【e絵本】野菜の切り口に好奇心「おなかとせなか for iPhone」

 普段は身近すぎて何とも思わないものに、ふとした瞬間、魅力を感じることがある。今回は、そんな嬉しい驚きを連れてくる絵本アプリを紹介したい。

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おなかとせなか for iPhone
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 普段は身近すぎて何とも思わないものに、ふとした瞬間、魅力を感じることがある。今回は、そんな嬉しい驚きを連れてくる絵本アプリを紹介したい。

 iPhoneアプリ「おなかとせなか for iPhone」。きうちかつ作・絵、日本出版販売より配信中。価格は900円。

 野菜やくだものの断面を「おなか」、表面を「せなか」と表現し、数多くのおなかとせなかをクイズのように見せていく。「やさいの おなか これ なあに?」と冒頭で提示されるモノクロの断面図は、少しいびつな円の中に、中くらいの丸が8つ、小さな丸が1つ。う~ん、これはレンコン…? とページをめくると、精密画の正解が登場する。

 普段の料理では、切った素材をじっくり見つめることなんてあまりない。筆者はレンコンのおなかの真ん中に小さな穴があるなんて、今まで全然気づかなかった。

 モノクロの平面絵に落とし込むというのも、はっとさせられる要素のひとつ。これを読んだら、野菜やくだもののおなか・せなかが、しばらく気になって仕方なくなる。なお、「あそぶ」モードもついているので、読み終わった後もじっくり楽しめそう。

 もともと、幼児絵本として定番だったきうち氏の3冊「やさいのおなか」「くだものなんだ」「やさいのせなか」(いずれも福音館書店)をまとめたこのアプリ。3作それぞれのよさがうまく配合されている。

 また、シンプルな効果音やめくりの速度など、アプリならではの要素も、読み手の心情に寄り添う。絵本アプリとして、よくできているという印象だ。こんな風に好奇心をくすぐる作品に、たくさん出会いたいものだ。
《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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