ノーベル賞アジア最多の京大、3年連続志願者増…駿台・京大入試情報講演会2024

 難関大学に抜群の合格実績を誇る駿台予備学校が、全国9会場で「京大入試情報講演会」を開催。毎年圧倒的な京大合格者を輩出している駿台だからこそできる、京大に特化した特別な講演会。その中で2024年7月28日にお茶の水校2号館で開催された講演の概要をレポートする。

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7月28日にお茶の水校2号館で開催された「京大入試情報講演会」
  • 7月28日にお茶の水校2号館で開催された「京大入試情報講演会」
  • お茶の水校2号館主任 京大入試に詳しい松本澪氏
  • 7月28日にお茶の水校2号館で開催された「京大入試情報講演会」
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  • 京都大学での学びの場
  • 京都大学入試科目・配点

 この夏、難関大学に抜群の合格実績を誇る駿台予備学校が、全国9会場で「京大入試情報講演会」を開催。毎年圧倒的な京大合格者を輩出している駿台だからこそできる、京大に特化した特別な講演会だ。これには各校舎で参加予約が殺到し、お膝元の京都はもちろん、東京や横浜でも会場を増設したほどの人気を博している。

自由闊達な学風を誇り、ノーベル賞受賞者を多数輩出している魅力ある京大に合格するには、どうやって勉強していけば良いのだろうか。2024年7月28日にお茶の水校2号館で開催された講演の概要をレポートする。

アジアで最多、11名のノーベル賞受賞者を輩出した京大

 駿台予備学校は7月28日、東京・お茶の水校2号館で「京大入試情報講演会」を開催した。約80名入る大教室で実施されたが、希望者が多く午前の回が満席となり、急遽午後の回を増設。猛暑日の中、大勢の保護者や中高生が詰めかけ、教室内も熱気にあふれた。

 講演では、お茶の水校2号館で高卒(浪人生)クラス京大コース担任を務め、京大入試に精通した松本澪氏が登壇。自身も関西出身という松本氏は、文系理系問わず京大受験生を長年指導してきた経験から、「京大ほど素晴らしい大学はない」と言い、次の5つの魅力をあげた。

  • 10の学部・大学院、4つの専門職大学院、6つの独立研究科、12の研究所をもつ日本有数の教育機関であること

  • アドミッションポリシーにも掲げているように、受験生に対して高校までの教科・科目の習得により、単なる知識や公式にとどまらず、分析力と俯瞰力、そして習得内容を活用する力といった高度なスキルを求めている難関大学であること

  • アジアの大学で最多となる11人のノーベル賞受賞者を輩出しており、国内でトップクラスの研究機関であること

  • 古代より長い間、国の都が置かれ、歴史の表舞台であり続けた京都だからこそ、1年間を通じて祇園祭、葵祭、時代祭といった京都の歴史あるイベントをはじめ、日本の文化を体験できる土地柄であること

  • 大学卒業後、文系では就職する比率が高いものの、理系では大学院に進み、さらに高度で専門的な学びを追究するという進路を選ぶ人が多い学究的な環境にあること

京大の人気は上昇中 0.01点が合否の分かれ目に

 続いて松本氏は、最新の京大の入試動向について解説した。

 まず、志願者数推移を見ると、2024年は7,800人で前年から383人増え、3年連続の増加。人気の高まりがうかがえるという。ただしこの点について松本氏は、「約10年前の2013年は8,460人。つまり現在が超激戦であるわけではない」と冷静に分析した。

 では、どの学部が伸びているのか。2024年では、経済学部(理系)、教育学部(理系)、薬学部、医学部人間健康学科でやや減少傾向にあるものの、文系・理系とも概ね増加しており、特定の学部というより、大学全体として人気が高まっているようだ。

 さらに、京大が公表している2024年度入試での合格者最低点と合格者平均点を見ると、今年は文系・理系ともに合格者最低点が前年比でダウン。これは、「個別試験での近年稀にみる数学の難化が原因」と松本氏は語る。特に理系では数学の配点が大きい学部が多く、理学部では平均点が前年比で130点も下がる結果となった。

 ちなみに、京大の工学部では入試の段階で学科を選ぶ必要があり、第2志望の学科まで併願できる制度を設けている。ここでも学科ごとに合格者最低点、合格者平均点ともに公表されているが、2024年度入試で合格者最低点がもっとも高かったのは情報学科で、もっとも低かったのが理工化学科という結果だった。もっとも高い情報学科は、2017年以降8年連続のトップ。2番目は物理学科で、3番目と4番目を年度によって電気電子工学科と建築学科が入れ替わる形になっている。5番目地球工学科、6番目理工化学科という並びは2016年以降変わっていない。松本氏はこの工学部の入試から、次のような事例をあげた。

 「たとえば今年は、理工化学科の合格最低点が527.78点、地球工学科が同529.66点でした。その差はたった1.88点ですが、学科によってはマーク漏れや漢字、計算、英語のスペルミスなど、わずかな不注意で合否が分かれるのです」

 だからこそ、「落としてはいけない問題を確実に取る学力の基盤をしっかりと身に付け、1点を大事にしてほしい」と強調した。

京都大学志願者数の推移(提供:駿台予備学校)

学部ごとに異なる京大の入試、事前の戦略が要

 松本氏によると、京大では入試で求められる科目や配点が学部ごとに異なるため、正確に情報を把握するには、志望する学部の最新の募集要項を細かくチェックするなど注意が必要だという。

 2025年度入試に向けて、松本氏は、共通テストで新科目として加わる「情報」の扱いについて、「京大ではすべての学部で配点を圧縮しつつも得点化している」と述べたほか、学部ごとの入試の特徴や変更点を詳しく説明した。

  • 文学部:文系の学部の中で個別試験の数学の配点がもっとも低い。

  • 法学部:2025年度入試から個別試験の外国語の配点が150点→200点とアップ。ただし、共通テストでの地歴公民では2科目受験のうち、「世界史」または「日本史」どちらか1つが必須。なお、後期試験で行われていた特色入試は廃止となり、学校推薦型選抜へ移行。

  • 経済学部(文系・理系):文系では共通テストで理科・地歴公民共に2科目必須。個別試験は国語・外国語・数学・地歴公民1科目。一方、理系で受験する場合、共通テストの理科・地歴公民は共に1科目のみ、個別試験は国語・外国語・数学のみ(ただし数学は数ⅢCまでが範囲に含まれる)。

  • 教育学部(文系・理系):文系は、文系学部の中では個別試験の配点が高く、特に国語と外国語が高い。理系は、共通テストの理科は2科目、個別試験では1科目。

  • 総合人間学部(文系・理系):共通テストでは、情報含めて全科目受験が必要だが、配点に含まれるのは、文系では地歴公民・理科・情報、理系では地歴公民・情報のみ(理科は不要)。文系では理科、理系では地歴公民の配点が高い。一方、個別試験では、国語・外国語・数学のほか、文系では地歴公民、理系では理科2科目が課せられる。文系は、文系学部の中で数学の配点がもっとも高いのも特徴。

  • 理学部:2次試験の配点が高く、特に数学の配点が高い。

  • 医学部:医学科は京大の中で最難関。個別試験の配点が高く、特に外国語の配点が高い。志望理由書の提出や面接試験もあり負担大。人間健康学科とは個別試験の配点が異なる。

  • 工学部:2025年度入試から共通テストで配点の変更があり、これまで配点に含まれなかった理科と数学も得点化される。これにより、共通テストの得失点が合否を分ける可能性が高まるので要注意。

  • 薬学部:2025年度入試から共通テストの配点が下がる。

  • 農学部:2025年度入試から共通テストで情報の配点が追加されるかわりに国語の配点が下がる。

入試科目・配点(提供:駿台予備学校/必ず大学発行の当該入試年度の募集要項等をご確認ください)

合格の鍵は共通テストか個別試験か

 では、来年の京大入試はどうなるのか。今年の第1回駿台全国模試のデータからは、「京大は文系・理系ともに人気の高まりが継続しており、志願者の増加が予想される」と松本氏は言う。特に文系では経済学部・総合人間学部で2桁増、理系では定員数の多い理学部・工学部での増加が目立つようだ。

 来年も引き続き人気が見込まれる京大。先ほど見たように、京大の入試は学部によって各々異なるが、全体として難関大共通の「個別試験が勝負」というイメージをもたれやすい。  

 ところが、松本氏は、「京大こそ共通テストが非常に大事」だと強調する。

 「たとえば文学部の入試では、共テ:個別=1:2の配点比率ですが、駿台が2024年度入試で調査した合格者の共通テストの自己採点と京大が公表している合格者平均から換算すると、実態は1:1.54。理系でも同様で、工学部地球工学科を例にあげると、配点比率は共テ:個別=1:4でも、実態は1:2.48。この数字からわかるのは、京大の個別試験は難問が多く、高得点を取りづらいということ。京大に合格するには個別試験の難問対策ももちろん必要ですが、共通テストのインパクトはけして小さくない。文学部を見ても、共通テストの合格者平均は約85%。つまり、共通テストで高得点を取れるようにしておくことが合格に向けた鍵になるのです」(松本氏)

 京大を含めた難関大学に合格した駿台OB・OG対象のアンケートでも、「英語と数学をもっとしっかりやっておくべきだった」という後悔が多く見られるという。京大合格を確かなものにするには、高1・高2からの基礎への取り組み方が重要になってくると言えそうだ。

お茶の水校2号館高卒(浪人生)クラス京大コース担任で、京大入試に詳しい松本澪氏

難問の出る個別試験、対策の決め手は…

 松本氏は京大志望者に向けて、高1・高2生には「年3回行われる駿台全国模試を活用してほしい」と述べ、その際に「判定」ではなく「設問別成績」をチェックするよう促した。「大問ごとの全国平均と自分の成績・得点率を見比べて、全国平均以下の問題にフォーカスすること。これは、得点すべき重要な問題が取り切れていないということなので、ここを優先して対策を進め、苦手分野をなくしていくことが大切」と訴えた。

 同様に、高3生・既卒生にも「年2回の京大入試実戦模試で、全国平均に達していない分野を重点的に復習して得点源にするだけで判定がひとつ上がるというケースが多い」と松本氏。夏の模試後は、平均点に届かなかった問題をしっかり対策してほしいと述べた。

 さらに、個別試験対策で鍵になるのは、記述問題の自己採点だと松本氏は言う。駿台が京大の個別試験の自己採点と成績開示結果を比較して分析したところ、合格者より不合格者のほうが自己採点の結果が想定より低い成績となっていることがわかったそうだ。

 「復習を入試本番での得点力につなげるには、正しく自己採点をする力が必要です。模試では解答解説だけではなく、採点した講師による問題ごとのコメントをまとめた『採点講評』を熟読し、自分の答案と見比べて、何が原因で点数がもらえていないのかを分析してみてください。特に部分点についての細かい採点基準を確認して、精度の高い自己採点ができるようにすることが合格への近道になります」(松本氏)

講演会の参加人数からも人気がうかがえる

OGからのエール「周りと比べないで、後悔しない道を」

 最後に、駿台お茶の水校で1年間の浪人のあと、今春、医学部人間健康学科に合格したOGの安井和奏さんがオンラインで登壇。自身の受験生活を振り返った。

 安井さんは「焦って無理に難しいことに手を出すよりも、基礎で苦手な部分をおろそかにしないことが大事」と語り、高1・高2のうちに毎日のルーティンワークを決めるなど、勉強習慣をつけておくことの重要性を訴えた。そして、来年受験を迎える高3・既卒生に向けては、「直前期は皆、緊張する。そこを乗り越えるためには、これだけやってきたから大丈夫』と思えるものを作っておくと良い」とアドバイス。「周りと比べて落ち込む必要はなく、自分が後悔しない道を選んで」とエールを送った。

 駿台からは、受験時の宿泊先の手配から合格後の京都でのひとり暮らしに関する情報提供や、高1・高2および受験生向けの夏期講習、模試情報、本講演会の秋冬編についてなども紹介され、京大合格に向けた気運の盛り上がる講演会となった。


駿台の情報力で複雑な京大入試を制する

 微に入り細に入る、密度の濃い入試情報講演会だった。「受験は情報戦」というとおり、こうした緻密な情報を理解することが受験を制する第一歩となるのだろう。近年はその自由で枠にとらわれない学風に憧れる受験生が多く、全国規模で人気を集める京大だが、ぜひ合格を目指して、駿台の情報力とサポートをおおいに活用してほしい。

駿台の京大情報ポータルはこちら
駿台式京大合格までのロードマップ-駿台の京大イベントまとめ-
《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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