小中高生1,200人のケータイ事情…スマホ普及で急増するネットトラブル

 デジタルアーツは12月7日、携帯電話の新規購入や機種変更の進むクリスマスシーズンを前に、「スマートフォン普及で未成年に迫る携帯トラブルの最新事情」と題した記者発表会を開催した。

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未成年代表、綾乃美花さん
  • 未成年代表、綾乃美花さん
  • 財団法人インターネット協会 副理事長 國分明男氏
  • デジタルアーツ 経営企画室 広報・コーポレートマーケティング担当 吉田明子氏
  • 青少年にかかわる相談の学年別内訳
  • よくあるトラブル
  • 出会い系サイト
  • スマートフォン使用有無と今後の使用意向
  • スマートフォン使用有無と今後の使用意向
 フィルタリングソフトを提供するデジタルアーツは12月7日、携帯電話の新規購入や機種変更の進むクリスマスシーズンを前に、「スマートフォン普及で未成年に迫る携帯トラブルの最新事情」と題した記者発表会を開催した。

 デジタルアーツは、家庭向けフィルタリングソフト「i-フィルター6.0」を展開しているが、「多くの人にインターネットの危険性を理解してもらい、フィルタリングソフト導入への意識を高めてほしい」と、9日からはTVCMもスタートする。記者発表会では、CMに起用された現役高校生であり、ミスマガジン準グランプリに選ばれた綾乃美花さんのトークセッションも行われた。

◆ネットトラブル対策は家庭内でルールをつくること

 最初に、財団法人インターネット協会 副理事長 國分明男氏より、携帯トラブルの最新情報について発表があった。

 「子供のネット・ケータイトラブルの現状について」(東京都)によると、東京こどもネット・ケータイヘルプデスクに寄せられる相談は383件中、中学3年生66件、中学2年生64件、高校2年生51件で、青少年の相談が約3分の1を占めている。小学生は少ないものの、6年生になると急増し30件となる。

 ネットでよくあるトラブルは、架空請求が149件(27%)で断トツの1位。第2位は、自分で書いた書き込みの削除方法がわからない(52件 12%)、第3位スパム・迷惑メール(41件 8%)となった。その他、ネットいじめや名誉棄損、交際もあがった。

 事例として、サイト利用時に、登録のために空メールを送信するという指示に従うと、架空請求メールが送られてくるというケースが紹介された。子どもは親に相談できず、高額な料金を払ったうえ、親のクレジットカード番号も業者に知らせてしまったという例である。

 最近の傾向としては、規制強化によって出会い系サイトからのトラブルは減少したが、代わりにコミュニティサイトからの被害が増えていることである。

 対策として「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が平成20年に成立し、18歳未満の子どもに携帯電話を使用させる場合は、フィルタリングソフトを入れることが奨励されている。

 しかし、これだけでは不十分である。

 國分氏は、「各家庭で携帯電話のルールを作ること」を強調する。特に「使い始めるとき」が効果的だという。ルールを決めるときの注意点として、以下の3点があげられた。

1.小さくて具体的で守りやすいルールであること。
 たとえば、「使用時間は一日○時間まで」「プロフやブログに個人が特定できる情報を書かない」など。

2.子ども自信にルールを宣言させる。
 親から一方的に押し付けたのでは効果が少ない。

3.ルールを二重構造にしておく。
 守れなかった場合のルールも決めておく。

◆ネットトラブルにあった割合はスマホ所有者が倍~小中高生1,200人のケータイ事情

 次に、デジタルアーツ 経営企画室 広報・コーポレートマーケティング担当 吉田明子氏より、携帯電話を使用している小中高校生1,200人を対象にインターネットで行った調査結果の発表があった。

 現在の小中高生のうちスマートフォン(以下、スマホ)を使用しているのは全体で14.4%。高校生だけで見ると26.5%である。昨年の数字と比べるとほぼ倍増している。また、今後については、約8割が使用したいと答えている。短期間での急増が予想される。

 スマホ所有者の利用アプリは、ゲームが75.4%と1位。以下、趣味41.1%、SNS40.6%と続く。高校生だけで見ると、趣味、SNSの割合が高まるが、小中学生ではゲームが飛び抜けて多い。

 携帯電話使用における家庭内ルールについては、中学生以下では8割がルールがあると答えているが、高校生では30.8%と激減する。

 フィルタリングソフトは、全体では40.6%が利用している。小中高別で見ると、高校生がもっとも低く35.7%となる。またスマホ所有者はスマホ非保有者よりも利用率が低い。

 インターネットトラブルは、10.8%が経験している。小学生、中学生ではそれぞれ2.7%、6.8%とわずかだが、高校生では23.3%。ほぼ4人に1人が経験していることになる。スマホ所有者と非所有者では、18.5%と9.5%という結果となり、ほぼ2倍の開きがある。

 有害サイトを閲覧したことがある人は40.9%。高校生では約74%に上る(違法の音楽や動画サイトも含む)。スマホ所有者と非所有者では、63.5%と37.1%と、大きな開きがある。これは、スマホのほうが従来の携帯電話より容易にインターネットにアクセスできるためと考えられる。

 4人に1人がインターネットで知り合った友人がいるという結果も出ている(26/1%)。さらにそのうちの4人に1人は「1人で会いに行った」と答えている。特に高校生女子にその傾向が強い(38.5%)。スマホ所有者は非所有者に比べ割合が高いという結果も出ている(所有34.5%、非所有25.0%)。

◆未成年代表、綾乃美花さんがi-フィルターCMキャラに起用

 スマホは今後急増していくと考えられ、保護者の意識や対応の遅れが気になるところである。デジタルアーツでは、保護者たちの意識改革が急務と考え、未成年代表として綾乃美花さんをCMキャラクターに起用し、TVCMによるキャンペーンを開始する。

 記者発表会の最後に、9日よりオンエアされる家庭向けフィルタリングソフト「i-フィルター6.0」のTVCMのお披露目があり、綾乃美花さんのトークセッションが行われた。

 綾乃さんにとってはこれが初めてのCM。スマホユーザーでもある綾乃さんは、高校生の4人に1人がネットトラブルにあっているという調査結果に驚いていたが、未成年代表としてインターネットを安全に楽しむために、i-フィルターの普及に貢献したいと意欲を見せた。
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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