首都圏を中心に公立難関高校受験で実績を積んできた湘南ゼミナールが、2025年夏に小学生からを対象とする「早慶附属高コース」を開講した。開設の背景や狙い、小学生から高校受験を見据えて学ぶメリットについて、同社代表取締役社長の中嶋歩氏に話を聞いた。
難関私立高校への進学ニーズの高まり
--近年は中学受験が過熱する一方で、本コースでは「高校受験での早慶進学」にフォーカスされています。中学受験ではなく高校受験を選ぶ価値やメリットを、どのようにお考えでしょうか。
湘南ゼミナールは、公立難関高校を中心に高い合格実績を積み重ねてきました。小学生から楽しく通塾し、公立中学で成績上位層へと成長。その先の高校受験で難関校合格を目指す「湘ゼミ合格逆算カリキュラム」を軸に、長年指導を行っています。
一方で、一部の校舎では保護者の皆様のご要望に応える形で、国立・私立難関高校の受験対策コースを設け、実績を重ねるとともに、ノウハウやデータを蓄積してきました。そうした中、近年、2つの時代の変化を背景に、早慶附属高(附属・系属・一貫教育校を含む、以下同様)をはじめとする難関私立高校への進学ニーズが高まってきています。
ひとつは、高校無償化の流れです。2026年度から、国の「高等学校等就学支援金制度」の拡充により、公立・私立を問わず高校授業料が全国で実質無償となりました。これまで学費負担を理由に公立高校を第一志望としていたご家庭でも、私立高校を選択肢に加えやすくなりました。徐々に、首都圏では「ひとつの受験エリア」になっていくと考えています。
もうひとつは、中学受験の過熱化です。以前から、「中学受験に取り組むのは難しい」というご家庭から多くのご相談をいただいていました。お子さまが習い事を続けたいというケースもあれば、家庭での受験サポートが難しいケースもあります。そうした理由から、中学受験を諦めざるを得ない方や、あえて高校受験を選びたいと考える方もいらっしゃいます。
今後も首都圏では中学受験の過熱が続くと見ています。その一方で、中学受験を選ばず、高校受験を見据えて小学生のうちから準備を始めるご家庭は、さらに増えていくでしょう。こうした背景から、高校受験を見据えた小学生向けコースのニーズは、今後ますます高まると考えています。

早慶受験は高校受験ルートが有利
--早慶を目指す場合、中学・高校・大学受験を比較すると、高校受験にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
「早慶に入るなら中学受験」というイメージをもつ保護者は多いかもしれません。しかし、実際、高校受験のほうが合格しやすいといえます。
中学受験で早慶附属を目指す場合、競争は非常に激しくなります。一方、高校受験では募集定員が多く、学力上位層の一部は中学受験や公立トップ校志望へと分散するため、倍率は2~3倍と安定し、中学受験より低くなっております。また、受験科目は3科目に絞られます。
大学受験になると事情はさらに変わります。募集定員は多いものの、全国から受験生が集まるため競争相手が増えます。また、総合型選抜の広がりもあり、一般受験の枠は狭まっています。よって、早慶を目指すのであれば、中学受験や大学受験よりも、高校受験からのほうが入りやすいのです。当塾のデータからも、それを裏付ける結果が出ています。中学受験でMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の附属校レベルのお子さまでも、高校受験では早慶に合格できている例は多くあります。
入試だけでなく高校から入学するメリットもあります。高校から進学することで、大学受験のための勉強から解放される一方、学びが終わるわけではありません。早慶附属には高い学力と意欲をもつ生徒さんが集まるため、大学受験の先を見据えた学びや多様な経験に取り組める環境があります。部活動や留学、資格取得、探究活動などに力を注ぎながら、主体性や人間力を育むことができます。大学でも附属校出身者がさまざまな分野で活躍しています。
早慶を目指すのであれば、高校受験のほうがよりチャンスがあるということを、ぜひ知っていただきたいと思っています。
別角度でも中学受験よりも高校受験のほうがお勧めできる観点があります。代表例で言うと、生まれ月の問題です。生まれ月により学習習熟度に差が出る傾向があり、早生まれの場合は不利になるケースもありますが、この差は中3生になるとかなり穏やかになるというデータがあります。ほかには学力伸長のタイミングという観点。特に男の子に多い印象ですが、中1・中2ごろに自我が発達してくるタイミングで学力が急激に伸びるというお子さまを多く見てきました。
小学生生活を大切にしながら、無駄なく先取り学習
--早慶附属高コースの特長と、強みについて教えてください。
このコースのいちばんの特長は、小学生らしい生活を大切にしながら、高校受験を見据えた学びを無理なく積み重ねていくことです。「小学生から高校受験の準備」と聞くと、「早すぎるのでは」と感じる保護者もいらっしゃるかもしれません。しかし、このコースが目指しているのは、お子さまを早くから勉強漬けにすることではありません。芸術でもスポーツでも好きなことを続けながら、将来につながる学びを無駄なく先取りし、とにかく楽しく通ってもらいたい。それが、このコースの考え方です。
授業形式は集団指導が基本です。欠席・遅刻時には授業動画を視聴できるICTシステムも整備しており、部活や習い事を一生懸命やりながら、学習を継続しやすい環境が整っています。授業は週2~3日で、19時ごろには終了しますから、ご家族で一緒に夕食の食卓を囲むこともできます。どの学年からでも入塾でき、入塾前に無料体験を受け、その後に入塾テストを受けていただきます。学校とは進度が異なるため、小6生以降は途中入塾の場合「外進クラス」からスタートし、その後は月例テストの成績に応じてクラス分けを行っています。塾から帰って、家族で会話を楽しみながら眠りにつく。そんな毎日を送りながら学べることも、このコースならではの魅力です。
--早慶レベルの高校受験を見据える際、小学生から準備を始めることのメリットはどこにありますか。中学生からのスタートと比べて、どのような差が生まれるのでしょうか。
一般的に、中学受験対策では鶴亀算をはじめとする特殊算を学びますが、これらが高校受験以降に直接生かせることは多くありません。一方、当塾の早慶附属高コースでは、将来につながる内容を小学生のうちから無駄なく先取りしていきます。
数学では、計算力はもちろん、論理的思考力や情報処理力など、中学数学で求められる力を小学生のうちから鍛えます。小5後半から小6にかけては中学数学の内容を先取り指導し、代数分野を中心に中3の範囲まで学ぶことで、大きなアドバンテージが手に入ります。図形や論理的思考力についてもフォローしながら進めていきます。
英語では、中学レベルの内容を先取りしながら、「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランス良く伸ばし、小学生のうちに英検3級合格を目指します。中学受験では英語を勉強しないので、小学生のうちに英語をしっかり学ぶことは大きなアドバンテージになります。
国語では、文法や語句の知識を身に付け、高校受験の基礎を固めます。さらに、文章を正しく理解し、筆者の主張を的確につかむ読解力に加え、登場人物の心情や情景を豊かに思い描く力を育てます。
こうした積み重ねによって、中学1・2年の2年間で中学3年間分の発展レベルまで含む学習を終え、中学3年の1年間は早慶の入試対策に専念します。
中学入学時には英検3級レベルの英語力と中学内容も先取り学習を済ませた状態でスタートでき、中学から学習を始める生徒さんに対して大きなアドバンテージを築くことができます。
--どのような受験指導を行っているのでしょうか。
早慶附属高の入試は、英語・数学・国語の3科目です。そのため、このコースでは基本的に3科目に特化した対策を行っています。科目数が少ない分、1科目あたりに十分な時間をかけられ、苦手科目があっても他の2科目でカバーできます。また、多くの早慶附属校では長年蓄積された入試データがあり、出題傾向も比較的安定しています。そのため、徹底した過去問分析に基づく対策が可能です。
なお、公立高校との併願を考える場合は5科目が必要になりますので、中2・3生対象のオプション講座として、理科・社会を受講することも可能です。しかし、MARCH付属高校などの3科目入試校を併願校として組みあわせることで、最後まで3科目に集中した受験対策を進めることもできます。

「保護者は手は放しても、目は離さないで」
--保護者はどのようなサポートをすれば良いのでしょうか。また、家庭での心がけなどもあれば教えてください。
私どもは、保護者の皆さんに対して「学習面はお任せください」というスタンスを取っています。特に中学受験から転向した保護者の方々は、どうしてもお子さまの勉強に関わろうとしがちです。そのお気持ちは良くわかりますし、親が教えれば、その場ではできるようになるかもしれません。ですが、高校受験が近づく中2・3生になると、保護者が学習面を支えることには限界があります。そのときに自ら考え、主体的に頑張れるよう、小学生のうちから少しずつ手を放し、自立を促していただきたいと思います。
実際、小学生のうちは中学受験のような生活スタイルを送る必要はなく、習い事も継続できます。本格的に受験生となるのは中学後半からで、そのころには生徒さん自身も精神的に成長し、主体的に学習に取り組めるようになります。そのため、保護者の方の負担は中学受験に比べて大きく軽減されます。
また、小学生の段階から高校受験に関する情報を得ながら準備を進められることも、このコースの大きなメリットです。高校受験については、中学校から提供される情報が十分とは限りません。そこで私どもは、保護者の皆さんが安心して受験準備を進められるよう、年に数回保護者会を催し、小学生のうちから継続的な情報発信を心がけています。
当塾は、毎月の月例テストで定着度を確認しており、その結果を保護者にフィードバックし、「ここを褒めてあげてください」「こんな場面がありましたよ」という情報もお伝えするようにしています。
ただし、「手を放す」ことと「目を離す」ことは違います。お子さまの日々のようすには関心をもっていただきたいと考えています。そして、「あなたならできるよ」と信じて見守ってあげてください。保護者の皆さんは、お子さまとの時間を楽しみながら、安心して当塾にお任せいただければと思います。
--最後に、早慶附属高校受験を見据える保護者の皆さんへメッセージをお願いします。
湘南ゼミナールは、早慶附属高コースを自由が丘駅前校と成城学園前校の2校舎でスタートし、現在は9校舎で展開しています。コース生の7割弱が小学生で、小4~6生を中心に、多くの生徒さんが順調に力を伸ばしています。数年すると合格実績がぐっと伸びてくるはずです。
今後はさらにハイペースで校舎を増やし、より多くのご家庭に「高校受験で早慶を目指す」という新たな選択肢を届けていきたいと考えています。私たちのビジョンは、日本一の進学塾を目指すことです。その実現のために何より大切にしているのが、ひとりひとりのお子さまの可能性を信じ、夢や目標の実現に最後まで寄り添うことです。これからも、ご家庭と力をあわせながら、お子さまの未来を全力で応援してまいります。

--ありがとうございました。
中学受験にも多くのメリットがある一方で、親子ともに負担が大きく、疲弊してしまうことも少なくない。長期的な視点で高校受験から早慶を目指すという選択肢を知ることで、進路選びの幅は大きく広がるのではないだろうか。
湘南ゼミナールの早慶附属高コースでは、小1~中3生を対象に無料体験を実施している。
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