小中一貫教育支えるコミュニティ・スクール設置促進を提言

 コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議は小中一貫教育を推進する上での学校運営協議会の在り方について(第1次報告)を公表した。コミュニティ・スクール設置について、課題や成果、今後の方向性などを具体的に紹介している。

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 コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議は小中一貫教育を推進する上での学校運営協議会の在り方について(第1次報告)を公表した。コミュニティ・スクール設置について、課題や成果、今後の方向性などを具体的に紹介している。

 同研究者会議は千葉大学教育学部教授の天笠茂氏を座長に、教育員会の教育長、小学校校長など19人で構成。中央審議会では小中一貫教育の制度化および総合的な推進方策について審議がされている。現在、多くの地域で小中一貫教育の取組みが進められているが、保護者や地域ぐるみで子どもたちの9年間を支える環境整備を必要とし、中学校区を運営単位としたコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の在り方を議論してきた。今回の報告は、中学校区内の複数の小・中学校で一体的な学校運営の設置を促進するよう提言するもの。

 文部科学省が平成26年に実施した「小中一貫教育等についての実態調査」では、小中一貫教育を実施している学校で、地域や保護者との協働関係を強めることを目的にコミュニティ・スクールを導入している学校は15%、コミュニティ・スクールの組織を小・中学校合同で設けている学校が7%、コミュニティ・スクールの導入に向けた検討を行っている学校が4%だった。

 今回、中学校区を1つの運営単位としてコミュニティ・スクールを組み合わせることで大きな成果をあげている学校の事例を紹介している。事例の1つとして、小・中学校で「学園」を構成し、小中一貫教育を推進。各学校に学校運営協議会を置き、学園単位の合同会議を開催し、学園としての目標等を共有する。学園の運営状況について学校関係者の評価を行い、部会(支援部、地域部、評価部、広報部等)を設けて学校支援活動を実施していく。

 合同会議を開催することで、学園で子どもを育てていく意識が地域の人たちで共有され、学園としての一体感や小中一貫教育の視点で学園運営の意見をもらえるという。ほかにも、コミュニティ・スクールとなった学校で、学校運営協議会の委員から、小中一貫教育を積極的に進めてほしいといった声が出て、実現に向けて動いている事例もある。

 今後は、複数の学校で一体的な学校協議会の設置を促進していく。課題となっている協議会の負担や人材確保の困難などは、複数の学校で設置することで会議を個別・合同で開催する必要はないので、学校や委員の負担を軽減させて効率的・効果的な運営が臨めるという。

 さらに、教育委員会は学校と地域の信頼関係や連携・協働体制の構築が進むよう、コミュニティ・スクールの設置を促し支援することが求められる。学校や学校運営協議会委員等に対してイニシアティブを発揮して積極的な指導・支援を行っていくことが期待される。

 報告では、小中一貫教育のねらいや成果、地域と保護者との協働関係を強めることを目的に取り組んでいること、コミュニティ・スクールにおける成果や課題などの調査結果も取り上げている。
《田中志実》

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