H23児童生徒の自殺は200人、近年最多の深刻な状況…文科省

 いじめを苦に自殺する子どもの報道が相次ぐなか、昨年度、小学校・中学校・高等学校から報告のあった、自殺した児童生徒数は200人にのぼり、前年度の156人を大きく上回り近年最多の深刻な状況であったことが明らかになった。

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児童生徒の自殺の状況
  • 児童生徒の自殺の状況
  • 児童生徒の自殺数の推移
  • 自殺した児童生徒の学年別、男女別内訳(国公私立)
  • 平成23年度の学年別児童生徒の自殺の状況
  • 自殺した児童生徒が置かれていた状況(国公私立)
 いじめを苦に自殺する子どもの報道が相次ぐなか、昨年度、小学校・中学校・高等学校から報告のあった、自殺した児童生徒数は200人にのぼり、前年度の156人を大きく上回り近年最多の深刻な状況であったことが、文部科学省が9月11日に公開した調査結果から明らかになった。

 文科省が発表した「平成23年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果によると、児童生徒の自殺状況(学校から報告のあったもの)は、公立小・中・高等学校に加え、国私立学校も調査対象となった平成18年以降、18年171人、19年159人、20年136人、21年165人、22年156人と推移しており、平成23年が200人ともっとも多くなっている。

 200人の内訳は、小学生4人、中学生39人、高校生157人で、国公私立別では国立1人、公立157人、私立42人。特に高校2年生が60人と多く、男女別では小学生では差が見られないものの、中学生、高校生ではいずれも、男子生徒が女子生徒の2倍を上回る数となっている。

 昨今、中学校でのいじめ問題が深刻な問題となっているが、自殺した中学生の置かれていた状況としては、不明を除き、「父母等のしっ責」(12.8%)がもっとも多く、「いじめの問題」(10.3%)が2番目に多い割合を示している。

 高校生の状況としては、不明を除いては中学生同様に「父母等のしっ責」(11.5%)がもっとも多く、「進路問題」と「厭世」(ともに10.8%)がこれに続く。小学生と高校生では「いじめ問題」は0%。小中高の「不明」は75.0%、71.8%、53.5%と、いずれももっとも多く、自殺の原因が明らかにされていないケースが多いという問題が浮き彫りになった。不明には、いじめを苦にした児童生徒が含まれる可能性もある。

 文科省では、昭和49年(1974年)からの児童生徒の自殺の状況を公開している。「昭和51年までは公立中・高等学校を調査。昭和52年からは公立小学校、平成18年度からは国私立学校も調査。」「昭和49年から62年までは年間の数、昭和63年以降は年度間の数。」といった集計や対象に違いはあるが、年ごとの数値を見ていくと、昭和52年(1977年)から昭和54年(1979年)の3年間は300人を超え、昭和54年が380人で、調査期間の最多となっている。

 昭和62年(1987年)以降は200人を下回ってきたが、平成23年(2011年)の200人は、過去25年で最多となった。
《田村麻里子》

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