歩きながら動画撮影するというようなシチュエーションでも、まるでムービー用三脚を用いて移動しながら撮影したかのような映像を手持ちで撮ることができる。

 また本体内側に備えられているFaceTimeカメラ(インカメラ)もレンズの明るさはF2.2相当となり、HDRにも対応し、自画取りが一段と楽しめるようになった。もちろん、動画撮影にも対応している。撮影後、画像をプレビューした際には、そのまますぐに画像編集、画像加工に移れるようになっている。

 ディスプレイ表示自体も、アップルがMacやiPadで採用してきたRatinaディスプレイをいよいよiPhoneにも搭載してきただけあって、iPhone 5sよりもさらに美しい画像や動画を表示できるようになった。これはコントラスト比が一段と高まったこと(黒い部分はより黒く、白い部分はより鮮やかに)に加え、ディスプレイ視野角が従来のディスプレイ比で2倍に向上したことにもよる。つまりディスプレイ真正面からだけではなく、iPhoneの左右からでもディスプレイが見える角度がより広がったことで、どの角度から見てもディスプレイが華やかに感じられるのである。視野角の向上は、周囲の人にディスプレイを覗かれることを懸念するわが国のユーザーの場合、あまりありがたいことではないのかもしれないが。


■端末のサクサク感も一段と向上

 端末操作での、いわゆる「サクサク感」もこれまでのiPhone以上の軽快感を感じる仕上がりになっている。これは搭載されているA8チップの性能によるところが大きい。iPhone 5sで搭載されていたA7チップに比べ、速度は25%アップ、グラフィック描画性能は50%アップと公表されている。さらに、LTEネットワークの持てるポテンシャルを一段と有効活用できるよう、通信機能部分の向上もiPhone 6/6 Plusのサクサク感に貢献しているといえそう。

 iPhone 5sでは、13のLTEバンドに対応(それでも当時のスマホでは対応周波数帯は最多といえた)していたが、iPhone 6/6 Plusでは、さらに対応周波数帯が増え20ものLTEバンドに対応となった。日本国内では、auとソフトバンクにおいては新たに2.5GHz帯TD-LTE方式を活用できるようになった(KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供するWiMAX 2+と、ソフトバンクグループのワイヤレスシティプランニングの提供するAXGPでソフトバンク4Gとして提供中)。これまでのiPhone以上にLTEで通信できるエリアは拡大したことになる。

 その上、複数の帯域のLTEバンドを束ねて通信することで、通信速度をより向上させる「キャリアアグリゲーション」にも対応。最大の通信速度は下り150Mbpsとなる。現状はauのみが提供しているが、順次NTTドコモやソフトバンクも対応する。対応LTEバンドの増加や、キャリアアグリゲーションのような技術の応用はもちろんのことだが、iPhone 6/6 Plusならではのこのサクサク動く軽快感は、やはりネットワークとハードウェア、そしてディスプレイ上に情報を表示させるソフトウェアが一体となってユーザーに体感をもたらすものである。やはりハードウェアとOS(ソフトウェア)の一体設計がなせる技といえよう。そこにアップルがiPhoneで長年蓄積した世界のモバイルネットワークとの接続に関わるチューニングの上手さがあるのだろう。

 また、LTEネットワーク上で音声通話を実現させる技術「VoLTE」にも対応している。これはNTTドコモが先行して導入しているが、auやソフトバンクも今後対応して行くはずである。VoLTEを使うと、音声通話品質が格段に向上する。ただし、以前、筆者は独自に通常の音声通話同士、VoLTE同士、FaceTime同士で音声通話品質を比べるテストを試みたことがあるが、これは意外にもFaceTimeによる音声通話(LTEネットワークを使用)のほうがVoLTEと同等か、それ以上に音声品質が良かった。これはご参考までに。

 なお、Wi-Fiは最大433 Mbpsのスピードで動作する802.11ac規格に対応、Bluetooth 4.0も搭載しており、Wi-Fiの通信速度もiPhone 5s比で最大3倍近く向上している。各通信キャリアが音声通話定額&パケット従量制プランに移行している中で、今後はデータ通信も使用量を意識しながら使う必要が出て来る。そこで期待されているのがデータ通信量の制限にカウントされないWi-Fiへのオフロードということになるが、Wi-Fiの利用でも最新の通信方式にしっかり対応しているので安心というわけである。


■端末デザインのルーツは意外なところにあった

 これまでiPhoneは、2年ごとのフルモデルチェンジと、その間の年にマイナーチェンジを行うという形で進化を続けてきた。フルモデルチェンジごとにそのデザインはより洗練度を深めてきた。しかし、端末デザインにはそれなりの一貫性を持たせ、一目見て「iPhone」とわかるアイデンティティを貫いてきた。今回フルモデルチェンジとなったiPhone 6/6 Plusは、iPhoneらしさが失われたのではという声も聞く。端末サイズを大型化させたことに一因があるのかもしれないが、筆者はiPhone 6/6 Plusを実際に手にして、改めてアップルがiPhoneとは何たるかを問うモデルというと同時に、iPhoneアイデンティティの原点に回帰したようにも感じるのである。

 このiPhone 6/6 Plusを最初に一目見て「何かに似ている」と感じたのだが、それはずばり「初代iPhone」だ(2007年に米国で発売、日本は未発売)。端末背面の金属素材の仕上げ感や、端末周囲のRなどが、そのまま初代iPhoneのデザインに通じるものを感じたのである。

 iPhoneが発売され、それにより世界の携帯電話市場はスマホに大きくシフトし、世の中をすっかりと様変させた。それほど世界に大きな影響を及ぼしたiPhoneだが、その初代iPhoneが登場してすでに7年という時を経た。今や主要国ではスマホ市場も十分に成熟し、一段落したというタイミングであろう。iPhone 6/6 Plusはここで改めて、スマホが人々に果たす役割は何なのかを考えるべく、次の一手(Apple Watchなどウェアラブル端末とスマホが連携する時代に向かうのだろう)を打つタイミングで、人々の手中にある端末がどうあるべきかを再考したのではないかと考える。そんな中で、気がつけば端末デザインも原点回帰していたのではないかと勝手に勘ぐっている。

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第60回 iPhone 6/6 Plusファーストインプレッション……貫かれたアイデンティティ

《木暮祐一@RBB TODAY》

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