少人数学級編制、継続的な実施で学力に優位性

 国立教育政策研究所は5月8日、「学級編制と少人数指導形態が児童の学力に与える影響についての調査」の報告書をホームページに掲載した。

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学級編制と少人数指導形態が児童の学力に与える影響についての調査報告書
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 国立教育政策研究所は5月8日、「学級編制と少人数指導形態が児童の学力に与える影響についての調査」の報告書をホームページに掲載した。

 報告書は、初等中等教育研究部の「学級規模の及ぼす教育効果に関する研究」において、学級規模と児童生徒の学力の発達的変化の関連等を検討する「学習成果班」の研究成果をまとめたもの。

 調査の対象は、京都府内(京都市を除く)の小学校のうち、平成23年度の6年生について単式学級(同じ学年で構成される学級)が2つ以上あった110校。対象となる児童約8,000人余りについて、4年生の4月と6年生の4月に実施した国語と算数の学力診断テストの得点を回答してもらい、3年生から5年生の間の少人数指導の実施形態、および、学級編制によりグループ分けし、成績の変化について分析している。

 少人数指導形態によるグループ分けは、(1)3年間、学級解体をともなう少人数指導を実施しなかった学校(国語72校、算数20校)、(2)3年間、学校ごとに一貫した形態による、学級解体をともなう少人数指導を実施した学校(国語13校、算数46校)、(3)4〜6年生の2年間、学校ごとに一貫した形態による学級解体をともなう少人数指導を実施した学校、または5年生の1年間、学級解体をともなう少人数指導を実施した学校(国語14校、算数24校)、(4)3年間のうち3年生の1年間のみ、または3〜4年生の2年間、学級解体をともなう少人数指導を実施した学校、もしくは3年間の少人数指導の実施形態に一貫性がみられない学校(国語11校、算数20校)の4つ。

 学級編制については、1学級を30人程度とする京都府教育委員会の政策「京都式少人数教育」を選択した学校もあり、グループ分けは、(1)3年間、または4〜5年生の2年間、京都式少人数教育としての少人数学級を選択した学校(13校、平均人数25.5〜28.1人)、(2)3年間、京都式少人数教育としての少人数学級を選択せず、1度以上平均学級規模が30人を超えた学校(47校、平均人数33.6〜34.2人)、(3)3年間、京都式少人数教育としての少人数学級を選択せず、現行の基準による学級編制を実施した平均学級規模が30人以下の学校(41校、平均人数25.9〜26.0人)、(4)3〜5年生の間のいずれか1年間のみ、京都式少人数教育としての少人数学級を選択した学校(9校、平均人数26.7〜36.9人)の4通りとなっている。

 その結果、少人数指導形態による分類では、国語、算数ともに4年生と6年生の学力との関係の違いは見られなかったという。

 一方、学級編制については、国語の結果において(1)の平均30人以下のグループよりも、(2)の平均30人を超えるグループのほうが、6年生で成績下位の層に入る割合が高く、かつ、上位に入る割合が低いなどの差が現れたという。

 また、(1)の少人数学級を選択したグループよりも、(3)現行の基準による学級編制実施したグループのほうが、成績上位層と下位層の変動の割合が少なかったという。

 算数についても、現行の基準によって編制された30人以下の学級規模の学校の児童より、現行を下回る基準による学級編制を継続的に実施した学校の児童のほうが、その後の学力が高くなるなど、報告書では、現行を下回る基準による少人数学級編制を継続的に実施した学校の優位性を示唆している。
《田崎 恭子》

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