岡山大学は、2022年11月30日、全国一斉休校前後での子供たちの喘息新規診断数の変化を解析した研究結果について公表した。2020年3月の全国一斉休校後に著しく減少し、その後も15か月に渡って低水準を示したことが明らかになった。
同研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域の頼藤貴志教授、松本尚美助教の研究グループが、日本最大規模の医療情報データベース「RWD データベース」のデータを用いて、全国一斉休校前後での子供たちの喘息新規診断数の変化を解析したもの。
本研究によると、子供の喘息新規診断数は、2020年3月の全国一斉休校後に著しく減少し、その後も15か月に渡って低水準を示したことが明らかになった。喘息診断数の減少（月平均59%減）はアトピー性皮膚炎（月平均20%減）と比較しても顕著で、呼吸器ウイルス感染症に罹りやすい2歳以下では月平均72％減とさらに減少が目立った。この減少トレンドは、ライノウイルスやRSウイルスの報告トレンドと近似しており、呼吸器ウイルス感染症と子供の喘息発症との関連を示唆している。喘息発症のリスクの高い子供にとって、これらの呼吸器ウイルス感染を予防することは喘息発症を抑えることにつながる可能性がある。
松本助教は「コロナ禍では新型コロナウイルス感染症自体だけでなく、パンデミックにともなう人々の生活行動様式の変化が、子供たちの身体や心の健康に大きな影響を与えたと考えられる。こうした影響を調べることで、未来を担う子供たちの健康を守ることに貢献できれば嬉しい」と述べている。
同研究成果は2022年9月24日、米国アレルギー 喘息・免疫学会の学術雑誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に掲載されている。
