自分で選び、自分で切り拓く…東京成徳中高の「空気」が育むバイタリティ

 自由な校風と温かなサポートのもと、生徒の挑戦を力強く後押しする東京成徳大学中学校・高等学校の「温かな学校文化」の魅力について、卒業生3名と同校の英語科教諭の和田一将先生に話を聞いた。 

教育・受験 小学生
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自分で選び、自分で切り拓く…東京成徳中高の「空気」が育むバイタリティ
  • 自分で選び、自分で切り拓く…東京成徳中高の「空気」が育むバイタリティ
  • 取材にご協力いただいた東京成徳大学中学・高等学校 卒業生の皆さんと和田一将先生
  • 取材にご協力いただいた東京成徳大学中学・高等学校 卒業生の皆さんと和田一将先生
  • 高1総合探究にて、興味あるテーマをゼミ形式で深める「Diversity seminar」
  • 中学2年生で全員が参加するセブ島留学のようす
  • 「『やりたい』という思いがあれば、なんでもできる」という気風が、生徒たちの自発的な活動を後押ししている
  • 自ら興味のあるテーマを選び、自分で新しい課題を設定し、自分で解決方法を考えながら結論を導き出す東京成徳高校の「実地踏査型研修旅行」
  • 東京成徳中学・高等学校の校舎

 自由な校風と温かなサポートのもと、生徒の挑戦を力強く後押しする東京成徳大学中学・高等学校。主体性を育む独自のプログラムや生徒の挑戦を応援する風土など、パンフレットに記されている情報だけではわからない東京成徳の「温かな学校文化」の魅力について、卒業生3名と同校の英語科教諭の和田一将先生に話を聞いた。

【インタビュイー】
和田一将先生: 東京成徳大学中学・高等学校 教頭 英語科教諭
大橋 紡さん: 慶應義塾大学理工学部 4年生
吉岡 鷲さん: 立命館大学政策科学部 2回生
井戸根 美花さん: Adelaide University 卒業生(入学時はThe University of South Australia。2026年にAdelaide Universityに統合)

中学受験を振り返る…進学の決め手は?

--まずは大学と専攻を教えてください。

大橋さん:慶應義塾大学理工学部4年生です。熱制御に関する研究室に所属し、おもに宇宙機の材料の研究に取り組んでいます。

吉岡さん:立命館大学政策科学部2回生で、現在は大阪で学生生活を送っています。もともと国際政治の分野にとても興味があり、将来に向けて学びを深めているところです。

井戸根さん:今年、Adelaide Universityを卒業しました。現在も南オーストラリアにおり、卒業後の生活を満喫中です。

取材にご協力いただいた東京成徳大学中学・高等学校 卒業生の皆さんと和田一将先生

--東京成徳への進学を決めた理由についてお聞かせください。

大橋さん:部活体験に参加したことをきっかけに、生徒の皆さんが主体的に活動している姿を目にし、憧れを抱いたことを今でもよく覚えています。

吉岡さん:塾の先生が提案してくれたのが東京成徳でした。説明会に参加してみると、ニュージーランドへの留学制度や「Diversity seminar(ダイバーシティゼミナール)」などさまざまな課外活動があり、自分のやりたいことに挑戦できるのではないかと思ったことが大きいです。

井戸根さん:私の場合は、学校説明会で「この学校の先生、面白いな!」と感じたことが、大きなきっかけになりました。また、吉岡さんもあげた留学制度に魅力を感じ、進学を決めました。

--中高6年間で、特に印象に残っている授業やプログラムはありますか。

大橋さん:高校1年生で取り組んだ「Diversity seminar」です。複数のテーマから自分の興味のある講座を選択するのですが、僕は和田先生が担当されていたプログラミングのゼミに所属していました。

中学での多様な体験を経て、高校で自分自身の探究テーマへと集約していく

和田先生:本校では「中学での多様な体験」を、高校で自分自身の探究テーマへと集約していくのが特徴です。特に中学時代は五感を使った体験プログラムを数多く用意しています。留学プログラムについては現在、中2で全員がセブ島へ行き、中3ではニュージーランド留学や国内でのグローバルプログラムを選択できる形です。

 こうして視野を広げた生徒たちが、高校1年生で挑戦するのが、少人数ゼミ形式の「Diversity seminar」です。昨年はプログラミングや環境、コーヒー、マジック、医療などユニークな7講座を開講しました。全ゼミ共通で「社会と繋がり、社会的な評価を得る」という全ゼミ共通のルールを設けています。コーヒーの焙煎を科学的に分析したり、大学教授と連携してゴミから肥料を生み出したりと、調べ学習にとどまらず、学びを常に“社会のリアル”へとつなげることを大切にしています。

吉岡さん:僕の印象に残っているのは、ニュージーランド留学です。日本で学校生活を送っていると、目の前のスケジュールをこなすことで精一杯になりがちです。でも、3か月間の留学は自分と向きあう機会になり、将来の生き方についてじっくり考えることができました。異なる価値観をもつ人々の中に身を置いたことは濃密で印象深い経験で、僕のその後の進路選択や考え方のベースになりました。

井戸根さん:コロナ禍で取り組んだ文化祭です。先生方も生徒も、どちらも未経験なことばかりだったあの時期、当時はがむしゃらに行動していましたが、あらためて振り返ると、良い結果を残せるようお互いに高めあいながら追求していく過程がとても楽しかったと。

中学2年生のセブ島留学のようす。その他にもニュージーランド留学をはじめ、さまざまなグローバルプログラムがある

生徒自身が学校をより良く変える「成功体験」

--中高6年間でもっとも力を入れたことは何ですか

大橋さん:いちばん力を入れたのは生徒会活動です。中学・高校とそれぞれ生徒会の副会長、会長を務めました。高校時代はちょうどコロナ禍で、毎年状況が激変していました。その中で伝統を守りつつ、「今できる最大限の楽しさ」「コロナ禍だからこその新しい挑戦」を掲げて活動を続けました。

 特に文化祭の運営は手探りの連続で、直前まで感染状況が見えないため、「対面」と「オンライン」の両パターンを同時並行で準備しました。1年目はオンライン開催、2年目はYouTubeライブ配信、3年目は感染対策を施し、入場者を制限つつ、念願だった対面開催を復活させるなど、毎年形を変えてアップデートしていきました。

充実した学生生活であることを笑顔が物語っている

吉岡さん:大橋先輩の代が「コロナ禍で新しい道を開拓した時代」なら、僕たちの代は「復活の時代」でした。数年ぶりに一般客の受入が再開した文化祭を主導したのですが、コロナ禍で対面開催のノウハウが完全に途絶えていました。そこで、手続きや運営の仕組みを徹底的に見直しました。ゼロから企画書を作って先生方と交渉するような環境で苦労もありましたが、結果として生徒の結束も強まりました。今振り返っても、良い成果が残せたと自負しています。

大橋さん:学校の魅力を小学生や保護者の方々に伝えていく広報活動にも力を入れており、校舎見学の際の案内や、コロナ禍中には学校行事や授業、部活のようすを撮影・編集して動画配信サービスで公開していました。

井戸根さん:私はコロナ禍の休校期間中、ドローンの免許を取得して、体育祭などの行事で空撮映像を制作しました。

 当時留学から帰国して、これから飛躍しようというタイミングだったのにもかかわらず、コロナにさまざまな機会を潰されるのが嫌だったんです。それと同時に、文化祭という学校をあげての大イベントを通して、保護者の皆さんや在校生に、何か新しいビジョンを見せたいという思いもありました。「どんな状況下にあっても新しいことに挑戦できる」ということを体現したかったんです。

ドローンの空撮映像を活用して制作した体育祭動画

--すごい行動力ですね。

井戸根さん:もともとFPVドローンに興味がありました。コロナ禍で誰とも接触できない状況でも、空撮なら外でひとりで撮影できると考えたのです。
※ドローンに搭載したカメラ映像をゴーグルでリアルタイムに見ながら操縦する飛行方式。自分がドローンに乗っているような「一人称視点(First Person View)」で操縦できる

 ドローンの免許取得に踏み出せたのは、成徳の「『やりたい』という思いがあれば、なんでもできる」という気風に背中を押されたからです。突飛なアイデアと思われるようなことも、みんなで実現させてきたという先輩方の実績があったので心強かったですね。

和田先生:彼らのこうした動きには、中学時代から培ったバックグラウンドがあります。たとえば、本校の女子制服はもともとスカートのみでしたが、「スラックスも選べるようにしたい」と言い出したのが大橋が中学生徒会長の代でした。どうすれば大人を動かせるのかを考え、全校生徒にアンケート調査を行い、意見を集約して企画書を作成し、教職員や校長に直接プレゼンを行ってスラックスの導入に漕ぎつけたのです。

 「軽食を買える自販機を置いてほしい」という要望が出た際も、実態調査を行い交渉していました。こうした、自分たちで学校をより良く変える成功体験の積み重ねがあったからこそ、高校でのドローン動画制作等の自由な発想や行動に繋がったのだと思います。

「『やりたい』という思いがあれば、なんでもできる」という気風が、生徒たちの自発的な活動を後押ししている

--生徒の声を吸い上げ、形にできる仕組みが学校にあるのでしょうか。

吉岡さん:制度や仕組みがあるわけではないですが、生徒が調査をして何かを提案したときに、学校側が「どうすれば実現できるか一緒に考えよう」と受け入れてくれる文化があります。提案に対して真剣に向きあってくれるという絶対的な安心感があるからこそ生徒も、ダメもとでも一歩踏み出してみようという空気になりやすいのだと思います。

課題に向きあい、乗り越えた経験が大きな武器に

--東京成徳での6年間を通じて、ご自身の中にどのような変化が訪れましたか。

井戸根さん:「環境が整っているならやらないのは損」と考え、行動に起こせるようになりました。思い返せば、Appleの社員の方を招いてのイベント開催やプログラミングのゼミなど、常に先生方が、生徒がやりたいと言ったことをサポートし、希望を叶えられるよう手助けをしてくれました。そうした積み重ねが、「環境が整っているのであれば、あとは自分がやるだけだ」という行動力に繋がったのだと思います。

大橋さん:いちばん大きな変化は、「今ある環境や境遇を前向きに捉え、自分ができることを模索する姿勢」が身に付いたことです。周囲の人の多様な特技や考え方を吸収し、仲間と新しいことにチャレンジする楽しさを知ることができたのも大きな財産です。

 大学生になり、研究で行き詰まったり壁にぶつかったりすることもあります。そんな時、中高時代の試行錯誤を思い出し、粘り強く考え、乗り越える姿勢を保てています。

吉岡さん:僕は、直面している問題をどの視点から分析し、具体的な解決策をどう導き出すかを考える力が鍛えられました。この経験が大学の学部選びにダイレクトに繋がっています。受験期の直前まで、他大学の経営学部も視野に入れて小論文や志望理由書を書いていたのですが、その過程で、「組織を『経営』したいわけではなく、組織や社会の中にある問題を見つけ出し、分析して施策を打つことがやりたいのだ」と気付いたのです。そこで現在の「政策科学部」へと進みました。

東京成徳での6年間には、自ら興味のあるテーマを選び、課題を設定し、解決方法を考えながら結論を導く体験が多数ある

生徒を主役に「やりたい」を叶えさせる文化

--受験期は先生方とどのように関わられたのでしょうか。

吉岡さん:進路指導の先生には、小論文を何度も添削していただくなど、大変お世話になりました。実は私は受験期に、年内入試の準備、一般入試の勉強、海外大への進学も選択肢に入れつつ、並行して「ビジネスコンテスト」にも挑戦していたんです。

--受験期にビジネスコンテストに挑戦するとは驚きです。

吉岡さん:当時、親身になってくださった東京成徳の事務長の大和さんからの声がけがきっかけで、「ジュニア・アチーブメント」が主催の「スチューデント・カンパニー・プログラム」というビジネスコンテストに参加しました。その成果、日本代表として国際大会にも出場しました。

和田先生:在学中に主体的に社会と関わる大きな挑戦を重ねてきた結果、本校では総合型選抜で大学進学をする生徒も多いです。吉岡くんと一緒にビジネスコンテストに参加したメンバーも、慶應や上智、学習院、立命館と、全員が希望の進路を掴み取っていて、在学中の活動の支援が、進路指導における強みにつながっていると感じています。

--大橋さんは、どのように進路を選択されましたか。

大橋さん:私には中学の早い段階からずっともち続けていた夢が2つありました。ひとつは「宇宙開発に関する研究をすること」。小学生のときにプラネタリウムで見た「はやぶさ特集」に魅了されたのがきっかけですが、その憧れは、中学での探究活動を通し仕事にできるかもしれない「自分事」へと変わっていきました。

 もう1つは「教員免許を取得し、次世代を育成すること」です。東京成徳に入学し、さまざまな活動で先生方と関わる中で「次の世代に学ぶ楽しさを伝える人になりたい」と強く思うようになり、具体的な目標になりました。

 この2つの軸を満たせる大学を探す過程で、慶應の理工学部が浮上しました。指定校推薦の枠があることを進路指導の先生に教えていただき、「せっかくチャンスがあるのだから一般受験の前に推薦も検討して、進路の可能性を増やそう」と背中を押していただいたことで、慶應理工を第一志望に据え学内選考に向けて準備を進めることを決めました。

--井戸根さんはいかがでしたか。

井戸根さん:海外進学を視野に入れ始めたのは、ニュージーランド留学で訪れたAuckland University of Technologyを訪問したことがきっかけでした。見学経路の途中、たまたま生徒たちがスタジオでモーションキャプチャーの撮影しているようすを見て、面白そうだと思ったんです。当時日本では、Visual effectを大学の学位として取り扱ってるところがなく、その先進性に衝撃を受けました。それに、英語をもっと話せるようになりたいという思いもありました。

 海外進学を目指すにあたっては、進路を決める時期に外部からアドバイザーが来てくださり、大学の検索の仕方や資料を取り寄せる方法をアドバイスしてくれました。また、海外の大学のリサーチをしたり、大学のstudent officeに直接連絡をしたりするなかで、より一層、海外に進学するビジョンを固めていくことができました。

和田先生と卒業生の皆さんとの会話から相互にリスペクトを感じられた、温かい取材だった

--生徒ひとりひとりの夢に寄り添う指導の背景には、どのような思いがあるのでしょうか。

和田先生:本校では進路指導の際、生徒が「これがやりたい」と踏み出したとき、教職員一丸となって伴走します。教員の個性もさまざまですが、「生徒のやりたいことを、生徒自身で実現させる」という根本の想いが揃っているため、学校全体に生徒の夢を後押ししようとする文化や温かい空気が醸成されているように思います。

大橋さん:私も吉岡さんも井戸根さんも、小学生のときに文化祭や部活体験に来て、そうした「温かい空気感」を肌で感じ取り、入学を志望したひとりです。学校がもっているこの独特の居心地の良さや、チャレンジを歓迎してくれる空気感は、学校に足を運んでいただければ必ず伝わるものだと思います。

--ありがとうございました。


 今回、卒業生が見せてくれた主体性の背景にあったのは、「生徒を主役に据え、その幸せを心から願う」という東京成徳の揺るぎない風土だった。東京成徳学園は2026年に100周年を迎える。こうした風土はその歴史によって紡がれたものだろう。学校の本当の価値は、構内に流れる「空気」や「文化」にこそ宿っているものではないだろうか。生徒の夢の実現に向けて、全校をあげて伴走するという確かな土壌があるからこそ、生徒たちは自ら考え、自分だけの進むべき道へと力強く羽ばたいていけるに違いない。

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《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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