30年余りの改革を支えた理念とは? 鴎友学園人気の理由に迫る

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鴎友学園女子中学高等学校 吉野明校長
  • 鴎友学園女子中学高等学校 吉野明校長
  • インタビューに答える吉野明校長
  • インタビューに答える吉野明校長
  • 吉野明校長。鴎友学園女子中学高等学校のエントランスにて
 受験生に人気の高い中高一貫校、鴎友学園女子中学高等学校。本校は長年、将来を見据えた女子教育を追求してきた。教育改革への取組みが急速に進む中で、30年にわたり改革を行い続けてきた本校の取組みについて、校長の吉野明氏に話を聞いた。改革は、改革第1期から7期までに分けることができるという。

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設立当初から掲げていた「学習者中心主義」



--学校改革はいつから、どのような目的で始められたのでしょうか。

学習者中心主義


 鴎友学園の設立は1935年ですが、初代校長市川源三は当初から「教科中心主義」ではなく「学習者中心主義」であるべきだと主張していました。こうした考えを理念として改革を始めたのが1986年からで、第1期になります。というのも、このころから少子化の到来が確実となったからです。それまでのマニュアルやルールといった対処法を教えるのではなく、人と人との関係の中から違いを乗り越える「集団力」「個人力」を育てる教育が必要と考えたのです。

アイデンティティの確立


 改革第2期は1989年からで、「アイデンティティの確立」を援助する教育を目指しました。思春期は難しい時期です。特に女子は内省型が多く、いじめも見えにくいという特徴があります。そこで自分たちでお互いにルールやマナーを考えさせる、学ぶ場づくりに力を入れました。

女子教育の独自性を発信



--女子ならではの特性も考慮されて改革を進められているのですね。

「創造性」を拓く


 初代校長の市川源三は「女子校の教員は小児科医であれ」と言っていましたが、女子は内側にストレスをためてしまう場合が多く、また自己肯定感が低い子が多いのです。そうした特徴をふまえ、1993年からの第3期は、「社会性」と「独自性」に着目し、「創造性」を拓く教育に取り組みました。成績上位者だけが良い子なのではなく、そこに別の評価軸を設けることで、自己肯定感を上げることが大切と考えたのです。

「集団力」の育成


 2003年からの第4期では、「集団力」の育成をはかるとともに、英語の授業をすべて英語で行うオールイングリッシュの導入も検討し、2004年に開始。授業は生徒どうしで英語を実際に使う場になりました。まさに「英語は実技科目」といってもよいと思います。また、多読・多聴の習慣をつけさせることで、英語を教わるのではなく生徒自身が獲得していけるよう配慮しました。

女子教育の独自性


 2010年からの第5期には、「女子教育の独自性」を発信する必要を感じ、「女子教育連続講演会」を開催しました。また、女子と男子の発達段階の差異に注目し、「自己肯定感」の育成に力を入れました。

鴎友学園のグローバル化対策



--オールイングリッシュの話が出ましたが、グローバル化への取組みについてはいかがでしょうか。

グローバル化


 私どもは、他者との差異を乗り越えて人格を否定しないで話ができる、個別でも大きな集団の中でも力を発揮して自分の行いたいことをはっきりと言える、そういう子を育てることがグローバル化への対応になると考えています。そのために、なるべく異なるメンバーと話をする場を設けています。2013年の第6期からは、この「グローバル化」にも力を入れています。2012年から、韓国の韓亜(ハナ)高校での国際シンポジウムに参加しはじめましたが、2016年にはアメリカのチョート・ローズマリー・ホールというボーディングスクールへの派遣も行っています。自分の枠を超え、日本の枠をも超えていく生徒を育てていきたいと考えています。

教科ルーブリック


 2017年の第7期からは「教科ルーブリック」を作成し、生徒各自が自己評価を行っています。また生徒の活動はポートフォリオに蓄積し、活用することも始めます。今年4月には2020年大学入試改革の第1期生となる高校1年生を対象に、自分の使いやすいタブレットやスマートフォン、PCなどを持ち込む「BYOD(Bring Your Own Device)」も開始します。

 30年余りにおよぶ鴎友学園の改革への取組みは、時代とともに具体的な取組みは変わっても、「学習者中心主義」に貫かれている。だからこそ、少子化という逆風のなかでも受験者が押し寄せるのだろう。

◆鴎友学園女子中学高等学校の教育改革への取組みについて、具体的な事例をまじえて紹介するセミナーが2018年2月22日に開催される予定。詳細はこちら

インタビューに答える吉野明校長
インタビューに答える吉野明校長
《渡邊淳子》

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