ここでは、家庭ですぐにできてよくわかる「牛乳からプラスチックを作る」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。
自由研究:中学生向け 小学生向け
環境にやさしいプラスチックを調べてみよう~牛乳からプラスチックを作ろう~
第1分野【化学】実験
制作時間:1時間 難易度:★★★
家庭や工場から出るゴミが、環境破壊の一因になっています。そのため、うめると土にもどるプラスチックの必要性が高まっています。この実験では、そのプラスチックを牛乳から作ります。
用意するもの
かき混ぜ棒※、牛乳、電子レンジ※※、クッキーなどの抜き型、軍手
そのほかのもの 耐熱グラス(2個)※※※、クッキングペーパー、酢、ガーゼ
※スプーンでも代用できます。
※※500Wのものを使用しています。
※※※耐熱性のものならグラス以外の容器でも問題ありません。
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実験 やってみよう 牛乳と酢でできるプラスチック
手順 全4工程
わたしたちが飲む牛乳に含まれるタンパク質は、水分の中で、バラバラになって浮かんでいます。
そこに、酢を加えるとタンパク質どうしが集まって、ねん土のようなかたまりになります。加熱すると固くなる性質を利用して、電子レンジを使ってプラスチックを作ります。
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沸騰させた牛乳100mL をかき混ぜながら、中にかたまりが見えるまで、酢を1滴ずつ加える。
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空のグラスの上にガーゼをしき、1の牛乳からかたまりをこし取り、ガーゼのまま、3分間水で洗う。

ガーゼから取り出したかたまりをクッキングペーパーの上で転がし、水気を取る。
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3のかたまりを、抜き型で型を取ったあとグラスに入れ、固まるまでレンジで何度か加熱する。
うまくいかないときには
レンジでくり返し温め、固さを確認
●牛乳が温かいうちに酢を入れましょう。冷えた牛乳に酢を入れても、牛乳は固まりません。
●工程4の電子レンジでの加熱は10分くらいかかります。ただし連続10分ではなく、1分ごとにレンジから取り出し、かたまりが固くなっているかかき混ぜ棒などで確認してください。
なぜそうなるの? ~タンパク質が熱で固まる~
熱により脱水されて「重合(じゅうごう)」が起こる
牛乳の成分の約9割は水です。水以外の成分には、タンパク質と脂肪分、ミネラル(無機質)などが含まれています。
この大半の成分は、「カゼイン」と呼ばれるタンパク質で、取り出した状態ではねん土程度の固さです。これに熱を加えると、含まれている水分がぬけて、残されたカゼインどうしが強く結びつきます。こうして、固い「カゼインプラスチック」ができるのです。
レポートのまとめかた
牛乳にも「低脂肪乳」や「加工乳」など、さまざまな種類のものが発売されています。これらを使って、カゼインプラスチックを作り、固まりかたや色のちがいを確かめてみましょう。
牛乳から作ったカゼインプラスチックは、「生分解性プラスチック」といって、微生物によって分解されます。そこで作ったカゼインプラスチックを土の中にうめて、どれくらいの日数で分解されるか調べてみましょう。
発行:永岡書店
<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。