時間割は?給食はいつ…新1年生保護者から先生へ10の質問

 小学校入学後の生活がどのようなものなのかがわからず、期待と同時に不安も感じているご家庭もあるだろう。そこで、小学校教諭の経験があり、現在は小田原短期大学にて教鞭をとられている鈴木邦明氏に小学校生活について聞いてみた。

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小田原短期大学特任講師の鈴木邦明氏に話を聞いた(画像はイメージ)
  • 小田原短期大学特任講師の鈴木邦明氏に話を聞いた(画像はイメージ)
  • 学年別・1週間の授業コマ数内訳と推移
  • 小学校の一般的なタイムスケジュール
 春の足音が近づいてくる3月。新生活の準備を進める家庭が多いなか、第一子が小学校入学を控える保護者は特に、期待と同時に不安も感じていることだろう。

 入学準備中の親子に向けて、神奈川県と埼玉県で計22年小学校教諭として教壇に立ち、クラス担任としての経験も豊富な小田原短期大学特任講師の鈴木邦明氏に、小学校入学後の生活について聞いた。スケジュールなどの詳細は地域によって異なる場合もあるため、おおよその目安として参考にしていただきたい。

--質問1 給食の開始時期や宿題の量などがわからず、不安です。小学1年生の生活について教えてください。

 給食については、4月の中頃から始まる学校が多いようです。始めのうちは十分な時間を確保して実施されます。たとえば、2年生以上の子どもがお昼の12時30分から給食の準備を始める学校の場合、1年生は12時から準備を開始する、などです。少しずつ慣れることができるように配慮されています。

 宿題に関しては、1年生の最初は学年内で進め方などを統一していることが多いので、極端に多い、ということはほとんどないと思います。宿題がたくさんあることが理由で小学校を嫌がってしまわないように、との思いからも、学校が始まってからしばらくの間は、宿題は少ないと思われます。

 最近は、幼稚園・保育園と小学校の“段差”を小さくするように、互いが歩み寄るような形でのプログラムが実施されているところも多いですね。幼保小の教職員が一堂に会し、情報共有をする場もあります。取り組む内容も、幼保から小へ連続性を持たせる工夫が行われています。

--質問2 学年によって、授業時間数はどれだけ変わりますか。

 小学校は午前中に4コマ、午後に2コマと、1日に6コマある学校が一般的です。1週間に最大で30コマになる計算です。ただし、これは長期休業の長さなどによっても少しずつ違ってきます。

 標準的なものは、1年生は24コマ(週に1回4時間、残りは5時間)、2年生25コマ(毎日5時間)、3年生26コマ(週に1回6時間、残りは5時間)、4年生27コマ(週に2回6時間、残りは5時間)、5年生は28コマ(週に3回6時間、残りは5時間)、6年生は29コマ(週に4回6時間、1回5時間)という形です。

学年別・1週間の授業コマ数内訳と推移

--質問3 登校時刻や下校時刻、給食時間など、小学生のおおよそのタイムスケジュールを教えてください。

 学校への登校は、8時過ぎくらいのところが多いようです。基本的には、午前中に45分の授業を4コマ、お昼に給食のあと、15分から20分ほどの休み時間を挟み、午後に2コマ、という形です。

小学校の一般的なタイムスケジュール
画像:小学校の一般的なタイムスケジュール

 質問2でもお答えしたとおり、1年生は午後に1コマだけ授業を受け、その後下校することが多いようです。午後に1コマだけ受けて帰る場合は、午後2時30分くらいに下校します。「掃除の時間」は、給食のあとが多いようです。

 なお、15分から20分の休み時間は、午前中に1回、給食後に1回の計2回が一般的です。お昼の休み時間は「昼休み」と呼ばれることもあるほか、地域によっては休み時間のことを「中休み」「業間休み」などと表すこともあるようです。「朝の活動」では、朝会や集会などが行われます。その時間を読書やドリルなどの学習にあてている学校もあります。

--質問4 入学してからの生活で、特に親が子どもにしてあげるとよいことはありますか。

 もっとも大事な役割は「子どもを安心させること」です。精神的なケアが重要になります。宿題や持ち物などの管理も大切ですが、そういったことを重視し過ぎると、何度も何度も質問したり、急かしたり、叱ってばかりということになってしまいます。

 小学校への入学は親も大変ですが、子どもも大変です。新しい環境に慣れるまでは、子どもにあまり多くの要求はせず、安心して過ごせる環境作りをしてあげるとよいでしょう

 こういった役割は親にしかできないことです。共働きなどで物理的な時間が少なくとも、子どもとの関わりの質を大切にすることで、子どもが安心して小学校に通える環境を作ってあげることができますよ。

--質問5 よく耳にする「PTA活動」について、どのようなことをするか教えてください。

 PTAは、Parent(親)・Teacher(教師)・Association(組織)の略で、各学校で組織された保護者と教職員による団体です。学校にいる子どものためにボランティア活動をすることが目的です。法的な根拠や加入の義務についてなどいろいろとあるのですが、そういった部分は省略し、直接的に親に関係のある部分だけの説明をします。

 親に関係のある部分としては、役員をしなければならないかもしれないということです。クラスから代表として、毎年、決められた人数(2人であることが多いです)を選出するというものです。クラスから選出する役員とは別に地域ごとに各地域の担当役員を選出するという仕組みがある学校もあります。選出された人たちで、担当(広報、行事、総務など)を決め、実際に活動していきます。子どもが在学中に、必ず何らかの役割を担当するというルールになっている学校もあります。

 PTAの仕事には、頻繁に学校に行く必要があるものだけでなく、通常は家でできるものや、ある時期だけ忙しいものなどがあります。共働きの人でもできるような役割のものもあるそうで、その在り方は学校によって異なっています。PTAの役員はネガティブに捉えられることが多いのですが、役員として参加することによって、自分の子ども以外の子どもを見ることができたり、担任の先生と色々と話す機会が増えたり、親同士の知り合いが増えたりと良い部分もたくさんあります。

--質問6 授業参観日は年に何回ありますか。また、その内容について教えてください。

 授業参観の実施回数は決まっているわけではなく、学校によって異なります。標準的な学校だと、学期に2回(年で6回)程度です。

 しかし、学校をたくさん見てもらおうという考えのところでは、月に1回程度の頻度で行っている学校もあります。定期的なものとは別に「何かあればいつでも参観して構いません」という学校もあります。

 授業参観の意義は「授業を見る」ことです。多くの場合は、教室のうしろに保護者が立ち、授業が行われているようすを見ます。

 授業参観が終わったあとは、「懇談会」や「保護者会」という名称の教員と親の話し合いのようなものが行われることも多いです。そこでは、クラスのようすについて担任から説明があります。クラスのようすがよくわかるので、可能な限り参加をするとよいと思います。親から質問することもできます。

 加えて、子どもに関する少しデリケートな話など、先生に伝えたいことがある場合は、懇談会などが終わったあとを利用して、個人的に相談してもよいでしょう。

--質問7 PTAや授業参観日以外で、親が学校に出向く必要があるのはどのようなときですか。

 PTAや学校の行事以外で親が学校に出向く必要がある場面は、イレギュラーなものだけだと思います。

 ひとつは、子どもの体調不良です。熱が少し高くなると、学校から連絡がきます。これは、親も事前に体調を把握できていることが多いので、対応もしやすいと思います。

 一方で、予想できない呼出しがかかることがあります。たとえば、体育の授業や休み時間などに大きな怪我をした場合です。縫わなければならないケースや骨折が疑われるケースなど、病院に行く必要がある場合には、学校から連絡がきます。

 大怪我でない場合でも、頭を打ったり、ボールが眼にぶつかったりと、首から上の怪我については病院へ行くことが多いようです。これは、何か問題が起こった際に学校側の責任が問われるからです。こういった怪我については、発熱などとは違って急に起こるものなので、親としても仕事との兼ね合いで対応が大変になる部分でしょう。

 もうひとつは、子どもがトラブルを起こしたときです。小さなトラブルなら親が呼ばれることはないのですが、度を越したトラブルの場合は「一度、学校にお越しいただいて、お話をしたいのですが…」と、担任から連絡が来ることがあります。

 たとえば、友達を執拗にいじめている、友達のものを意図的に壊した、“物かくし”をした、などです。こういった場合は、親が学校に呼ばれることや、教員が家庭を訪問することもあります。

 最後にもうひとつ、イレギュラーな呼出しには事件や災害の発生時があります。頻度は高くはありません(し、そう願いたいものです)が、たとえば、近所でコンビニ強盗があり犯人が逃走している、という場合や、大地震が発生した場合などがあります。2011年の東日本大震災のとき、関東地方の学校では、保護者引き取りになった学校も多かったようです。

--質問8 土日祝日以外で学校が休校になることはありますか。

 どこの学校も、年度始めに「年間行事予定」というものを配ります。特別な休み、授業参観、運動会など主要な予定はすべて記されていますので、まずはその「年間行事予定」で確認すると正確でしょう。

 新入生以外だと、前年度末(3月)に行われる最後の授業参観・懇談会で配布する学校も多いです。学校によっては、学校のWebサイトに年間行事予定や月間行事予定などがアップされている場合もありますので、一度確認できるといいですね。

 大きな行事の日程が変更されることはほとんどありませんが、もし変更がある場合は、月に1度ほどの頻度で発行される「学校便り」や「学年便り」などに記されることが多いです。

 最近は学校からの連絡をメールで発信しているところも多くなっています。「手紙が親まで届かない」ということもなく便利なのですが、親がアドレスを変えたときには小学校での手続きを忘れがちなので注意が必要です。

 2期制(前期・後期)の学校の場合、10月半ばに秋休みがある学校があります。行政によっては、開校記念日や県民の日が休みでないところもあります。また、気候の影響で冬休みが長いところや「寒中休み」というものがあるところもあります。保護者が小学生時代を過ごした地域と、子どもが通学する地域が異なる場合は認識にズレが及ぶ可能性もあるため、子どもの小学校の休業期間は前もって把握しておきたいところです。

 イレギュラーな休み(臨時休業)としては、台風や大雪などの「気象」によるものと「病気の蔓延」によるものがあります。これは、学校や市区町村として、ルールが定められています。

 ちなみに、私が過去に教鞭をとった横浜市の場合は「市立小学校・中学校では、午前7時の時点で『暴風警報』、『大雪警報』、『暴風雪警報』、『特別警報』または『降灰予報』のいずれか1つでも発表継続中の場合、一斉休業となります」と定められています。気象の場合も病気の場合も急に決まるわけではないので、数日前から準備(休みになったら誰に見てもらうのか、自分が仕事を休むための対応など)をすることができます。

 台風などはニュースでも報じますが、クラスでのインフルエンザの流行などはあまり情報がありません。インフルエンザなどが流行りだす時期になったら、こまめに子どもにクラスの欠席状況を聞くことや、“ママ友”と情報共有しておくことが大事になります。

--質問9 短縮授業はどのような場合に行われますか。

 年度の始めと終わり、長期休業の前後に行われることが多いです。

 以前は、短縮授業の期間も長かった(1週間程度)のですが、最近は授業時数の確保などと関連し、短縮授業の期間は短くなっています。これも行政によって違いがあり、短縮授業がほとんどないところもあります。

 少しイレギュラーなものとしては、市や区などが主催する教員の授業研究会などがあるときには、午前授業になることがあります。ただし、そういったものは急に決まるものではないので、お便り(学校便り、学年便りなど)で事前に知らされます。

 一方で、急に短縮授業になるケースも稀にあります。臨時休業についてお話したように、「台風や大雪などの気象」と「病気の蔓延」が原因のものです。インフルエンザの流行が激しいときは、午前中で終了になるということもあります。

--質問10 土曜日は授業はありますか。ある場合は、地域や学年による違いはありますか。

 土曜日授業は、ある学校と、ない学校、両方あります。学校で決めている場合もありますし、市区町村などで決めている場合もあります。授業時間数の確保という観点から、土曜日に行う授業を増やす(月に1回)やり方と、長期休業(夏休みなど)の期間を短縮する、というやり方があります。

 私が昨年度(平成28年度)まで勤めていた学校では、学期に1回、土曜日に授業を実施していました。これは、市内全部の学校で行われていました。

--ご回答ありがとうございました。最後に、春から入学する子どもを持つ保護者へのアドバイスをお願いします。

 幼稚園・保育園から小学校に入学した子どもに「小学校に入学するにあたって何が心配だったのか」ということを調査した研究があります。

 その研究では、子どもたちは「登下校」がもっとも不安だ、と答えていました。幼稚園・保育園までは、親が送り迎えをしたり、園バスで通園したりと、親や先生などが常にそばにいる形で登下校をしていました。しかし、それが小学校になると、子どもだけで登下校するところが多いですよね。

 ですので、入学前の3月の段階で、親子で通学路を歩く練習をするとよいと思います。大きな通りの横断歩道や見通しの悪い曲がり角など、危険な場所を親子で確認しながら少しずつ通学路に慣れていくことで、子どもの不安を和らげることができます。

 それと、学校が始まってからは、もらってきた教科書にすべて目を通すことをお勧めします。4月や9月に教科書をもらってきたタイミングで学習内容を確認することは、新入生に限らず、どの学年の親子にも勧めたいことです。親が小学生のころとは、学習する学年が違ったり、内容が違ったりと、扱い方が違っている場合がよくあります。具体的には、生活科や総合的な学習、外国語活動などは、昔はなかった教科ですよね。

 子どもが何を学習するのかを知っていれば、親が関われることも増えてきます。たとえば、算数で小数に取り組むのがわかっていれば、スーパーなどで親子で話題にすることができます。そういった親の一工夫が、子どもも学びの質を高めることにつながっていきます。

 ぜひ、じっくりと教科書を見てください。

--ありがとうございました。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子どもたちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子ども学会など、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師に着任。子どもの未来を支える幼稚園教諭、保育士の育成や指導に携わる。
《編集部》

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