特効薬のないRSウイルス感染症、症状と対処…乳児の感染に注意

 国立感染症研究所(NIID)は、RSウイルスを病原体とする乳幼児に多い急性呼吸器感染症「RSウイルス感染症」について注意を呼びかけている。RSウイルス感染症は例年夏頃より流行が始まり、秋に入ると患者数が急増する傾向がある。

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  • 国立感染症研究所
  • 厚生労働省「感染症情報」
 国立感染症研究所(NIID)は、RSウイルスを病原体とする乳幼児に多い急性呼吸器感染症「RSウイルス感染症」について注意を呼びかけている。RSウイルス感染症は例年夏頃より流行が始まり、秋に入ると患者数が急増する傾向がある。

 国立感染症研究所によると、RSウイルス感染症はRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする乳幼児に多い急性呼吸器感染症。潜伏期は2~8日で、4~6日が多いとされている。生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%がRSウイルスの初感染を受けるが、初感染による免疫は獲得されない。

 初感染の場合、症状として「発熱、鼻汁などの上気道症状の出現後、気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現」する場合が多いという。また、新生児や生後6か月以内の乳児や免疫不全者、高齢者は症状が重症化しやすい傾向にあるため、注意が必要。RSウイルス感染症に特効薬はなく、治療は基本的には症状を和らげる対症療法が行われる。

 2015年は8月下旬から患者報告数が増加しており、2015年の患者報告数を地域別にみると、報告数上位3位の都道府県は福岡県・鹿児島県・山口県に始まり、9月16日現在では東京都や大阪府でも増加している。患者報告数増加の流れは、例年同様に南・西日本から東日本へ流行が推移しているという。2015年のこれまでの累積報告数を年齢群別に集計すると、0歳が43%ともっとも多く、次に1歳が34%、3歳以下が全体の95%、5歳以下が99%と続く。

 おもな感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛まつ感染と、ウイルスの付着した手指や物などを介した接触感染のふたつ。厚生労働省が2014年に公開した「RSウイルス感染症Q&A」によれば、感染予防には子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗い、またはアルコール製剤による手指衛生が効果的。

 感染症や予防接種情報は、厚生労働省Webサイト「感染症情報」で確認できる。0歳から2歳児や高齢の家族の感染に十分に注意したい。
《佐藤亜希》

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