立命館に日本初Adobe Student Ambassador誕生“挑戦をもっと自由に”

 立命館は大阪いばらきキャンパスにて「Adobe Student Ambassador」に立命館大学から10名、立命館アジア太平洋大学から10名が、日本で始めて認定されたことを発表した。あわせて、クリエイティブの新時代に学生主体で創造的な未来を切り拓く新たな空間「SEEDS」をお披露目した。

教育・受験 未就学児
PR
左から、Adobe Student Ambassadorの早川さん、小野さん、アドビの小池晴子氏
  • 左から、Adobe Student Ambassadorの早川さん、小野さん、アドビの小池晴子氏
  • 立命館 常務理事(企画担当)の山下範久氏
  • アドビ 教育事業本部 執行役員 本部長の小池晴子氏
  • 立命館大学 産業社会学部 4回生の小野さん
  • APU 国際経営学部イノベーション経済学専攻 4回生の平川さん
  • 左から、Adobe Student Ambassadorの早川さん、小野さん、アドビの小池晴子氏
  • Adobe Student Ambassadorによるワークショップ

 立命館大学は、伝統と歴史文化継承の地「衣笠キャンパス」(京都府京都市)、国際水準の文理融合型「びわこ・くさつキャンパス」(滋賀県草津市)、広く地域・社会に開かれ、アジアと世界をつなぐ学び舎「大阪いばらきキャンパス」(大阪府茨木市)の3つのキャンパスと、専門職大学院が設置されている「朱雀キャンパス」(京都府京都市)からなる。さらに、学校法人を同じくする大分県別府市の立命館アジア太平洋大学(APU)とも国内交換留学などの交流プログラムがあり、さまざまな挑戦を後押しする環境が特長となっている。

 学園は、“挑戦をもっと自由に”をスローガンに学園ビジョン「R2030」を掲げ、「新たな価値創造の実現」「グローバル社会への主体的貢献」「テクノロジーを活かした教育・研究の進化」「未来社会を描くキャンパス創造」「シームレスな学園展開」「多様性を活かす学園創造」の実現に向けた取組みを推進している。

 立命館は2024年12月23日、大阪いばらきキャンパス(OIC)にて「Adobe Student Ambassador」に立命館大学から10名、APUから10名が、日本で始めて認定されたことを発表した。あわせて、クリエイティブの新時代に学生主体で創造的な未来を切り拓く新たな空間「SEEDS」をお披露目した。

挑戦と共創の場「TRY FIELD」

 SEEDSが設置されているTRY FIELDは、「訪れるすべての人がTRYできる場所」をコンセプトに、OICで2024年度に運用が開始されたもの。SEEDSのほかにも、350インチ大型LEDビジョンが設置されさまざまなイベントやワークショップが行われる「TERRACE GATE」、日本の教育機関内に初めて設置され利用者のDX実現やスタートアップ等の支援を行う「Microsoft Base Ritsumeikan」、社会と繋がり課題を解決する場「Co-Creation Hub with Ritsumeikan」、多様な最新の研究を間近で見て体験できる「SP LAB」、誰でも自由に使えるプロ仕様の映像スタジオ「LIVE STREAMING STUDIO」など、学生の挑戦を後押しする施設が多数設置されている。

 立命館 常務理事(企画担当)の山下範久氏は、2024年4月にスタートした「TRY FIELD」の取組みについて、「誰もが挑戦できる場所、安心して失敗できる場所、のびのびとさまざまなことにTRYできる場所という思いで準備してきた」と説明。また、「テクノロジーの急速な変化が、学びの形を変えようとしている中で、これにふさわしい空間の形も作っていこうと考えてきました。スタートから約9か月、多くの学生が思い思いの挑戦をし、企業や地域の皆さまとの共創の試みが次々と始まっていくのを目の当たりにし、本当に嬉しく思っています」と語った。

立命館 常務理事(企画担当)の山下範久氏

国内初の「Adobe Student Ambassador」認定

 2023年9月のアドビと立命館の連携・協力協定書の締結以降、のべ16学部、19研究科、APU、小学校を含む附属校が参画する20以上のアドビ関連企画が実施され、参加者は2,000名以上にのぼるという。2024年4月には、立命館が日本の教育機関として初めて、クリエイティブなデジタルスキルの育成にコミットする革新的な大学の世界コンソーシアム「Adobe Creative Campus」へ加入し、Adobe Expressを学園に所属する小学生から大学生の約5万人全員と使用を希望する教職員へも付与。新たな価値創出を担う人材育成を推進している。

 山下氏によると、Adobe Creative Campusの取組みは、立命館の学園ビジョン「R2030」に掲げる「創造性人材育成」のステップのひとつ。山下氏は、クリエイティビティを身に付ける活動に意欲的に取り組み、その培ったスキルを学園内に広く還元する役割を担う「Adobe Student Ambassador」の認定、学生がアドビの最新ソフトウェアとテクノロジーを活用しクリエイティビティを育む空間「SEEDS」のリニューアルと、今回新たに2つの展開がスタートすることで、「R2030」のさらなる加速に向けアドビとの連携を深めていくことに意欲を見せた。

 「Adobe Student Ambassadorには、アドビのプログラムのもと、最新テクノロジーを駆使してクリエイティブデジタルリテラシーを育み、学園全体に刺激を与えてほしいとおおいに期待している」(山下氏)

 アドビ 教育事業本部 執行役員 本部長で、小中高大学専門学校とすべての学校向けにクリエイティブデジタルリテラシーを育むことをツールの面からサポートしている小池晴子氏によると、Adobe Student Ambassadorの認定はこれまで、アメリカやイギリスが中心で、一部オーストラリアでも展開があるが、英語圏以外の大学では立命館が初めてという。小池氏はAmbassadorの学生たちに、「今後は立命館の学園全体で利用できるデジタルクリエイティブツール『Adobe Express』と画像生成AI『Adobe Firefly』を活用したワークショップの企画運営や、学生視点からの授業や課題解決への活用について先生方への提案を行うなど、学園全体のクリエイティブデジタルリテラシー向上のために活躍していただきたい」とエールを送った。

クリエイティビティを育む空間「SEEDS」

 「SEEDS」は、社会や未来を変える挑戦をしたいという学生たちの思いに共感したアドビのサポートのもと、クリエイティビティを育む新たな空間としてリニューアルされた。山下氏は「学生生活でTRYしたいテーマがある、新しい仲間や社会、企業と繋がりながら社会課題の解決に関わりたい、そうした学生・生徒・児童がSEEDSに集い挑戦への一歩を踏み出していくことでしょう。こうした取組みは、教育機関単独ではなし得ないもの。アドビをはじめとして、社会な最先端を作るさまざまなプレイヤーと手を携え、未来をつくる人材の育成に取り組んでいきたい」と期待を語った。

 立命館では分野を問わず「挑戦してみたい」という思いをもった学生をSEEDS MEMBERとして、新たな社会共生価値の創造を目指し、企業や自治体のリアルな社会課題への取組みや各々の挑戦を後押しする。SEEDSを拠点のひとつに「学園ビジョンR2030」に向けたイノベーション、創発性人材の育成を加速させていく方針だ。

 小池氏はSEEDSのスローガン「Sowing the seeds of digital brilliance with Adobe at Ritsumeikan(立命館において、アドビとともに輝くデジタルの種がまかれそしてそれが芽吹いて大きく育っていく)」を紹介したうえで、「学内でアドビ製品の認知を高め、興味関心を醸成していただく場にしていただきたい」という。さらに、学生も教職員も、ニーズがアドビツールでどう満たされるのかを具体的に知り、具体的なアクションにつなげる場にしてもらいたいとし、「この入れ物に命を吹き込んでいただきたい。SEEDSが、時間や場所にしばられない、立命館学園らしいかたちでの学生のイノベーションのハブになれば」と期待を語った。

 今後の活躍が期待されるAdobe Student Ambassadorは、どんな学生たちなのか。立命館とアドビとの連携協定締結当初からワークショップの参加や学生の立場からの支援をしてきた立命館大学 産業社会学部 4回生の小野さんと、国内発のAmbassador組織立ち上げのリーダーを務めるAPU 国際経営学部イノベーション経済学専攻 4回生の平川さんに話を聞いた。また、アドビの小池氏にAmbassadorへの期待などを語っていただいた。

左から、Adobe Student Ambassadorの早川さん、小野さん、アドビの小池晴子氏

 小野さんがアドビに興味をもったのは、立命館大学新聞社の記者として取材をした、2023年9月のアドビと立命館の連携・協力協定書締結の記者会見がきっかけだという。小野さんは、「当時のアドビ株式会社の社長クレア ダーレイ氏に『学生に期待することは何か』と質問をしたところ、『挑戦することが大事』と繰り返し話されていたのが印象的でした」と語る。

立命館大学 産業社会学部 4回生の小野さん

 平川さんのきっかけは、4回生の夏休みに小池氏のもとでインターンをしたこと。インターン中のプログラムのひとつとしてAmbassadorについても学び、「もともと美術が大好きで、iPadで絵を描いたりすることが好きなので、画像生成AI『Adobe Firefly』を使うことが本当に楽しくて、他の学生にももっと広めていきたいと思いました」という。インターン中の平川さんについて小池氏は、「当時は日本での展開のないAmbassadorについて、平川さんが海外の担当者に直接アポをとり、積極的に情報収集して企画立案を進めていたようすが印象的だった」と語る。

 立命館で積極的に挑戦をしている二人だが、「高校時代には、こんな挑戦をしている自分を、まったく想像していなかった」と口を揃える。しかし、立命館の「挑戦できる」「安心して失敗できる」環境で学ぶ中で、さまざまな挑戦の機会に出会った

 小野さんは、立命館大学での4年間、人や学び、チャンスとの出会いがあったと振り返る。「いろいろな出会いが立命館大学には転がっていたように感じました。企業の役員の方など普段お会いすることのできないさまざまな立場の方との出会いを通じて、挑戦を後押ししてもらえる環境が整っていたと思います。失敗しても、出会った人たちに支えていただけるという安心感を得られたことも、挑戦へ一歩踏み出す理由になりました」(小野さん)

 平川さんは、半分が国際学生という多様な学生が学ぶAPUで、「失敗しても良い」ことを学び、「失敗したら怖いという思いで以前は踏み出せなかったことが、できるようになりました」と語る。

 大学進学を目指す中高生たちに、小野さんは「大学での学び方は自由。授業以外にもいろいろな機会があるので、さまざまな環境の中から自分が挑戦できる場所を探してほしい。そのために、自分のやりたいこと・興味のあることを見つけることが重要だと感じています」。平川さんは「迷わずに挑戦してみてほしい」とエールを送ってくれた。

APU 国際経営学部イノベーション経済学専攻 4回生の平川さん

 Adobe Student Ambassadorは今後、立命館大学10名、APU 10名の学生が中心となり、学生視点から学園全体5万人の児童・生徒・学生そして教職員のクリエイティブデジタルリテラシー向上の推進を担っていく。

学生に機会を与えることに貪欲な校風

 二人の活動を近くで見守ってきた小池氏は「立命館は、先生や職員の皆さんが、学生を支援しようという気持ちが大変強いと感じています。学生に機会を与えるものなら何でも貪欲にやっていこうという校風があります。学生さんたちは、それを機会と捉え、自分たちのものにすることで、もともともっていたポテンシャルを花開く機会を自分たちで掴んでいると思います」と評価する。

 さらに、「Adobe Student Ambassadorの活動を通じて、立命館のすべての方に、デジタルクリエイティブリテラシーを高めていただきたい。キャンパスにいる学生だからこそ触媒となってできることがあると思います。学生ならではの視点で、学生同士はもちろん、先生方にも使い方をさらに発信していっていただきたいと考えています」と期待する。

アドビ 教育事業本部 執行役員 本部長の小池晴子氏

 12月23日には発表のあと、Adobe Student Ambassadorによるワークショップも開催された。SEEDSとオンラインのハイブリッドで実施された画像生成AIを活用するワークショップでは、場所に縛られず積極的に協働している姿が見られた。これはまさに小池氏がいう「立命館学園らしいかたち」のひとつということができそうだ。

Adobe Student Ambassadorによるワークショップ

 アドビとの連携・協力協定書の締結以降、2024年4月のAdobe Creative Campusへの加入、そして今回発表になったAdobe Student Ambassadorの誕生と、日本初を次々と打ち立てている立命館で、挑戦と失敗を繰り返しながら自ら成長し、学園全体のクリエイティブデジタルリテラシー向上に取り組む学生たちの活動に頼もしさを感じた、そんな機会となった。

学園全体のクリエイティビティ向上へ アドビ認定の学生が活動開始
誰もがスキルアップできる常設拠点もオープン(立命館)

立命館大学とアドビの連携が生み出す
新たな学びの場(アドビ)
《田村麻里子》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top