「テキストプログラミングは小学生には難しいは大人の思い込み」松田孝氏

 くもん出版は2020年10月28日、渋谷ソラスタコンファレンスにて「くもんが考えるこれからのプログラミング教育~なぜ、いま小学校教育にプログラミングが必要なのか?」をテーマに記者発表会を開催した。

教育ICT 小学生
左から志村直人氏、松田孝氏、福野泰介氏
  • 左から志村直人氏、松田孝氏、福野泰介氏
  • くもん出版代表取締役社長の志村直人氏
  • 小金井市立前原小学校前校長の松田孝氏
  • 「テキストプログラミングは難しい」は大人の思い込み(松田氏)
  • IchigoJamの理由
  • IchigoJam開発者でjig.jp会長の福野泰介氏
  • くもん出版のプログラミング商品ラインナップ
  • マタタラボ
 くもん出版は2020年10月28日、渋谷ソラスタコンファレンスにて「くもんが考えるこれからのプログラミング教育~なぜ、いま小学校教育にプログラミングが必要なのか?」をテーマに記者発表会を開催した。

 くもん出版では、2020年5月にプログラミング教育の第一人者である小金井市立前原小学校前校長の松田孝氏著「学校を変えた最強のプログラミング教育」を発刊。松田氏の考えを土台に、未就学児から小学生向けの玩具・教材・書籍をラインアップし、Society 5.0の時代を生きる子どもたちの学びを支援していく。

 9月には4歳からプログラミングが学べるSETAM&プログラミング玩具「matatalab(マタタラボ)」シリーズを発売し、10月には子どもパソコン「IchigoJam(イチゴジャム)」を使った、初学者(小学中学年~)向けテキストプログラミングワークブック「くもんのプログラミングワーク(1)はじめる!IchigoJam」「くもんのプログラミングワーク(2)チャレンジ!IchigoJam」を発刊。「学びを遊びに」をコンセプトに、子どもたちの新しい学びを支え、可能性を広げていくことのできるプログラミング商品を提供していく方針を示した。

 記者発表会の冒頭で、くもん出版代表取締役社長の志村直人氏は、「くもんのプログラミングワーク」を出版したあと、書店さんから『プログラミングってよくわからない』といったお声をたくさんいただいた」とし、「この疑問に答えるために松田孝先生と、(IchigoJam開発者でくもんのプログラミングワーク監修者の)福野さんをお招きした」と発表会開催の主旨を説明した。さらに「これからの時代を生きる子どもたちには、コンピューターを活用する力が求められる」としたうえで、「多くの学習教材を提供してきた経験を生かし、Society 5.0を生きる子どもたちに必要な教材を提供する役割を果たしていきたい」と挨拶した。

くもん出版代表取締役社長の志村直人氏
くもん出版代表取締役社長の志村直人氏

プログラミングは教えない
子どもたちに委ねれば良い



 松田氏は、公立小学校でいち早くプログラミング教育に取り組み、積極的に推進したことで注目されている。2019年3月には学校現場を離れ、同年4月にMAZDA Incredible Labを設立。プログラミング教育にとどまらず、AI教育等、Society 5.0の新しい学びの実現に向けた取組みを行っている。また、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程にも在籍し、教育心理学の知見をもとに、ICTを積極的に活用した学級集団づくりの新しいアプローチとその有効性をめぐって研究活動を行っている。

小金井市立前原小学校前校長の松田孝氏
小金井市立前原小学校前校長の松田孝氏

 2020年度に小学校ではプログラミング教育が必修化され、大きな話題となっているが、学校現場はGIGAスクール構想にともなうICT配備とその活用、さらにコロナ禍の影響もあり、プログラミングのプライオリティはかなり低くなっているという。そんななかでもプログラミング教育に取り組む学校はあるが、教科への組み込みに無理があり、プログラミングの良さである子どもたちを惹きつけるような授業を実践できていないケースもあるようだ。

 それでも松田氏は、「先生方が、子どもたちがこれからの時代を生きるスキルを身に付けるために、プログラミングこそが大事な学びであると理解することで、子どもたちと一緒に実践できるようになっていくのではないだろうか」と期待する。「プログラミングは教師が教えるものではなく、子どもの自発的な学びや、子ども同士の学び合いで身に付いていくもの」とも語る。「教員が教えなければいけないという考えは古い。信じて子どもたちに任せる、プログラミング教育は子どもたちに委ねれば良い」という。

 Society 4.0までの時代では、人々はフィジカル空間(実世界)を生きてきた。しかし、子どもたちが活躍するSociety 5.0はフィジカル空間とサイバー空間(仮想的な空間)が渾然一体となった社会だと松田氏は語る。「この時代を生き抜くためにはどうすれば良いのか?」、それは「コンピューターとお話できる力、プログラミング言語を習得することが必要。これがSociety 5.0に必須のリテラシーだと考えています」とする。

テキストプログラミング
小学生には難しいは大人の思い込み



 小学生が学ぶプログラミングとしては、Scratchに代表されるビジュアルプログラミングの人気が高い。しかし「くもんのプログラミングワーク」は、IchigoJamを用い、BASICでプログラミングする「テキストプログラミング」を学ぶもの。

 大人は、テキストプログラミングは小学生には難しいと考えがちだ。しかし、松田氏はこれは大人の思い込みだという。松田氏の経験から、子どもたちは「テキストプログラミングはかっこいい」といい、ビジュアルとテキストを選ばせると「テキストをやりたい」という子どもが多いのだという。「子どもたちは、実はゲームを通してキーボード操作に慣れている。文字の入力に慣れていないのは、トレーニングしていないから。最初はキーボード入力できなくても、子ども同士の学び合いで身に付けていくのです。もうひとつ、3年生からはローマ字を習い、英語活動が始まります」と説明し、「そういう意味からも、テキストプログラミングはこれからの時代にマッチしていると思います」とする。

 また、IchigoJamで小学生のうちにテキストプログラミングを学んでおけば、中学で急に難しくなるプログラミング教育にも無理なく移行でき、さらにはその上の高校の情報、そして、大学入試にもつなげていくことができる。そういう意味でも「小学校でテキストプログラミングを身に付けておくことはとても大切」だと念押しした。そして、「くもんのプログラミングワーク」は、いうなれば「コンピューターとお友達になって願いを叶える本」だと表現した。

IchigoJamの理由
IchigoJamの理由


子どもたちの興味を引き出しながら
楽しい授業を進行



 松田氏に続き、IchigoJam開発者でjig.jp会長の福野泰介氏が、IchigoJamを使ったプログラミングのデモンストレーションを行った。IchigoJam誕生の地である福井県鯖江市では、小学校4年生からIchigoJamによるテキストプログラミングに取り組んでいるのだという。

IchigoJam開発者でjig.jp会長の福野泰介氏
IchigoJam開発者でjig.jp会長の福野泰介氏

 デモンストレーションでは、基礎から段階的に、子どもたちの興味を引き出しながら進行する楽しい授業のようすが紹介された。

くもん出版のプログラミング商品



 くもん出版では、プログラミング的思考を身に付けるパズルなどの知育玩具、4歳から学べるSTEAM&プログラミング玩具「マタタラボシリーズ」、IchigoJamでテキストプログラミングを学べる「くもんのプログラミングワーク1/2」と、成長段階に応じてステップアップできるプログラミング商品をラインアップする。

くもん出版のプログラミング商品ラインナップ
くもん出版のプログラミング商品ラインナップ

くもんのプログラミングワーク



 「くもんのプログラミングワーク」では、キーボードが初めての子どもでも、ワークブックに沿って進めていくことで、タイピングによる本格的なプログラミングを学ぶことができるという。1では基本的なキーボード操作の練習から始め、基本的な命令でLEDを光らせたり、音を鳴らしたりすることで楽しさを実感。2では1で学んだコマンドを組み合わせてゲーム作りまでチャレンジできる。

マタタラボシリーズ



 「マタタラボ」は世界50か国以上、4,000以上の教育現場等で使われているSTEAM&プログラミング玩具で、対象は4歳から。パソコンやタブレットの画面上でビジュアル化されたパーツを操作しプログラミングを実行するビジュアルプログラミング、実際にモノを動かすフィジカルプログラミングを、遊びながら学べるというもので、発展的な学びができることが特徴だという。

 カラフルなブロック(命令)を組み合わせて、手のひらサイズのロボットを動かしたり、音楽を奏でたり、図形を描写したりすることで、筋道を立てて論理的に考える力=プログラミング的思考を養うことができる。

マタタラボ
マタタラボ

マタタラボで図形を描写
マタタラボで図形を描写

 「マタタラボ」は、一般向け、教育機関・法人向けともに販売。より発展的なプログラミングを学べる「マタタラボ センサー・アドオン」や、教育機関・法人向け専用の「マタタラボレッスンセット1/2」も用意している。
《田村麻里子》

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