小学館の幼児教室 ドラキッズ、幼児向けプログラミング授業スタート

 小学館集英社プロダクションが全国展開している「小学館の幼児教室ドラキッズ」で、年少~年長を対象としたプログラミングカリキュラムの導入を始めた。

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ブロックをつなげて完成
  • ブロックをつなげて完成
  • 真ん中のソビーゴくんをブロックで作ったプログラミングどおりに動かす
  • コンピューターの中に入った子どもたち
  • 上手にブロックをドラッグしてプログラミングを作っていく
  • ソビーゴくんの冒険のはじまり
  • 友だちと2人で相談しながらブロックをつなげていく
  • お友だちと2人1組で試行錯誤していく
  • みんなの前で発表会
 小学館集英社プロダクションが全国約200教室を展開する「小学館の幼児教室 ドラキッズ」では、年少~年長を対象とした通常クラスの授業内容にプログラミングカリキュラムの導入をこの2月より始めた。「ソビーゴこどもブロック プログラミング」(ワイズインテグレーション)を教材に、iPadを使い、プログラミングを学べるとあって、多くの保護者の注目を集めている。

 4月28日、ドラキッズ 流山おおたかの森S・C教室(千葉県流山市)で行われたプログラミングカリキュラム第1回目の授業風景を取材した。子どもたちがどのようにプログラミングを学んでいくのか、そのようすを紹介する。

◆年齢に合わせた6つのクラス

 ドラキッズ幼児コースには、満1歳~年長の年齢に合わせた6つのクラスが用意されている。今回取材したのは、4~5歳が対象の「Class 4(クラス・フォー)」と5~6歳が対象の「Class 5(クラス・ファイブ)」。両クラスとも、担当は宮崎(立つ崎、以下同様)美賀子先生、森田朋子先生。いずれも、笑顔が優しい子どもたちに人気の先生だ。

◆4~5歳は「意欲をつくる一年」、工夫しながら学ぶ

 Class 4は、「意欲をつくる一年」と位置づけられ、「自分の周りや社会を見る目を育てる」「自分で、みんなで、工夫しながら学ぶ」ことを目標にしている。プログラミングカリキュラムにおいても、その目標のもとで授業は進められている。全4回のうちの第1回目はブロックを使って、プログラミングの基本的な考え方を知り、それをお友だちと一緒にiPadで確認する内容だった。

 「こんにちは!」。元気に挨拶をしながら教室に入ってきた子どもたちは、机の上に置かれたブロックやiPadを覗き込み、早くもわくわくしているようす。「今日は何をするのかというと…」と子どもたちの顔を見回す宮崎先生。「ブロック遊びじゃないの。かっこいい言葉でいうと“プログラミング”っていうの」と話す先生に、何かいつもと違うことが始まる予感で子どもたちは大注目。続いて、宮崎先生はコンピューターとプログラミングの関係をわかりやすく解説する。

 何が始まるのか子どもたちが見つめるなか、先生たちが各テーブルにブロックを置いていく。ブロックで遊びながら、プログラミングの考え方を自然と学ぶステップだ。コンピューターを思ったとおりに動かすための指示書ともいえるプログラミング。ブロックを組み合わせることで、どのように指示をすればコンピューターが動いてくれるのかを理解していく。

 色とりどりのブロックを前に、色ごとにブロックを整理して並べる子もいて、早くも子どもたちはブロックに夢中。そんな中、先生は、まずはブロックにデザインされた記号の意味を一つひとつ確認する。「緑に書いてある矢印は?」との先生の問いに「こっちー」と元気に指差す子どもたち。「こっちは右っていうのよ」と上下左右の概念も一緒に学ぶ。

 各ブロックの意味の説明が終わったら、いよいよブロックを組み合わせてプログラミング作りを開始。「みんな、同じようにやってみてね」と先生が各色のブロックをつなげていくと、子どもたちはブロックの色を確かめながら先生と同じようにやってみる。「矢印が見えないとどっちに動いてよいかわからないから、矢印は表に向けてね」と、さりげなく、「動きを明確に示すこと」が大切であることを子どもたちに伝えている。そして、ブロックのプログラミングが完成すると、子どもたちはできた喜びで、ブロックを見せ合っていた。

ブロックをつなげて完成
ブロックをつなげて完成

◆2人で協力してプログラミングを確かめる

 ブロックのプログラミングが完成すると、次に、コンピューターに見立てた紙が、2人に1枚配られた。つなげたブロックをもとに、コンピューターはどのように動くのか、紙上で確かめるためだ。

 2人のうち1人がブロックに書かれた矢印の方向を読み上げ、もう1人が紙上のソビーゴくんを動かしていく。2人で「こっちだよ」「あっちだよ」と助け合いながら、目的の場所まで動かせると拍手が沸き起こる。

真ん中のソビーゴくんをブロックで作ったプログラミングどおりに動かす
真ん中のソビーゴくんを、ブロックで作ったプログラミングどおりに動かす

 全員ができたところで、「では、コンピューターの中に入ってみようか?」と紙で確認したソビーゴくんの動きを、子どもたち自身がソビーゴくんになって動いてみることに。みんなの前でやってみるのは緊張ぎみでも、右、左としっかりプログラミングの指示どおりに動けたときには嬉しそうな笑顔がはじけていた。

コンピューターの中に入った子どもたち
コンピュータの中に入った子どもたち

◆いよいよiPad登場

 コンピューターの中から出てきた子どもたちが次に手にしたのはiPad。大喜びで電源を入れると、子どもたちは、先生にどうするかを少し教わっただけで、とても上手にブロックをつなげていく。実際にブロックで行ったことを、そのままiPadの画面で行うのだとすぐに理解できたようだ。

上手にブロックをドラッグしてプログラミングを作っていく
上手にブロックをドラッグしてプログラミングを作っていく

 そして、画面上の右矢印ボタンで実行。すると、ブロックをつなげたとおりにソビーゴくんが動き出す。こうして、紙上や自分がコンピューターの中に入って確かめたことが、実際のコンピューターでも同じようにできることを理解する。

 用意されているブロックは矢印だけではない。ゾウやねずみもあり、ゾウを選ぶとソビーゴくんが大きくなり、ねずみを選ぶとソビーゴくんが小さくなる。ゾウをたくさんつなげると、ソビーゴくんがぐんぐん大きくなって画面から飛び出してきそうになることを発見すると大歓声があがる。盛り上がったところで、Class 4の授業は終了した。

◆5~6歳児は「発展させる一年」、論理的な思考力を身に付ける

 5~6歳児向けのClass 5は、「発展させる一年」と位置づけられ、「集団のルールを守り、その中で認め合い、伝え合う」「自ら進んで知識や情報を得る力を育てる」を目標にしている。ブロックを使う授業内容ながらも、自由にブロックをつなげさせるなど、より自主性を育みながら、授業の最後は自ら作ったプログラミングをみんなの前で発表する構成になっていた。

 まずはClass 4同様、実際にブロックを使ってプログラミングの考え方、ルールを学ぶ。好きな赤色のブロックをたくさんつなげる子、各色を1つずつつなげる子など、それぞれの個性に合わせてブロックによるプログラミングをし、紙での検証では、自主的に2人で役割分担を決めていた。

 Class 5では、さらにRPGゲームのような画面が登場。2人に1枚配られた紙には、道路があり、家があり、犬がいて、ソビーゴくん以外の人もいる。子どもたちは早くも町が描かれている絵を見つめてわくわくのようす。

ソビーゴくんの冒険のはじまり
ソビーゴくんの冒険のはじまり

 どんなふうに矢印のブロックを組み合わせれば、ソビーゴくんを目的の場所にたどりつかせることができるのか、子どもたちは相談しながらブロックをつなぎ合わせる。実際にソビーゴくんを動かしながら、「赤が多いよ」「ここで緑だよ」と、行き過ぎてしまったり、道路のないところに行こうとしてしまったりするのを修正していく。こうして、論理的に思考する力を身に付けていくわけだ。

友だちと2人で相談しながらブロックをつなげていく
友だちと2人で相談しながらブロックをつなげていく

◆iPadで自主的にプログラミング

 紙上で確認ができたら、次はiPadの登場。子どもたちは、先生に教わり、iPad上でもとても上手に操作して、見事完成。ソビーゴくんが道路を歩いていくようすを何度も嬉しそうに見ていた。なにしろ、自分がプログラミングしたとおりに動いているのだ。友だちと一緒に「もう1回やってみよう」「今度は犬に会いに行ってみよう」と意欲満々。子どもたちの柔軟な思考に驚かされた瞬間だった。

お友だちと2人1組で試行錯誤していく
お友だちと2人1組で試行錯誤していく

 そして最後はいよいよ2人1組で発表。iPadで作ったプログラミングとその動きをモニターに映し出しみんなに見てもらい、拍手を受ける。まさに遊びのように学べるプログラミング。大人の筆者でも受けてみたいと思う授業だった。

みんなの前で発表会
みんなの前で発表会

◆難しい概念を扱いながらも歓声のあがる授業

 ドラキッズでは、毎回講師から保護者に授業内容の説明を行う。今回は、プログラミングの基礎と論理的思考力を養うことが目的だと説明していた。確かに子どもたちは、一つひとつの動きを認識し、ソビーゴくんが思ったとおりに動いてくれるよう試行錯誤をし、論理的に考えることを自然と体験していた。

 授業で何よりも印象的だったのは、プログラミングという新しい授業内容でも子どもたちの歓声とはじける笑顔が見られたことだ。手をたたきながらiPadを見つめる子どもたちは、ソビーゴくんを大きくしたり小さくしたり、動かすことに夢中。先生がプログラミングを子どもたちに親しめる方法で導入し、あっという間に子どもたち自身で目的を達成することができていた授業だった。

 ドラキッズのプログラミングカリキュラムは、回を重ねるにつれて繰り返し処理を行うなど、少しずつステップアップしていく。幼児教育に寄り添ってきたドラキッズオリジナルのアレンジによって、幼児でも楽しくプログラミングの概念が身に付くようになっている。教えるのが難しい内容も、先生たちの工夫により、子どもたちは楽しく身に付けていくことだろう。
《渡邊淳子》

渡邊淳子

IT系メディアのエディター、ライター。趣味はピアノ。

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