「非認知スキル教育プログラム」で思考力が伸ばせる~浜学園・塾生親子インタビュー

 学校教育で思考力・判断力・表現力の育成が重視されるようになり、中学受験でもこうした非認知スキルを問う問題が増加傾向にある。灘中学校合格実績日本一の浜学園は、大手中学受験塾として全国で初めて非認知スキル教育プログラムを導入。本記事ではこのプログラムをどのように取り組んでいるのか魅力や特長について話を聞いた。

教育・受験 小学生
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インタビューにご協力いただいた通塾生とお母さま
  • インタビューにご協力いただいた通塾生とお母さま
  • 浜学園のお教室看板
  • インタビューに応じてくれた通塾生
  • インタビューに応じてくれた通塾生のお母さま
  • インタビューに応じてくれた通塾生
  • インタビューに応じてくれた通塾生のお母さま
  • 浜学園 教室マネージャーの七理正和氏
  • 壁に並ぶ「ギャラリートークトレーニング」

 学校教育で思考力・判断力・表現力の育成が重視されるようになり、中学受験でもこうした非認知スキルを問う問題が増加傾向にある。灘中学校合格実績日本一の浜学園は、大手中学受験塾として全国で初めて非認知スキル教育プログラムを導入。2024年度からは塾生全員に無料で提供している。

 では浜学園の生徒はこのプログラムをどのように取り組んでいるのだろうか。通塾生(小5)とお母さま、教室マネージャーの七理正和氏に本プログラムの魅力や特長について話を聞いた。

WEBSTAR SDGsカリキュラムの一部「Gallery Talk Training」

親世代には未経験の「正解のない問題」に驚く

--浜学園では全国の大手中学受験塾に先駆けて、2023年に「非認知スキル教育プログラム」を導入。塾生は全員無料で受講できるとのことですが、このプログラムを受講した感想を聞かせてください。

通塾生:自分の作った解答に「いいね」が付いたり、ほかの人の回答も見られたりするので、とても楽しいなって思いました。一応制限時間が決まっていて、始めたばかりのときは「3分経過」とか表示されると少し焦ったけど、自由に考えて良い問題なので、答えが思い浮かばないというのはなかったです。

インタビューに応じてくれた通塾生

お母さま:自分自身が子供のころには経験したことのないような問題ばかりで、最初見たときは驚きました。正解のない問題に私のほうがすぐに答えが思い浮かばなかったので、息子は一体どう答えるのかなと思いましたが、思いのほかすんなりと躊躇せず解いていました。固定概念に捉われない子供のほうが頭の硬い大人よりとっつきやすいのかもしれません。

--保護者から見て、小学生のうちからこのプログラムで学ぶ意義はどこにあると思いますか。

お母さま:最近では中学入試でも非認知スキルが求められる出題が増えてきていると聞くので、まずは入試対策として役立つのかなと。さらには、入試が終わったあとの長い人生においても、このようなプログラムを通じて自分なりの考えをまとめ、表現するということに慣れておくのは大事だと思います。先ほども言ったように、このプログラムの内容は、大人になればなるほどむしろハードルが上がっていくように感じるので、まだ常識にとらわれていない、柔軟な発想ができる子供のうちから取り組んだほうが効果的なのではないでしょうか。

自分が言いたいことをまとめる力がスピードアップ

--これまでさまざまな問題に取り組んできたと思いますが、プログラムの内容は面白いと感じますか。また、印象に残っている問題があれば教えてください。

通塾生:はい。おもしろさの内訳は、解答を考えるときが50%ぐらいで、自分の回答に「いいね」がついたとき40%、ほか諸々10%ぐらいかな。印象に残っているのは、サザエさんの出身大学と学部を設定する問題です。正解がなく、自分で想像して理由も考えるので、とてもおもしろかったです。

参照:SDGsカリキュラム


--お子さんはどのようなタイプですか。

お母さま:マイペースというか、普段から他人の目はあまり気にせず、自分なりの意見をもっているタイプです。このプログラムの問題はひとつの正解があるわけではないので、息子のようなタイプにとっては、自分の考えを自由に表現できる場として、すごく楽しく興味深い学習なのだろうと思います。

--このプログラムをやってみて、どんな成長を感じますか。

通塾生:解答を作るのがちょっと速くなりました。あとは、自分のことを紹介したり、自分の思ったことを文章にしたり、自分の言いたいことが言える力が付いていると思います。

お母さま:確かに、回を重ねるごとに、制限時間内に解答をまとめる速さがスピードアップしてきたように感じます。また、このプログラムが面白いのは、ほかのお子さんの解答も閲覧できることです。自分では考えつかないような多様な発想に触れられるので、息子の視野が扇形に広がっていくような期待も感じています。

インタビューに答えてくれたお母さま

受験期の親子関係が良好になるツールとしても活用

--プログラムの内容について親子で話す機会はありますか。

通塾生:お母さんに「『いいね』がついたよ」って見せたり、お母さんが「これ良いね」とか「これはもうちょっとこうしたほうが良いかな」という感じで話してくれたりするときが楽しいです。

お母さま:普段はなかなか予定どおり机に向かえなかったり、常識に捉われないことをしたりして、口煩く注意してしまうことも多いのですが、このプログラムの中では息子ならではの発想が光るので、親が気付いていなかった息子の良さや強みが見えて面白いですね。それは息子を褒める材料になりますし、褒められるとものすごく喜ぶタイプなので、「こんなことよく考えたね。すごいね!」と伝えると、「わーい」と飛びついてくるような感じです(笑)。親子関係を良好に保つツールのひとつになっています。

 夫は忙しく、父と息子が直接話題にすることはあまりないのですが、私が「こんな解答書いたよ」と夫に見せることで、夫婦のちょっとした会話のネタにもなっていますね。

--お子さんの非認知スキルの育成において、ご家庭で心掛けていることはありますか。

お母さま:家族仲は良いほうかなとは思うので、子供たちが自分の言いたいことを何でも安心して言えるような土壌はもともとあるのかもしれません。息子に関しては、幼少期から少し変わったことを言うので、「面白い子だな」と私自身感じてきました。息子の独特な考えは否定しないようにしてきましたし、できるだけそういう自由な発想の芽は潰さないようにしてきました。このプログラムでも、息子の解答を一緒に見ながら「いいね、いいね」「変わってるのが良いところだよ」と肯定的な言葉を伝えるようにしています。

家庭学習との両立でいちばん大切なのは、子供の心を満たすこと

--5年生なので学校や塾の勉強で忙しいと思いますが、このトレーニングはいつ取り組んでいますか。

通塾生:平日は宿題があるので、休日の暇なときに「じゃあやろうかな」みたいな感じですね。

質問に笑顔で答えてくれた通塾生

--あらかじめ取り組む時間を決めているというよりは、「やりたくなってきたらやる」という感じなんですね。お母さまから取組みについて促されることはありますか。

お母さま:最初は「こんなプログラムがあるみたい」と紹介はしましたが、それ以降は本人の好きなようにさせています。取り組まなければいけない課題が終わったタイミングで、「やろう」と自分で決めてやるというのが多いですね。

--学校や塾の学習との両立はどう工夫されていますか。

お母さま:5年生の今の時点では、特に問題なくできています。ただし息子の場合、やるべきことをやらないときというのは「思ったように親に向き合ってもらえていない」と感じるときのようです。ですからそういうときは、下の子の世話もあって忙しくても息子にちゃんと向き合い、意識的にスキンシップを取るなど、息子の心を満たすようにするとスムーズに取り組める感じがします。それでもやらなければ注意することもありますが、何よりも心の安定を大事にすることで今のところ上手く回っているように思います。

--子供がやるべきことに取り組めるのは、心が安定した状態であることがいちばん大事だということですね。

お母さま:浜学園のブログで精神科医の先生が、「朝起きたときと寝る前は落ち着いた状態で過ごしましょう」と書かれていたのを読んでから心がけるようになりました。寝る前に手をマッサージしたり、お腹をさすってあげたりすると、その数分で翌日は朝から元気がチャージされているように感じます。

 子供によって頑張れるパワーの源泉は違うのかもしれませんが、そこを少しでも満たしてあげることによって、勉強のほうにもスイッチが切り替わるんじゃないかなと。できない日もありますが、親としてはこれからもできるだけ大切にしていきたいです。

ご家庭でのようすもお答えいただいた

生涯役立つ本質的な力を小学生から積み上げる

--特に、中学受験でプラスになりそうだと思う点はありますか。

お母さま:学校によって傾向は違うと思いますが、このプログラムの問題がそのまま受験で出題されたという事例もあるようです。今後、どのような学校を受験するにしても、非認知スキルというのは今日やって明日すぐ結果に現れるものではないので、少しずつ積み重ねて力をつけておくことが大事かなと。そうすれば、中学受験に限らず、中学校・高校・大学・社会人になっても生涯生かすことのできる本質的な力が身に付いていくのではないかと思います。

--このプログラムは将来どのように役立つと思いますか。

通塾生:自分のことを紹介したり、自分から意見を言ったりする力がつくと思います。

お母さま:今後、AIのような技術が急速に発展していく中で、自分の考えを周囲に伝える力というのはどんな時代にあっても必要だと感じています。上手に相手に伝える術をもたないとコミュニケーションが噛み合わず、威圧的になったり暴力的になったりといったことにつながる可能性もあるのかなと。自分なりの考えをまとめ、言いたいことをちゃんと伝えられる術をもつことで、周りとの関係も円滑になり、いろいろな人と協力しあっていけるようになるのではないでしょうか。

--お子さんには今後、どのように成長してほしいですか。

お母さま:このプログラムにある問題もきっかけにしながら、自由な発想の芽をさらに伸ばしてほしいです。もちろん、自分の意見が言えるようになるには、前提として幅広い知識が必要だと思うので、学校や塾でこれまでどおりさまざまなことを学びつつ、自分らしさを失わずに突き進んでいってくれたらなと思っています。

--ありがとうございました。

浜学園 高槻教室マネージャー・七理正和氏

 最近は中学入試でも非認知スキルを求める出題が増えつつあり、すでに大学入試では学力だけでなく意欲や適性などを多面的に評価する総合型・学校推薦型選抜が6割近くに達しています。そこでは、本人が普段から何を考え、何を大事にしているかという価値観や将来へのビジョンが問われます。

 一方で、教室という現場で見ていると、間違うことを嫌がる子供たちが少なくありません。わからないことには黙って答えないという場面も目にします。ところがそんな子供たちも、このプログラムを通じて「正解はひとつではない」「自分の中に答えがある」と気付きます。そして、自信をもって自分なりの考えを表現する場数をたくさん踏むようになります。

 こうして早い段階で非認知スキルを身に付けると、思考力や表現力はもちろん、「もっと知りたい」「挑戦したい」といった学びに向かう力にもつながり、その結果、知識やテクニックの習得という認知能力にもプラスになるのです。

 今後の社会を生き抜くうえでも、これまで入試で問われてきたような認知スキルと非認知スキルの両輪が求められていると感じます。ですからこのプログラムは、今の子供たちがそこでつまずかないようにするためにも必要不可欠な取組みだと思っています。

 これからも、非認知スキルと認知スキルを両輪で身に付けていけるこのプログラムの魅力を、塾生・外部生問わず広くお伝えしていきたいです。


 お母さまの発言にもあったように、非認知スキルは一朝一夕に伸ばせるものではない。大人も対等に考え込める良質な問いに、家族で一緒に向き合うことで、小学生の段階から総合的・段階的に力を蓄えられる有意義なブログラムだと強く感じた。

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「浜学園」公式Webページ
《土取真以子》

土取真以子

関西在住の編集・ライター。教育、子育て、ライフスタイル、お出かけのジャンルを中心に、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆を手がける。教育への関心が強く、自身の出産後に保育士資格を取得。趣味が旅行とハイキングで、目標は親子で四国お遍路&スペイン巡礼。

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