※編集部注:本記事は平成29年度(2017年度)の全国学力テストに関する記事です。平成30年度(2018年度)の参加予定校数は平成30年4月16日、実施後の結果公表に関する文科相コメントは平成30年4月17日に記事化しました。(平成30年4月17日編集部追記)
文部科学省は、全国的に子どもたちの学力状況を把握するため、平成19年度から「全国学力・学習状況調査」、いわゆる全国学力テストを実施している。調査の対象学年は小学6年生と中学3年生。児童生徒への調査に加え、保護者に対する調査も実施した。平成29年度の参加学校数は2万9,850校。平成29年度からは都道府県別の結果に加え、指定都市の調査結果も公表している。
調査の結果、 都道府県別では、秋田県が小中の国語A・Bで1位、石川県が小学国語Bと算数A・B、中学国語Aで1位。福井県は中学国語A、中学数学A・Bで1位となった。

平成29年度 全国学力・学習状況調査の結果 小学生(都道府県別)※中学生は画像ページで紹介
政令市別の正答率を見ると、新潟市が小学国語A・B、算数Aでトップ。新潟市のほか、算数Aは浜松市、堺市が正答率81%で首位になっている。仙台市は中学すべて(国語A・B、数学A・B)で1位。中学数学Aはさいたま市、静岡市、神戸市も正答率68%で1位だった。

平成29年度 全国学力・学習状況調査の結果 小学生(政令指定都市)※中学生は画像ページで紹介
◆3つの授業フレームワーク導入、新潟市の取組み
新潟市は、平成24年から「新潟市が目指す授業づくり」方針を掲げ、小中学校の授業に3つの授業フレームワークを導入。何を学んでいるのかを示す「学習課題」、何を学んで、何をできるようになったのかを振り返る「まとめ」、どのように学んでいるのかを自覚する「振り返り」のある授業を目指している。新潟市教育委員会はこの3つのフレームワークを小中学校の教育現場に広く周知し、授業づくりや小中学生の学力の向上に取り組んできたという。
◆鍵は分析×改善の「PDCA」仙台市の取組み
仙台市教育委員会「学びの連携推進室」担当者によると、今回の結果は「学びのPDCAサイクルにしっかりと、少しずつ取り組んできた成果の現れ」。仙台市教育委員会はこれまで、仙台市内小中学校全児童生徒を対象に独自の「学力標準検査」を実施しており、児童生徒の学力の把握や課題の発見、教員の指導力向上に活用してきた。平成22年2月からは川島隆太教授らが構成する東北大学の研究チームと協働研究を締結し、学習意欲の科学的研究も行っている。教員の指導力向上については、宮城教育大学と立ち上げた「確かな学力研修委員会」と協働し、教員に向けた模擬授業「提案授業」の実践や公開、提案を実施。担当者は、今回の成績は児童生徒と教員、市が一丸となって実現した結果としながらも、今後の課題は「取組みをより広く周知して、(児童生徒だけでなく教員に)知っていただくこと」とコメント。これまでの取組みをまとめた資料の作成や「提案授業」内容をDVD化し、模擬授業を体験できなかった教員にも役立つ情報の活用に努めるとしている。
全国学力テストの結果は、国立教育政策研究所のWebサイト内で閲覧できる。