国立西洋美術館は、クラウドファンディングによる支援を通じて制作した特設サイト「みんなの3Dロダン図鑑」を開設した。所蔵するロダン彫刻作品全60点の3Dモデルを見ることのできる特設サイトで、スマートフォンやPCから自由に鑑賞が可能。所蔵作品の3Dモデルの公開は、国立西洋美術館にとって初の取組みとなる。
「みんなの3Dロダン図鑑」では、同館所蔵のロダン彫刻全60作品の3Dモデルを掲載。スマートフォンやPCの画面上で指やマウスを使って回転・拡大・縮小しながら、さまざまな視点で作品を自由に鑑賞できる。上から見る、近接して見る、群像の中に入って見る、下から見るなど、実物を鑑賞する際には難しい角度や距離からの作品鑑賞ができ、作品の新たな魅力や楽しさを発見する体験を届ける。
サイトでは、彫刻の新たな魅力や鑑賞スタイルの発見につながるコンテンツも掲載。漫画家の荒木飛呂彦氏や編集者・評論家の山田五郎氏などが登場する「私の推しロダン」では、さまざまな分野で活躍する人々が所蔵のロダン彫刻の中から「推し」作品について語る。また、各分野の専門家がロダンや彫刻に関するテーマに沿って深堀りトークをするアカデミックコンテンツ「ロダンと彫刻をめぐるストーリー」なども公開されており、彫刻やロダンについて深く知りたい人々にとっても興味深い内容となっている。
「みんなの3Dロダン図鑑」の制作の背景には、展示スペースや作品の保存の観点から鑑賞の機会が限定されてしまうという課題があったという。より多くの人に鑑賞してもらいたいとの思いから、ロダン彫刻作品をすべて3Dモデル化し、Webサイト上で公開するプロジェクトを立ち上げ、約4か月間のクラウドファンディングを実施。356人から558万2,000円の支援を受け、サイトの制作・公開が実現した。来館が難しい人や、子供たちなど、多くの人に彫刻鑑賞の機会を提供したいとしている。