【子どものアレルギー11】牛乳の味がおかしい?保管法や症状の例

 成長や生命の維持、活動に必要な栄養のひとつであるカルシウムを含む「牛乳」。アレルギー症状がある子どもや大人もいることから、アレルギーに関連する情報発信やサービスを提供している、ウィルモア代表取締役の石川麻由氏に話を聞いた。

生活・健康 小学生
画像はイメージ
  • 画像はイメージ
  • 株式会社ウィルモア 代表取締役 石川麻由氏
 成長や生命の維持、活動に必要な栄養のひとつであるカルシウムを含む「牛乳」。アレルギー症状がある子どもや大人もいることから、アレルギーに関連する情報発信やサービスを提供している、ウィルモア代表取締役の石川麻由氏に話を聞いた。

---
 成長や生命の維持、活動に必要な栄養のひとつであるカルシウムを含む「牛乳」。家庭や給食では一般的ですが、なかにはアレルギー症状のある子どもや大人もいることから、扱いには注意が必要な場合があります。また、食中毒発生予防のためにも、殺菌が欠かせません。

牛乳はどうやって殺菌しているの?



 牛乳の殺菌方法にはおもに5つの方法があり、ロングライフ牛乳の殺菌方法にも特徴があります。牛乳の殺菌温度の違いにより、高温殺菌乳は低温殺菌乳よりも、ホエイタンパク質の変性が進む傾向が見られています。現在主流である殺菌法は、超高温瞬間殺菌法(UHT法)です。具体的にどのような殺菌方法があるのか、それぞれの殺菌方法とその特徴を見てみましょう。

低温殺菌法(LTLT法)


63~65度で30分殺菌
風味や栄養価は維持しやすいものの加熱温度が低いため、食品中のすべての微生物を死滅させることは難しく保存性は劣る面もあります。

連続式保存殺菌(LTLT法)


65~68度で30分殺菌。

高温保持殺菌法(HTLT法)


75度で15分以上殺菌。

高温短時間殺菌法(HTST法)


60度前後に予備加熱し、所定温度まで加熱して保持する殺菌法。72度以上で15秒の殺菌が基本。

超高温瞬間殺菌法(UHT法)


120~150度で1~3秒殺菌。
現在の主流の殺菌法で、高温のため風味や栄養価は低下する面がありますが、レトルト食品などにおいてもボツリヌス菌などの耐熱性の芽胞を有する微生物の殺菌目的でもおこなわれます。

ロングライフ牛乳は140~150度で3、4秒殺菌


ロングライフ牛乳は、光と空気を遮断する目的で紙とポリエチレンコート、アルミ箔を貼り合わせたロングライフ製品用の特殊容器に無菌的に充填することで、常温保存が可能な製品として販売されています。

 パスチャライズド牛乳の多くは、72度で15秒以上、または63度で30分間殺菌がなされているものになります。牛乳の殺菌方法はさまざまありますが、日本乳業協会は「いずれの殺菌方法によっても、牛乳の栄養は変わりません」としています。

牛乳の味がおかしい?考えられる風味異常の要因



 牛乳の風味異常が取りざたされることがあります。子どもには、家庭外、たとえば外食時や給食の場面で「あれ?」と思った時はまず、飲むのをやめるよう伝えておくとよいでしょう。

 風味以上牛乳は、複合的な影響により特定の原因が判明しにくい場合もありますが、たとえば、牛乳中の不飽和脂肪酸割合が多い場合は「酸化臭」、いわゆる「厚紙臭」がすると言われます。牛への飼料の品質・内容や、牛が十分に反芻(はんすう)していないことによる影響などが考えられています。

 日光臭キャベツ臭は、光照射による脂質、タンパク質の酸化によって起こると考えられます。飼料臭は特に、搾乳直前の飼料による影響が強いと考えられます。このほか、麦芽臭は微生物によるもの、器具、設備消毒時に使用の消毒殺菌剤(次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系の殺菌洗浄剤など)の混入、残留による「消毒臭」、低温殺菌による「不潔臭」などが風味異常の際に起こる代表的な例でしょう。

 そのほか、ほかの臭気が生乳に移行し、吸着されることで臭いを感じることがあります。消毒臭のある牛乳の事例は今までにも発生していますが、検査までの間に牛乳内で次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤の反応が進み、検査時に一定量以上の検出がなされないことがあるなど、異常風味発生時にその原因が特定しにくいこともあります。

 開封後に苦味酸味を感じる場合は、細菌が増加し品質が低下している可能性があります。また、牛乳は冷蔵庫内外の臭いを吸着しやすく、異臭を感じることもありますので、開封後は早めに消費するようにし、風味異常がある場合や塊ができていたり分離している場合は、摂取を控えるようにしましょう。

牛乳の保管法



 家庭での保管においては、常温保存の牛乳は常温以上の温度での保存は避け冷蔵保存の牛乳は10度以下での冷蔵、封を開けた後は封に口を付けて飲まないようにし、封はしっかりと閉じてから保管するようにしましょう。

 牛乳に含まれる乳糖の消化酵素が欠乏している、または活性が低下しているために乳糖を消化吸収できずに腹痛、下痢、嘔気(おうき)、腹部膨満(ぼうまん)といった症状が現れる乳糖不耐症は比較的見られますが、牛乳を飲むたびに皮膚が痒い、じんましん、血管性浮腫、紅斑(こうはん)がある、口の中や喉、唇、舌に違和感がある、膨脹、鼻水が出る、鼻づまり、くしゃみがある、眼の充血、まぶたのむくみ、かゆみがある、咳、喘鳴、息苦しさがある、腹痛、下痢、嘔吐、頭痛、倦怠感、眠気、意識障害、血圧低下、四肢冷感…といった症状がある場合は、アレルギー症状である場合がありますので、受診し相談できると良いでしょう。

石川 麻由(いしかわ まゆ)株式会社ウィルモア 代表取締役
岐阜高等学校、日本女子大学卒業後、大手インターネットサービス企業での事業統括、コンサルティング会社、医療情報ベンチャー等を経て、ウィルモアを創業。バーコードにかざすだけでアレルゲンを含む食品かがわかるスマートフォンアプリ「アレルギーチェッカー」や、アレルゲンを含まない食品を検索・購入できるWebサービス「クミタス」の開発・運営を行っている。
《編集部》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top