トイレ大改修、100円朝食、包括的支援…学生に寄り添う聖学院大学の取組み

 聖学院大学(埼玉県上尾市)では、トイレの大規模改修や100円朝食の実施、さらに悩み相談、キャリア相談など、さまざまな分野の専門家が連携して、学生生活をハード・ソフトの両面から包括的にサポートしている。

教育・受験 学校・塾・予備校
「トイレプロジェクト」では女子学生の意見を取り入れた
  • 「トイレプロジェクト」では女子学生の意見を取り入れた
  • 丸みを帯びたデザインが印象的な新装女子トイレ(2号館2F完成予想図)
  • 男子トイレも改修。男女ともにフィッティングボードを設置(2号館3F完成予想図)
  • 100円朝食について語る森野光生氏
  • 100円朝食のポスター
  • 100円朝食では和食と洋食を用意
  • 学食のようす
  • 「学生総合支援ネットワーク」を担当する相川章子教授と西八條平和氏
◆100円朝食で新学期のスタートを支援

 朝食をとらない若者の増加が問題視されており、学食で朝食サービスを開始する大学が話題となったが、聖学院大学でも2014年度、1時限目が始まる前に学食で朝食を食べられる「100円朝食」をスタートさせた。

 春学期が始まる4月7日、秋学期が始まる9月22日からそれぞれ3週間の期間限定で実施されるが、担当する管理局次長の森野光生氏は「本学には2時間以上かけて通学する学生も多く、家で朝食を食べてくることが難しいケースもある。また下宿生はどうしても生活が不規則になりがち。バランスの良い朝食をワンコインで提供できれば、学生たちは頭も身体もシャキッとした状態で授業に打ち込め、スムーズに新学期のスタートを切れる」と言う。和食、洋食2種類を提供しているが、用意した朝食がほぼ完売と好評だ。

 「普段はコンビニでおにぎりやサンドイッチを買うことが多かったが、わずか100円でバランスの良い食事がとれて嬉しい」「できたての温かい料理が食べられて心がホッとする」など、学生たちの評判は上々。同期間に実施されている図書館の早朝開館と組み合わせて利用し、レポートを仕上げる学生もいるようだ。

◆学生のさまざまなニーズにワンストップで対応

 「面倒見が良い大学」(サンデー毎日等)で6位にランキングされた聖学院大学。これまでの学生サポートをより充実させるために2014年、「学生総合支援ネットワーク」をスタートさせた。

 新学長の方針のもと、学長補佐(同ネットワーク所長代行)で、精神保健福祉士でもある人間福祉学部 人間福祉学科の相川章子教授らが中心となり、学費、身体や心の悩み、課外活動、学業や資格、就職など、学生が抱えるさまざまな相談や悩みに対し、それぞれの学部学科や各部署の教職員が横断的に連携してサポートする体制を作り上げた。

 「もともと本学では生徒と教職員の距離が近く、あらゆる面で学生をサポートしてきました。しかしこれまでは、目の前の学生の個別対応で終わっていました。昨今、大学生の悩みは多様化・複合化しています。複数の分野の専門家とともに、これまで関わってきた教職員が学生の情報を共有し、連携・協力してサポートする必要がでてきています」と相川教授は言う。

 たとえば、学業が伸びないという学生の悩みを突き詰めると、バイトによって学習時間が確保できていない。なぜアルバイトをしなければならないかを突き詰めると生活費や学費の問題に行き当たる。この場合、学業についてだけ支援しても問題は解決しない。複数の部署等が連携して包括的に学生を支援することが必要だ。

 また同時に、障がいのある学生を支援する「オリーブデスク」もスタートさせた。

 すべての相談は、ヘルプデスクで一括して受け付ける。学生は「どこに相談したらいいのだろう」と悩まず、ひとつの窓口に行けばしかるべき相談先につなげてもらえる。窓口一つでさまざまな悩みが解決できる「ワンストップサービス」となっていることが特徴だ。

 「どんな相談にも『それはうちの担当じゃない』と突き放すことは決してしません。かといって、手取り足取り面倒を見るのではなく、ここに行けば解決できるよと方向性を示して、あとは学生が自主的に行動できるよう促しています」と学生課 担当課長の西八條平和氏。単に面倒見が良いだけでなく、学生たちを見守りながら育てる、“伴走型の支援”を目指している。
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top