高校野球、熱き指導者の思い…監督座談会<1>

 高校野球は生ものであるということはよく言われる。それは学校である以上、卒業と入学が繰り返されていき、メンバーが入れ替わっていくからでもある。だから、指導者たちの思いは熱く、いつまでも情熱は枯れていかないのである

教育・受験 先生
語り合う3人(左から:千葉敬愛・山崎祐司監督、成田・尾島治信監督、検見川・酒井光雄監督)
  • 語り合う3人(左から:千葉敬愛・山崎祐司監督、成田・尾島治信監督、検見川・酒井光雄監督)
  • 検見川・酒井光雄監督
  • 成田・尾島治信監督
  • 千葉敬愛・山崎祐司監督
高校野球は生ものであるということはよく言われる。それは学校である以上、卒業と入学が繰り返されていき、メンバーが入れ替わっていくからでもある。毎年新しい生徒たちが入れ替わっていくのだから、新陳代謝があるのは当然のことである。

そんな環境の中、部活動として野球部がチームとして同じ戦力を維持し続けることは並大抵ではない。能力のある選手たちが集まる年もあれば、そうではない年もある。生徒たちの質によって、チームの実情も常に動いているのだ。

もちろん、学校によっては、ある程度は入学の条件として野球部活動を優遇出来るというところもあるだろう。私立校の場合は、高校野球がひとつの学校の存在を広くアピールしていく要素になると考えているところもある。また、それだけに勝って実績を残すことを絶対条件とされているところもある。その一方で、高校野球とはいえ、学校としてはあくまでも部活動の一環であり、特別な優遇制度はないとするところもある。それらも学校によって、さまざまであるが、そういうことも含めた高校野球である。

それでも、高校野球の多くの指導者たちは、自分の思いを注ぎ込み、生徒たちと一緒に甲子園という夢を追い続け、試行錯誤しながらも、自分たちの環境の中で取り組んでいる。その上で結果を残せた年もあれば、思い半ばで終わってしまった年もあるだろう。そんな奮戦、奮闘をしながらも、毎年チームを作って3年生たちにとって最後の夏へ向けて仕上げていく。

だから、指導者たちの思いは熱く、いつまでも情熱は枯れていかないのである。そんな千葉県の高校野球の監督たちの中で、最も脂の乗り切った世代ともいえる30~40代の指導者たちに、本音をぶつけ合いながら語ってもらった。千葉敬愛高・山崎祐司監督、成田高・尾島治信監督、検見川高・酒井光雄監督の3人である。(聞き手/手束仁)

生徒たちの能力を見極めてのチーム作り
――最初に自己紹介も兼ねて、それぞれの御球歴と指導者として今日に至るまでのことを教えていただけますか。

尾島:それでは、この中では一番年長になるので私から。成田から日大を経て、成田に社会科の教員として赴任しました。当初は、野球部のコーチ、部長をやっていましたが、2000(平成12)年から監督をやらせていただいております。

成田・尾島治信監督
――監督として甲子園へ導いたのは、2006年春が最初ですね。

尾島:2005年秋は1年生で唐川侑己(千葉ロッテ)がいまして、これをエースとして関東大会で優勝でき、センバツに出場させていただきました。実は学校としても春のセンバツは初めでだったんですよ。

山崎:自分は東京の都立武蔵丘から国際武道大を経て、野球の指導歴で言うと、埼玉県の所沢東でコーチ、大宮南で部長、川口県陽の定時制で2年間教員をやりまして、縁あって千葉敬愛に異動させていただきました。千葉敬愛ではコーチと部長で8年。監督に就任して5年目になります。監督としての成績としては、去年(2017年)春季県大会で準優勝となり、関東大会にも出場させていただきました。そこでは、東海大相模に完璧にやられてしまいました(苦笑)。夏は、Aシードだったんですけれども、準々決勝で習志野に敗退しました。

酒井:私は出身高校が市立船橋で日体大を経て、千葉県聾学校へ赴任して1年。市立船橋で平成21年度まで3年間お手伝いさせていただき、淑徳大で1年コーチをしていました。その後、特別支援学校富里に3年間赴任し、現在の検見川に保健体育教員として異動しました。検見川に赴任して3年目が終わるころなんですが、高校野球の監督という立場をさせていただくのは、検見川が最初なんですが今年で2年目です。

尾島:それで夏にベスト4まで行くのだから大したもんだよな。

酒井:いや、秋は成田さんに負けていますから(県大会2回戦で対戦。8対1で成田)。

山崎:その前に、成田にはウチもやられています(県大会1回戦。9対4で成田)。

――現在の部員数としては、どんな感じですか。

尾島:成田は1、2年生で45人、マネージャーが5人います。合わせて50人ピッタリですね。

山崎:ウチもほぼ同じで47人のマネージャー4人です。

――検見川はどうですか。

酒井:39人でマネージャー7人です。

――公立校としては、多い方ではないですか。

酒井:そうですね、まあ適正人数かなとは思っています。

千葉敬愛・山崎祐司監督
――理想の人数としては、どうでしょうか。成田の場合は学年25人くらいになるのですが、専用球場もある成田としてはグラウンド環境からみても理想的に人数になるのではないですか。

尾島:専用球場はあるし、雨天練習場もあるのですけれども、毎年20人前後入って来てくれます。それでも、雨なんか降るとちょっとキツイかな、というところですね。理想としては15人くらいかなとは思います。とは言え、高校野球ですから部活動としては希望した子は全員入部させています。

――学校として、入学に関しての優遇制度はあるのですか。

尾島:一応推薦で10人までという枠はあるのですが、特待生ではありません。ただ、成績の基準があって、それをクリアしていて、ウチを第一希望としていたら優遇して入れるよということです。それ以外の子は、一般入試になるんです。あとは、附属中が3クラスあるのですが、そこから数名くらい入ってきますかね。

――チーム構成のバランスとしては、推薦の生徒と一般の生徒とは丁度いいという感じですか。

尾島:今回の秋は、5名くらい一般で入ってきた子もメンバー入りしていますからね。それにウチの場合は推薦といっても、ものすごい野球で飛び抜けた子が入ってくるというワケではないですから(苦笑)。

――成田の場合は、イメージとしては特待制度なんかあるのかなと思われているのではないでしょうか…。

尾島:よく、そう言われるんですけれども、ウチの場合は(強豪の)陸上部もそうですけれども特待生はありません。ハンマー投げの室伏(広治)も、ロッテに行った唐川(侑己)も、一般で入ってきていますからね。

――そういう意味では、皆の励みになりますね。千葉敬愛の場合はどうですか。

山崎:ウチは、成績の基準はありますがクラブ推薦という形はあります。それに、ある程度成績を持っている子は学業推薦という形もあります。特待生はその中で5人までは確保してもらっています。

――ソフトボール部やバドミントン部が強いですけれども、他の部との兼ね合いはどうでしょうか。

山崎:もちろん、他部にもありますし、均等に分けていこうという考えです。特待生というのは、言ってみれば学校が投資するわけですから、財政上の問題もあってバランスを取っているという感じです。

――そうした中で、今の人数で…というのはどうでしょうか。

山崎:やはり、手狭な感じはしますよ。グラウンドもそうですけれども、室内練習場などはもっと手狭ですからね。そんな中で工夫しながらやっていますよ(苦笑)。

――検見川の場合は公立校ですから、入学はあくまで入試のみですよね。

酒井:はい、ウチは偏差値としては大体60弱なんですが、オール4で350点くらいですけれども、(野球で有望な選手が)なかなか合格してくれないです(苦笑)。

検見川・酒井光雄監督
――学校としては、中堅の進学校という位置づけくらいですね。そんな中で、中学生にも声を掛けることはあるのですか。

酒井:ありますけれども、前期入試で諦めて、私学へ進むということもいますね。

――因みに、私学というとどのあたりとどのあたりと併願することになるのですか。

山崎:ウチとばっちり合うんですよ。実はお互いに情報共有もしていますから。

酒井:そうですね、公立でウチを希望していて、ただ成績がちょっと厳しいんで、受からなければ、そちらへということはよくあります。

山崎:その逆もありますよ。中学でなかなか有望な選手で声を掛けておくのですが、公立を希望しているのでということで、開けてみたら検見川に受かっていたりしていてね。

――成田の場合だと、公立との併願だとどのあたりになるのですか。

尾島:ウチは佐倉、佐原、千葉東あたりとの併願が多いですかね。もちろん、ウチの場合は、狙い撃ちで来る子がいますけれども、合格してくれればいいのですけれども、そうならない場合もあります。

――まずは、選手獲得というか、人を集めるところからがチーム作りの手始めということですね。

全員(異口同音)そうですね。集まった子たちの能力を見極めながら、どう育ててどういうチームを作っていくのかというところから始まりますね。

座談会(2)に続く

【THE INSIDE】「千葉県の高校野球を支えていこう」指導者たちの熱い思い…座談会(1)

《手束仁@CycleStyle》

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