体育活動中の死亡事故の70%以上が突然死…文科省

 文部科学省は7月、体育活動中の事故防止報告書をまとめた。調査を始めた1998年度と比べると、2009年度は約1/3に減少しているという。

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死亡・重度の障害事故(年度別発生件数・頻度)グラフ
  • 死亡・重度の障害事故(年度別発生件数・頻度)グラフ
  • 死亡・重度の障害事故(傷病別割合)グラフ
  • 死亡・重度の障害事故(学年別発生件数)グラフ
  • 中学校・高等学校での運動部活動における死亡・重度の障害事故(競技種目別発生頻度)表
 文部科学省は7月、体育活動中の事故防止報告書をまとめた。体育活動中の死亡事故は、「突然死」が70%以上を占めており、次いで「頭部外傷」「溺水」「熱中症」の順で多く発生している。

 スポーツ振興センターが1998年度~2009年度の11年間に実施した災害共済給付の実績から、死亡・重度の障害事故の事例590例(内訳:死亡470例、障害120例)をもとに分析している。

 事故件数は、年々減少傾向にあり、事故の発生頻度は、生徒10万人あたりでみると、1998年度は0.45件であったが、2009年度には0.16と、約1/3に減少している。減少の要因の一つには、1995年度から健康診断に心電図検査が義務付けられたことが考えられる。

 傷病別では、「突然死等」が全体の61%を占め、次いで「頭部外傷」(13%)、「脊髄損傷」(11%)、「溺水」(6%)、「熱中症」(5%)の順で発生が多くみられる。

 学校種・学年別では、小学校約10%、中学校約30%、高校約60%であり、学校種が上になるほど事故が増え、小学校では学年が上がるほど多く、特に高校では1年に多く発生していた。

 運動部活動別では、「柔道」が50件(16%)ともっとも多く、次いで「野球」「バスケットボール」「ラグビー」の順に多かった。

 体育活動中の死亡事故の第1位である突然死の80%は、心臓系が原因で、競技別でみると、「陸上競技」が約1/3を占め、次いで「バスケットボール」「サッカー」と続く。第2位の頭部外傷では、「柔道」が約1/3を、溺水では「水泳」が3/4を占めている。

 重度の障害では、「脊髄損傷」がほぼ半数を占め、次いで「頭部外傷」「心疾患等」と続く。脊髄損傷では「ラグビー」「水泳」「体操」が、それぞれ約1/4を占めている。また、頭部外傷では「柔道」が、心疾患等では「陸上競技」が、それぞれ約2/3を占めている。

 同省は、事故防止の基本的な考え方として、単に個人や個々の部活動で対応するのではなく、組織的に取り組む必要があり、学校が組織として安全な教育環境実現に向けて常に努力していく必要があるとしている。
《工藤めぐみ》

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