東大・京大に多数の合格者を輩出する、全国屈指の進学校・西大和学園が2014年に開学した大和大学。2020年に設立した理工学部からは、すでに東大をはじめとする難関国公立大学院への進学と、日本を代表する有名企業への就職で優れた実績をあげている。
そして同大学理工学部はさらに進化を続けるため、2027年4月に応用化学専攻を加え、6専攻のラインアップが揃い、学びの領域が拡大する。大和大学はなぜ今、応用化学専攻を新設するのか。独自の6専攻融合型カリキュラムの内容と狙いとは。理工学部長の上村佳永教授ならびに、理工学部特任教授で奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)元副学長の垣内喜代三教授に聞いた。
産業界が求める人材を育成する6専攻融合型カリキュラム
--大和大学理工学部においては、数理科学、機械システム工学、電気電子情報工学、建築学、そして2025年の生物生命科学に続く2027年「応用化学」専攻の新設ですが、このタイミングで応用化学を新設する理由は何でしょうか。
上村学部長:理由の1つは、この2月に、化学分野で世界トップレベルの研究実績を誇る奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)と包括連携協定を締結したことにあります。奈良先端大は、「情報科学」「バイオサイエンス」「物質創成科学」の3領域において、最先端の研究と高度な専門人材の育成を行う大学院大学です。これらは本学の学生が強い関心をもっている分野であり、今後は同大学への進学を希望する学生が増えていくと考えられます。
奈良先端大とは地理的に近接している点に加え、大学院をもたない大和大学と、学部をもたない奈良先端大という双方の特性を生かすことで、さまざまな形で連携を強化していくことが可能です。そのうえで、奈良先端大の3領域に対応する形で、新たに応用化学専攻を設置することにより、両大学の関係性をさらに深めていくことを狙いとしています。
理由の2つ目は、大和大学理工学部の大きな特徴である「専攻融合型カリキュラム」において、工学系と化学分野の融合を進める必要性が高まってきた点にあります。化学は、医薬・素材・エネルギー・環境など幅広い分野で活用される基盤領域であり、工学系においても不可欠な要素です。応用化学専攻では、その理論を体系的に学びつつ、実際に物質を創出する力の育成を目指します。この専攻を新設することで、工学系の主要分野を網羅する体制が整い、理工学部全体の魅力向上が期待されます。さらに、化学分野は日本の基幹産業を支える領域でもあり、同分野で活躍する人材の育成を通じて、産業競争力や国力の強化にも寄与できると考えています。
--大和大学の理工学部および応用化学専攻の特色についてお聞かせください。
垣内教授:本学の理工学部は、専門領域にとどまらない学びを実現するため、あえて理工学科1学科のもとに5専攻を設置しています。各専攻の専門科目を体系的に学ぶだけでなく、他専攻の科目も横断的に履修できるため、幅広い視野と専門知識・技術を身に付けることができます。応用化学専攻が加わり6専攻体制となり、分野を越えた学びの広がりはさらに大きくなると考えています。また、化学産業分野への就職においては修士学位が求められることが多いため、本学では化学の基礎をしっかりと身に付け、その知識を活用する力を実験を通じて養い、大学院で発展させていく教育を重視していきます。
さらに奈良先端大では、大学院進学時に専攻分野を変更することも可能です。そのため、6専攻融合型カリキュラムによる幅広い学びは、進路選択の柔軟性を高めるとともに、多様なキャリアデザインの実現にもつながると考えています。

上村学部長:専攻融合型カリキュラムがスタートした背景には、産業界から求められる人材像があります。具体的には、「専門分野にとどまらず幅広い基礎力を備えていること」「社会のニーズを的確に理解できること」の2点です。企業では、異なるバックグラウンドをもつメンバーがチームを組み、新たな価値を創出することが求められます。そのため、自身の専門性に加え、他分野に対する基礎的な理解をもつことが、将来の活躍の幅を広げる要素となります。こうした考えのもと、本学では現在5専攻融合型カリキュラムを推進しています。
また、本学理工学部のもうひとつの特徴は、自学に大学院を設置していない点にあります。日本では学部から自大学院へ進学するケースが一般的ですが、いわゆるエスカレーター式の進学が学習意欲の低下や専門外への関心の希薄化につながる可能性もあります。そのため本学では、奈良先端大をはじめとする国公立大学大学院と連携し、外部大学院への進学を前提とした教育を行っています。明確な目標をもって進学を目指すことで学習意欲を高め、自らの意思で研究分野を選択する機会を創出します。さらに、外部大学院で学ぶことにより、異なる環境での経験を重ね、視野や人としての幅を広げることができると考えています。
少人数教育とダブル担任制で実現する手厚い進路支援
--多様な研究室や手厚い指導も特徴ですね。
上村学部長:本学では、1~2年次に基礎を身に付けると同時に、早期から最先端の研究に触れる機会を提供し、学生が自らの志向を見極められるカリキュラムを構築しています。その一環として、3年次より卒業研究ゼミに配属しています。これによりモチベーションが上がり、どの大学院が自身の研究をさらに深化させるのに適しているかを主体的に考えるようになります。さらに3~4年次には志望校の大学院合格に向けた学習計画を策定し、教員が支援することで進路実現を図っています。また、大学院進学希望者には、連携大学院の多様な研究室でのインターンシップ機会を保証し、実際の研究現場で理解を深める環境を整えています。

垣内教授:こうしたきめ細かな指導が可能なのは、各専攻が約35~60名と少人数であり、教員が学生ひとりひとりに目を配れる環境にあるためです。またダブル担任制を導入し、専門分野の学修を担当する専攻担任と、将来設計や進路相談を担う進路担任が連携して指導にあたっています。身に付けた専門性をどのように生かし、どのような進路を選択していくのかを、長期的な視点で考えることを促します。さらに、1~4年次を通じてキャリアデザインの必修科目を設け、進路担任がキャリア形成を支援するとともに、専攻担任が具体的な進路実現を後押しする体制を整えています。学生は各学年で段階的にキャリアを設計しながら、自ら進路を決定していきます。
大学院連携が導く研究とキャリアの新しい選択肢
--奈良先端大と教育・学術分野での連携を推進する包括協定を締結されましたが、具体的な連携についてお聞かせください。
垣内教授:奈良先端大との連携では、「先端科学技術の特別講義」「研究室インターンシップ」「オープンキャンパス参加」を予定しています。特別講義では、1年次後期に企業や他大学の研究・開発の現場を知る「先端化学技術探究」、3年次に第一線で活躍する大学研究者の成果に触れる「先端化学技術特講」を設けて、最先端の研究に触れ、進路を主体的に考える力を養います。インターンシップでは研究室とのマッチングを行い、適合すれば奈良先端大で卒業研究に取り組み、そのまま大学院へ進学する道も設けています。さらに、教員間の共同研究への発展も期待しています。今後はこの枠組みを基盤に、進路の選択肢をさらに広げていきたいと考えています。

--理工学部では奈良先端大をはじめ全国の難関国公立大学大学院への進学を学部生の60%以上、プライム上場企業など有名企業・大企業への就職を、就職希望者の60%以上という目標を掲げられていますが、応用化学専攻の進路支援について改めて教えてください。
垣内教授:産業界からは、専門外も含めた理工系の基礎的理解が求められています。本学では、数学とプログラミングを学部共通の必修とするなど、基礎力の強化を重視したカリキュラムを編成しており、応用化学専攻の学生にも数理・情報のスキルを強みとして身に付けてもらいたいと考えています。また、奈良先端大や大阪大学、大手化学企業と連携した特別講義や企業訪問を通じて、先端技術や社会ニーズへの理解を深め、主体的に研究や進路を考える力を養います。さらに、専門職に就くためには、修士課程への進学が不可欠であることも踏まえ、大学院進学を前提としたキャリア形成の重要性を示していきます。
学び直しと丁寧なフォローで実現するスムーズな学習接続
--基礎力が重要ということですが、苦手科目がある学生でも、高い目標を目指せるのでしょうか。
垣内教授:理工学部では、基礎物理・基礎化学・基礎生物・基礎数学といった共通の一般教養科目を設けており、1年次に高校課程を発展させた内容を学ぶことができます。これにより、途中で専攻分野を変更する場合でも、基礎的な理解を備えたうえで安心して移行することが可能です。そのうえで、基礎を固めた後は、有機化学・物理化学・無機化学などの専門科目へと段階的に学びを深めていきます。各専攻の担任に進路担任も連携し、学生ひとりひとりを丁寧にフォローする体制を整えています。
上村学部長:高校での学びから大学の入門内容への接続は大きな課題であり、特に基礎数学や基礎物理はギャップが生じやすい分野です。本学では、授業内で高校内容の学び直しを取り入れつつ、小テストなどで理解度を確認し、習熟が十分でない学生にはフォローアップを行う体制を整えています。そのため、理系進学に不安を感じている学生でも、入学後に基礎から着実に学び直すことが可能です。
--心強いですね。最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
上村学部長:将来の進路がまだはっきりしていない高校生には、ぜひ大和大学に来てほしいと考えています。本学では、学生ひとりひとりが自分の進路を見つけられるよう、大学全体でしっかりとサポートしていきます。また、明確な目標をもっている方にも、ぜひ入学してほしいと思います。そうした学生には、自分で限界を決めず、高い目標に挑戦してほしい。限界はやってみなければわかりません。高い志をもって挑戦する学生に対しては、私たちも全力で支えていきます。皆さんのチャレンジをお待ちしています。

--ありがとうございました。
大和大学 応用化学専攻オープンキャンパス理工系の基礎力を養い、専門性を高め、大学院進学を見据えた実践的な学びを展開する大和大学理工学部。応用化学専攻の新設により、その教育はさらに深化し、学生ひとりひとりの可能性と進路の広がりを、きめ細やかかつ力強く支えていく。


