佐々木かをりが直接指導……「子供向けの時間管理講座」

 3月23日、都内でイー・ウーマンとユニカルインターナショナルの社長であり、コメンテーターとしても活躍の佐々木かをりさんを講師に「子供向けの時間管理講座」が開催され、複数の小学生とその母親が参加した。

教育・受験 学習
佐々木かをりさん(イー・ウーマン代表取締役社長/ユニカルインターナショナル代表取締役)
  • 佐々木かをりさん(イー・ウーマン代表取締役社長/ユニカルインターナショナル代表取締役)
  • 「子供向けの時間管理講座」。
  • 「小学生親子のための時間管理術」は満席
  • アクションプランナーという手帳を使って時間を管理する方法を親子で学ぶ。時間の見える化が肝だ。
  • 「この手帳を使ってみんなにやってほしいことは、毎日を楽しくするということ」。自ら子供に問いかける。
  • 小学生はこの日、宿題を持ってきて、実際に計画を書き込んだ。
  • 記入の一例
  • 時間管理手帳「アクションプランナー ジュニア版」
 「(今回の)時間の勉強は、誰もがハッピーになれる方法です」「同じ方法を会社の社長さんやスポーツ選手も取り入れ、中学校でも実施しているところがあります。いろんな年齢の人が覚えて欲しいと思います」

 23日、都内でイー・ウーマンとユニカルインターナショナルの社長である佐々木かをりさんを講師に「子供向けの時間管理講座」が開催され、複数の小学生とその母親が参加した。同講座は小学生から高校生のための時間管理手帳「アクションプランナー ジュニア版」を使い、子供たちが自分の力で計画を立てていく方法を解説するものだ。

 「アクションプランナー ジュニア版」には、月曜日から日曜日までが2ページにわたってリストされており、それぞれ1日の時間は朝6時から11時半までが30分ごとに罫線で仕切られている。ここに「遊び」も「勉強」も、すべての行動予定を記録していく。4時から5時まで塾だとしたらその予定を書くのはもちろんだが、家を「出る」、「帰る」ということまで矢印とともに記録する。観るテレビが決まっている場合には、その番組名も時間枠に記入してしまう。また宿題のスケジュールを書く場合には、何時間かかるかを考えながらページ数や箇所など具体的な内容を書き込んでいく。会場では、春休みの宿題を持参してきた子供たちが親と相談しながら、実際に手帳にスケジュールを書き込む作業を行っていった。

 静岡雙葉学園では実際にこの手帳を導入し、生徒によるアクションプランナー委員を設けているという。その委員は佐々木さんのフォローアップを定期的に受け学校の生徒に伝える。これにより、自宅学習の時間が、学年平均で平日が40分、休日が50分のびたという。「学校が何年間も色々な取り組みをしても、5分上げるのさえ難しかったのに驚異的に伸びた」と反応があがっている。「テニスをやってる子供の場合には、今まで忙しかったけど、(アクションプランナーによって)時間が見えるようになったわけです。すると空いてる時間も分かる。これが一番の利点なんです。彼女はテニスの練習をする時間が増えて上達したと聞きます。宿題が家に帰ってからやるのは大変だから、電車のなかで数学をやることに決めた。そしたら家の過ごし方がすごく楽になったというケースもある」(佐々木さん)。この4月からは広島県の高校でも導入予定だという。

■時間の見える化が大切

 アクションプランナーという手帳で効果的なのは“時間の見える化”だ。「多くの人は時間管理というと、仕事の約束を記録することだと思っている。子供は勉強の計画を立てることだと思っているでしょう。でも、朝起きてから寝るまでに自分がどう動くのかが全部見えると、見たいテレビも見ることができるし、やりたい勉強もできる。仕事もできるし、お酒も飲みにいける」「時間が見えて、自分で行動をマネージすると自分のマネージャーになれるというか、その感じがまた自信になるんです。自分が書いたことができるという繰り返しを増やしてあげると、みんな自信がついていきます」と佐々木さんは話す。

 また講座のキモは「手帳を上手に書くこと」ではない。重要なのは「自分をいいサイクルにのせておくことだ」という。大人向けの講座も全国で実施されているが、「いいサイクルをたくさん作るとその人の生産性が高まります。私達はノッてる仕事は早いし、イヤなことは遅いじゃないですか。ノってくれば人にも優しくできるし、仕事のヤル気もでる、いいアイデアも湧く。どうやって自分をいい状態にしておくかというのが、私の一番伝えたいことで、(手帳は)その単なるツールなのです」と話す。会場では、「何度も言うんだけどこの手帳を使ってみんなにやってほしいことは、毎日を楽しくするということ。だから無理な計画を立ててできないというのはダメです。絶対にできる計画を立てて下さい。だから余裕を持って立ててください」」と子供たちに解説していたが、佐々木さんは普段から「(時間から)はみださないような計画の立て方」を教えているという。「結構、大人も子供も見栄をはるので、1時間かかるものを30分と計画をたててしまったりする。それが、自分のクセだと分かれば、余裕をもった時間をとるようにすればいい」と話す。また、大人のクラスでは「やることリストを作っちゃいけない」と説明しているという。時間配分に関係なくリスト化されたものはやがて破たんする。見える時間を確保しながら予定をたてることで、自分で自分をマネージする感じが見えてきて喜びにつながる。これは子供の場合にも言えることだという。

 しかし、管理はスマートフォンやパソコンでは無理なのだろうか?という疑問が湧いてくる。その質問を佐々木さんに投げかけると「予定とか約束の管理をするのだったらITツールでもいいと思います」「ただ、自分の時間を全部(チャートを)見通しながら動くことはITツールではできないですね。スマートフォンやパソコンに予定を入れて、それを“見ながら”仕事はできない。ときどき見て確認するだけ」と話す。アクションプランナーを使う場合は常にページを開いおくことと強調するが、そうすることで常に時間全体を見通すことができるのだ。「ITツールは約束管理はできますが時間管理はできないのです」「例えば、私の場合だと、これって本当にまだやってて良かったんだっけ?次は大丈夫かな?とか、そもそも100%の力が70%になってしまいます。手帳に書いて、今日はミーティングの数は多いけどこの順番でいけば大丈夫、と常にわかってみていれば、ひとつの仕事にも安心していられます」。

■時間管理できない手帳はたくさんある

 そもそも佐々木さんが、このアクションプランナーを考案するきっかけはなんだったのだろうか?実は、佐々木さんが大学時代に自分で作っていたものがベースとなっている。当時から自分の授業とアルバイトをうまく組み合わせるため、時間がわかるよう手帳を工夫していたという。そしてしばらくは海外の手帳を使っていたが、子供も2人育てながら会社も2社運営していくなかで、時間のやりくりの仕方についての取材がたくさん入るようになってきた。当時は手帳を紹介するつもりは毛頭なかったというが、どこのメーカーの手帳を使っているんだという問い合わせもくるようなった。「結局私が使っている海外の手帳屋さんに話し、それを佐々木オリジナルに変えて、日本に輸入したのがはじめなんです。ただ、海外から輸入しているのは時間もかかるので、2年前から日本でデザインをしてアクションプランナーの日本版にしたんです」。2005年くらいには、アクションプランナーのようなスタイルの手帳は、まだ日本になかったという。土日が他の曜日と同じ時間枠(同じ大きさ)になく、時間の区切りも狭すぎるものがほとんどだった。「手帳に(何時という)数字が書いてあって、買う人はそれが時間だと思って買うんですが、例えばそれが狭すぎて時間としては使えない手帳っていっぱいあるんです。時間管理の手帳を持っていると思っていても実は錯覚で、飾りでしかないんですよ。(アクションプランナーは)しっかりと時間が見え、時間と行動を結び付けることができるスペースがあるところが違います」。

 「子供向けの時間管理講座」は、「小学生親子のための時間管理術」「中学・高校生のための時間管理術」が開催されており、公開されている30日開催分まですでに満席だ。今回取材できたのは「小学生親子のための時間管理術」だったが、企業や自治体、防衛庁などからも引き合いがあり、実際に講演を行っているという。
《RBB TODAY》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top