我が子の大学受験を失敗させないために、親はどのようなことに気をつければいいのか。家庭教師メガスタディの田中義貴講師に聞く連載第4回では、「安易に『センター利用入試』に走るのは危険」を紹介する。(1)親の成功体験が子どもの足かせに(2)進学実績のある中高一貫校に入学=“大学受験は勝ち組”ではない(3)予備校選び~有名校の受験生が陥る「泥沼状態」とは(4)安易に「センター利用入試」に走るのは危険(5)過去問との相性を考えずに、志望校や併願校を決めるのは危険◆センター利用入試の注意点--親御さんも受験生本人もわからないところが多い「センター利用入試」について注意点を教えてください。 ご存じのとおり、近年、大学入試の方式は多様化しています。推薦入試、AO入試、センター利用入試など親御さんからは「聞いたことのない入試制度だし、違いもよくわからない」という声が多いようです。 お子さんが大学受験の年齢になって、はじめてこうした新しい入試制度を知った、という方も少なくないと思います。 特に、家庭教師として受験指導していると、ご家庭から「センター利用入試」についてはよく聞かれます。受験勉強を本格的に始めて、いろいろ情報を調べ出すと、本人や親御さんから、この「センター利用入試」が話題に出ることが多いのです。 早稲田をはじめ、多くの上位大学で「センター利用入試」が導入されているので、気になる入試制度ではあると思います。ただ、この入試制度については誤解されている方が多いようです。--具体的に、どういう誤解が多いですか。 「センターの標準レベルの問題を解けばいいから、合格しやすい試験」という誤解です。要は「一般入試が厳しそうだから、センター利用のほうが入りやすいかも」という“逃げ”の選択肢として考えてしまうことが多いのです。 ですが、実はこれは大間違いなのです。私が担当する生徒の場合、学力や偏差値が志望大学に届いていない生徒には、原則センター利用は受けさせません。--それはなぜですか。 理由は簡単です。そもそも、センター利用は「一般入試で受験しても合格するレベルの受験生が利用することが多い制度」だからです。わかりやすく言うと、東大など、国立大受験メインの受験生が、滑り止め、押さえとして出願するために使うような入試制度です。 センター利用入試は、偏差値が届いていない受験生が、頼みの綱として利用するような入試制度ではありません。ここを誤解すると大変なことになります。 私大専願受験生が、私大入試前の「実戦経験」としてセンターを受験するのならまだしも、センター利用をメインに置いて対策するのは合格が遠のくだけです。もちろん、早稲田(慶應は2012年入試よりセンター試験不採用)などであれば、試験の難易度がかなり高いので、気持ちはわかります。ですから、過去問に目を通して、「うちの子が(自分が)解けるようになるのか」と、不安になるのはある意味仕方ありません。◆合格に近づける方法はある ですが、仮に偏差値が届いていなくても、合格に近づける方法は必ずあります。過去問との相性や、入試問題の特徴・傾向を踏まえ、それを踏まえた効果的な受験勉強をすれば、模試でD判定、E判定しか出たことのない受験生でも合格することは可能です。 大学受験にはさまざまな入試制度がありますが、正しく理解して利用することが重要ですね。【家庭教師メガスタディ】 早慶上智、理科大、GMARCHなど、難関上位の私立大受験に特化し、合格者を毎年多数送り出す。【田中義貴講師】 元代ゼミ講師で、指導歴18年の家庭教師メガスタディ・トッププロ講師。東大理I、早稲田大学、慶應義塾大学、医学部など多数の合格実績をもつ。代ゼミ講師時代には東大理系・東大文系・医系クラス等を担当。