大阪市立大の学生が高校教科書を発行…旭川工業高校で採用

 大阪市立大学は1月9日、工学部電子・物理工学科4年生の山下明さんが工業高校の生徒向けに使われる教科書を発行したと発表した。文部科学省の教科書検定に合格し、2013年4月より北海道の旭川工業高校の電気基礎の授業で使用される。

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右から、西澤良記学長、山下明さん、日野泰雄工学研究科長
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  • 教科書表紙
 大阪市立大学は1月9日、工学部電子・物理工学科4年生の山下明さんが工業高校の生徒向けに使われる教科書を発行したと発表した。文部科学省の教科書検定に合格し、2013年4月より北海道の旭川工業高校の電気基礎の授業で使用される。

 大学生が個人で文部科学省検定済教科書を発行するのは、教科書検定制度が制定されて以来初めてという。

 工業高校出身の山下さんは、自身が高校生だった時に「こういう教科書があったらいいな」という思いから教科書の作成に取組んだ。2年生の春に教科書の執筆を開始し、その年の秋に完成させ、文部科学省の教科書検定に申請。1年後、文科省より検定意見が通知され、内容の修正を求められたが、それらをすべて修正し、2012年1月30日に検定に合格。文部科学省検定済教科書として認められた。全国の都道府県教育委員会や電気基礎が教育課程にある工業高校に見本を送付したところ、北海道の旭川工業高校より採択があり、2013年4月より電気基礎の授業で使用される。

 山下さんは、教科書の工夫した点について、「ですます調で執筆し、わかりやすい説明を心がけたこと」「内容を絞りページ数を減らしたこと」などを挙げている。また、苦労した点について、「執筆してみて、自分では理解しているつもりだった内容でも、少ないページ数でわかりやすく説明するとなると思ったより大変でした。また、文部科学省からの検定意見をひとつずつ直していく作業が大変で、何度も実際に文部科学省まで足を運び、担当者とやりとりをしながら完成させてきました。執筆していた時期は2年生でまだ時間がありましたが、3年生になり忙しくなってきていたので大学との両立が大変でした。」とコメントした。

 今後、山下さんは、4月より工業高校の先生として教壇に立つことが決まっている。「これからも働きながら教科書の執筆を続け、教える側の視点も入れて、さらに良いものを作っていけたら」と意欲を示している。
《工藤めぐみ》

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