進学費用捻出のポイント4…「お金」について話す、経済的事情はしっかり伝える

 大学生活でかかるお金には生活費・仕送りといった学費以外の費用がある。重要になるのは「何が我が子にとって一番大事なのか?」という視点から、お金の使い方を考えることだという。

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進学費用捻出のポイント4…「お金」について話す、経済的事情はしっかり伝える
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 大学生活でかかるお金には生活費・仕送りといった学費以外の費用がある。「親子の対話」で経済的事情を伝え、現実的に金銭的援助をどこまでできるのか話し合いも大切だ。

 ファイナンシャルプランナーの八木陽子さんによれば「何が我が子にとって一番大事なのか」という視点から、お金の使い方を考えることが重要だという。アローコーポレーション企画・編集・発行「大学選びの新常識 2019年度版」より、高校生・受験生の親に役立つお金に関する情報を紹介する。

その差はおよそ400万円 一人暮らしと実家暮らし



 ひと昔前には月10万円を超える仕送りが当たり前でしたが、もはやそんな時代ではありません。2017年の平均仕送り額はおよそ7万円と減少しています(全国大学生活協同組合連合調べ)。こうした経済的事情もあり、私立大学に通う学生のなかで、2000年には55.7%だった自宅通学者は、2016年には64.7%にまで増えています(独立行政法人日本学生機構調べ)。

 一人暮らしと実家暮らしを比較すると出費の差は歴然です。例えば、関東で家賃5万円のアパート暮らしをすると、入居時の敷金・礼金・仲介手数料(家賃3~4ヵ月分)と家賃1か月分を合わせて20~25万円。これに家具・家電代が加わると、 60万円ほど必要になります。さらに入居後にも毎月家賃、光熱費がかかり、毎月7万円ほどの仕送りが必要。4年間の仕送り総額は340万円にも達し、入居時の費用を合わせて、実家暮らしとの出費差はおよそ400万円にもなります。

経済的事情を伝えて 子どもに金銭教育を



 子どもにお金の心配をさせたくないというのが親心ですが、自分たちの老後の資金についても考えなければいけない時代ですから、現実的に金銭的な援助をどこまでできるのか話し合いも大切です。

 仕送りを受けながらもアルバイトをするのは決して珍しいケースではなく、月6~7万円を子ども自身で賄うという方針にしている家庭もあります。また、奨学金制度を利用するという手もあります。ただしポイント3でもご紹介した通り、その多くは卒業後に返済義務のある「貸与型」で、いわゆる借金になります。返済を滞納すると延滞金などのペナルティが課されます。

 奨学金を借りるのは、あくまでも子ども本人。子どもと一緒に返済プランを考え、当事者意識をもたせるのもいい社会勉強になるはずです。返済義務のない「給付型」の奨学金を充実させる大学も増えていますので、志望校選びの参考にしてみてもいいかもしれません。


ファイナンシャルプランナーに聞く 大学で何をしたいか明確に



 ファイナンシャルプランナー八木陽子さんは(株)イー・カンパニー代表を務める。「お金は生活に必要なものなのに、なぜ、話す機会が少ないのだろう?」という疑問から、情報誌の編集者を経て独立。書籍や雑誌の執筆、 講演など多方面で活躍。親子でお金と仕事を考える「キッズ・マネー・ステーション」主催。

一番大切なのは 「我が家」の方針



 大学進学は教育費のピークです。ひとまず塾代、受験費、学費を払えたとしても、あれもこれもと経験させたくなるのが親心というもの。グローバル時代ですから、子どもに語学力を身に付けさせたいとなれば長期留学が必要になり、費用もより高額になります。さらに今の時代、大学生のうち11.33%、理工系学部の4割が大学院に進学しています。我が子が大学院へ進学する可能性も十分にあるわけです。それこそお金をかけだしたらキリがありませんが、自分たちの老後も考えると現実的にやりくりが難しいというご家庭も多いでしょう。

  そこで重要になるのが「何が我が子にとって一番大事なのか?」という視点から、お金の使い方を考えることです。ここで欠かせないのが親子の話し合いです。


大学進学は 子どもが自立する機会



 まずは大学で何がしたいのかを子どもに聞いてみましょう。その上で、親として経済的にどこまで支援できるのか、 そのために子どもはどうしたらいいのか、親子で一緒に考えましょう。例えば、音楽の勉強をしたいというのであれば、音楽を習うことにはお金をかけるけれど、それ以外はかけないという、取捨選択ができます。また、奨学金制度も検討したい事項です。音楽活動や留学を経済的に支援する制度のある大学を探してみるというのも手でしょう。

 そういったリサーチは思い切って親子でチャレンジしましょう。今の子どもたちはインターネットやスマホを使い慣れていますから、親よりずっとリサーチ上手かもしれません。 心配をかけたくないからと、子どもに経済事情をオープンにしないご家庭も多いと思いますが、高校生ともなれば半分大人。子どもの考えを尊重しつつ、一緒に我が家の教育費を考えるべきです。それが子どもの自立を促すことにもつながりますし、大学進学の意味を考えさせるいい機会にもなるはずです。

高校生・受験生のお母さんお助けBOOK 大学選びの新常識 2019年度版 (講談社 Mook(J))

発行:講談社
編集:アローコーポレーション
 はじめての大学進学を控えた高校生と保護者の方々へ――。志望校選びのタイミングだけでなく、大学進学を前にした様々な場面で必要となる「考え方」や「基礎的知識」を知ることのできる一冊です。日々進化を続ける大学の取り組みやその特徴も数多く紹介。自ら進む道を見つけるために、我が子をより確かな未来へと導く道を見つけるために、数多くの大学の紹介からきっと志望に合う一校を選ぶことができるはずです。
 特集では、現在内閣府が推し進めている科学技術政策“Society5.0”について、アイドルと有識者との対談形式で解説していきます。またその中では、大学での事例や内閣府のインタビュー記事も掲載。私たちの生活が今後どのように変わっていくのかを考察します。そのほか有名人の大学進学エピソードや、様々な入試形式の解説など役立つ記事をたっぷり掲載。大学進学を前に不安を抱える皆さんが、何かヒントを得ることのできる一冊となっています。


<協力:アローコーポレーション>
《編集部》

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