【年頭所感】教育業界のキーマンに聞く2023年…多様な価値観で語り合う場づくりを

 2023年の教育の姿について、業界のキーマンはどのように考えるのか。これからの教育を率いていかれるであろう方々に、読者へのメッセージをお寄せいただいた。

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【年頭所感】教育業界のキーマンに聞く2023年
  • 【年頭所感】教育業界のキーマンに聞く2023年
  • 教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏
  • 教育家・見守る子育て研究所® 所長 小川大介氏
  • 来教育デザイン 代表社員 平井聡一郎氏
  • Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表 ボーク重子氏
  • 国際教育評論家 村田学氏

 コロナ禍迎える新年も3回目。冬休みに関する複数の調査で「家族でゆっくり自宅で過ごす」という回答が多いことをみると、コロナによるストレスすらも乗り越えて、まさにニューノーマルな暮らしを手にした社会像がみてとれる。

 学び方・学ぶ場所の多様化をはじめ、ここ数年で教育や学びにおける多様な価値観を認める土壌ができたように感じられる。2021年にはオルタナティブスクール、2022年には全寮制の学校やインターナショナルスクール等のさまざまなタイプの学校が相次いで開学したのも、その業績ともいえるだろう。そしてこの流れは、おそらく2023年も継続していく。引き続き、これからの教育を率いていかれるであろう方々に、2023年の年頭所感をお寄せいただいた(掲載は、名前五十音順)。

育児・教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏

 年始の抱負などそういったものを特に抱いたことはありません。年が変わっても、私にとっては明日が今日になっただけなのですが、せっかくなので少しだけ説教じみたことを言わせていただこうと思います。もちろん教育は社会にとって非常に大事なことですが、教育は社会を変える万能薬ではありません。教育を語る前に、まずは大人がしっかりしなくてはと思います。
 さて、私事ではありますが、一昨年12月よりオンラインサロンなるものを細々と運営しています。「ついにおおたも信者ビジネスを始めたか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。「オンラインで、安心して子育てや教育について語り合える場をつくりたい」そう思いました。システム上の最低金額設定の月額参加費を頂きますが、会費収益の全額を無料塾と子どもシェルターに寄付します。ぜひ、「思うところ」だけでもご覧になってください。

公式Web:オンラインサロン「正解がない時代の育児・教育・受験・進学について気軽に語り合える井戸端」



教育家・見守る子育て研究所 所長 小川大介氏

 明けましておめでとうございます。2023年の幕開けを、私は人々が心を通じ合わせ連帯する1年であってほしいと願いながら迎えました。2022年は世界的に苦悩が募った1年ではありましたが、私にとっては子供たちの未来を閉ざしてはいけないと、心ある大人たちが奮起する姿に数多く触れられた年でもありました。子供のありのままを見つめ、子供本来の力を見つけ出す「見守る子育て」を学びたい、実践したいという親御さんも日に日に増えていることを嬉しく思うとともに、自分が「見守る子育て」を日本の常識にしていく使命を担っていることを自覚した1年でもあります。
 You Tubeチャンネル「見守る子育て研究所」や各種メディアでの発信、公式LINEで情報を提供。さらに「見守る子育て」を実践したいと強く願う方のために、私が60日間マンツーマンで向き合う『本気の見守る子育て講座』を開始しました。わが子のありのままを見守るには、見つめる目を養うとともに、親が自分自身を捉え直すことも大切です。時間のかかる取り組みを短期間で実現していく集中講座ですが、親子の対立、学習の悩み、不登校、発達特性に関すること等さまざまな悩みが現に解決に向かい、「見守る」ことの大きな力が証明されています。親は誰しも子供を大切に思っている、どの子も頑張りたいと思っている、ただ自分に合った実現の仕方がわからないだけで、そこを支援すれば誰もが親子本来の姿を取り戻し、成長していけるのです。
 2023年の私は、小川式才能診断サービス、書籍の刊行(現在3冊を予定)、各種メディアとSNSによる発信、「本気の見守る子育て講座」によって日本の親子を具体的実践的に見守り、支援していきます。活動のようすは公式LINEで報告していきますので、ぜひご登録いただき、私と共に「見守る子育て」を広げていただければと思います。今年も応援のほど何卒よろしくお願いいたします。

公式WEB:小川大介の「見守る子育て研究所」(YouTube)/ 公式LINE:「小川大介の見守る子育て研究所【公式】」



未来教育デザイン 代表社員 平井聡一郎氏

 2020年に新学習指導要領が小学校から実施され、その学びを支える教育環境の整備としてGIGAスクール構想がスタートしました。その結果、2021年には、全国の小中学校において1人1台の端末環境での学びが実現しました。そして2022年。全国の学校で、新学習指導要領の目指す学びが実現することが期待されていましたが、現実には3割程度に留まっているのが現状かと思います。これがICT機器活用に関する文部科学省の質問紙調査から読み取った私の実感です。つまり、ICT機器の活用が、従来の学びの中での活用に留まり、「主体的、対話的で深い学び」を進めるための活用に至っていない学校が多いということです。
 しかし、私はこの状況を悲観的には見ていません。変化に慎重な教育委員会や学校の3割が学びを転換したことに希望を感じるからです。さらに、そうした教育委員会や学校は首都圏に限らず、全国各地で点在しています。2023年。私たち教育に関わるものは、こうして地方に打たれた点から希望の灯火が広がり、点が面になっていくことを期待するとともに、まだまだ小さな灯火を応援し、まずは7割の学校が新しい学びに転換することを目指していきたいと思います。そのため、まずそれぞれの学校が自分たちの立ち位置をアセスメントし、何から始めていくのかを学校とともに考えていくという教育サービスが展開できればと考えています。学校の外から教育に関わる皆様が手を取り合い、学校DXを支え、その実現に向けて取り組みましょう。

公式Web:情報通信総合研究所



Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表 ボーク重子氏

 リセマム読者の皆さま、明けましておめでとうございます。2022年も皆さまとサイトを通じてつながることができて、本当に幸せでした。2023年も非認知能力育児のパイオニアとして、また非認知能力育児コーチ140名を抱えるBYBSコーチングの代表として邁進していきますので、昨年同様どうぞよろしくお願いします。
 2022年を振り返って思うことは「2023年こそ『認知+非認知能力』を育む教育を求める親御さんが増える」ということです。知識の詰め込みでは解けない受験問題が増えていることは報道からも明らかで、また、「偏差値」という日本特有の人物評価基準が一生の安定と幸せを保障するものでは、もうないことが明白だからです。
 加えて、コロナ禍を生きる中で自己肯定感や自分軸、主体性や回復力などの非認知能力の重要性を実感した方も大勢いらっしゃることでしょう。
 グローバル社会は20年ほど前からすでに知識の詰め込みに限界を感じ、変化の激しい時代を生き抜くための人間力を育むために教育を『認知+非認知能力』にシフトさせています。特に2015年からの移行が顕著です。にもかかわらず日本の公教育がなかなか変わらないことにヤキモキしている親御さんが増えています。
 学校が変わるのを待っていては確実に遅れをとります。そして非認知能力の育成に格差があってはいけない。だからこそ、まずは家庭から始める。その信念のもと、140名の非認知能力育児コーチ陣一丸となって家庭での子どもの非認知能力の育成に努めて参りますので、どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

公式Web:Shigeko Bork BYBS Coaching



セブンシーズキャピタルホールディングス代表取締役・国際教育評論家 村田学氏

 明けましておめでとうございます。2022年には、ハロウ安比校、国際高等学校、白馬インターナショナルスクールと全寮制のインターナショナルスクールが開校しました。本年は、ラグビー日本校、マルバーン東京校が開校します。英語で学べる学校が増える中で、国際化とともに多様性のある学び舎ができ始めています。多様性は社会の中にあり、本年は5つの意味で学びの場所、仕組みの多様性が芽生えてくる時期だと考えています。教育制度を多様化する注目すべきポイント5つ
 (1) インターナショナルスクールの増加と計画発表
 (2) 高専の増加と全寮制の学校が全国にどのように増えるのか
 (3) 小学校に国際コースの増加
 (4) コミュニティースクールの広がりとギフテッド児童の学びの場
 (5) オンライン教育とリアル教育の融合
 社会の中に芽吹く多様性は未来に飛び立つための土壌です。多様性ある学びを応援し、取り込むことで社会が次の構造変化に対応できる人材を内包していきます。多様性ある学びが社会に認知されていくプロセスに派手さはありませんが、一歩ずつ進む過程が未来への架け橋になると考えています。国際教育を中心に新たな学びをお伝えするとともに本年が皆様とって素晴らしい1年になりますよう願っております。

公式Web:セブンシーズキャピタルホールディングス

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