平成32年度(2020年度)から導入される、現行の大学入試センター試験(センター試験)の後継テストにあたる「大学入学共通テスト」。大学入試センターは平成29年11月、導入に向けた試行試験(プレテスト)を実施した。
試行調査への参加率は、全高等学校・中等教育学校の38%にあたる1,889校。11月13日から24日の期間にかけて、任意の日時で調査した。国語と数学1(数学I・A)は高校2年生以上、数学2(数学II・B)、地理歴史、公民、理科は原則高校3年生以上が受検した。受験者合計17万8,129人のうち、11月27日時点でのマーク式問題答案の読取率は69.4%。大学入学共通テストの国語と数学に導入される予定の記述式問題も試行されたが、答案の読取と速報は12月4日現在、まだ公開されていない。
11月29日時点の読取状況によると、なかには正答率0.9%と、1.0%を切る「難問」もあった。たとえば、2次関数の性質を活用して文化祭で販売するTシャツの価格を求め、利益が最大になるよう回答する「数学I・A」第2問(3)の正答率は3.0%だった。
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画像:出題例<数学I・A> 第2問(必答問題)
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画像:正答率が3.0%だったのは(3)
同じく「数学I・A」では正四面体における辺と線分の垂直条件について、それを証明するために用いる空間図形の性質を考察して回答する第4問(3)の正答率は3.1%。同問題は、該当する選択肢をすべて選択し回答する形式だった。該当する選択肢をすべて選択する問題は第5問(5)でも見られ、正答率は0.9%だった。
このほか、「物理」では第3問AB・問5で2.5%、「化学」では第1問・問4で4.6%、「生物」では第5問B・問5で4.6%と、受検者の多くが回答できなかった問題があることがわかった。
大学入試センターは、実際の問題構成や内容は今後、今回の試行調査の解答状況を分析しながら検討しているとしている。なお、今回の試行調査で出題された問題の構成や内容は、必ずしもそのまま平成32年度からの大学入学共通テストに受け継がれるものではない。平成30 年度は大学入学共通テストの試験会場となる大学を実施会場として、問題作成や採点方法、試験の実施運営などを含めた総合的な検証を行う予定。