大学進学の学費と生活費…親の長期的な準備(貯蓄)

教育・受験 その他

ファイナンシャル・プランナーの吉野充巨氏
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  • 教育費負担の状況
大学進学に必要な、親の長期的な準備(貯蓄)と子の準備(奨学金)
 春のこの時期は、大学に進む方たちの学費や生活費の質問が数多く寄せられます。そこで、大学生活に必要な資金の額と、それを支える家族・本人の調達額等を纏めて紹介します。まずは親の準備について説明します。

 支出の面では、なんといっても学費があります。

 文部科学省の私立大学等平成24年度入学者に係る学生納付金等の調査結果に記載されている、初年度学生納付金の調査概容は、平成24年度の私立大学(学部)における授業料859,367円、入学料267,608円と施設整備費188,907円を合わせて、合計1,315,882円とされています(平均値ですので進学された大学によって費用は異なります)

 私立短期大学は合計1,121,517円、私立高等専門学校では737,565円と公表されています。

 また、文部科学省ホームページで確認すると国立大学の授業料の標準額は535,800円、標準入学料は282,000円で、合わせて初年度に納付する金額は817,800円になります。

 私立大学(学部)に進まれた方は、翌年からの3年間(最短)、年1,048,274円の学費が必要になります。国立大学では535,800円です。

 そのほかに、大学生活にかかる生活費があり、自宅から通う方、学生寮に入る方、アパートなどから通う方で支出額が異なります。

 【グラフ1】は、国立大学、公立大学、私立大学の学生の年間の収入と支出のデータから、金額がもっとも多い私立大学昼間生の収入と支出(内訳:学費と生活費)を比較したものです(独立行政法人日本学生支援機構発表の「平成22年学生生活調査」より)。

 学費はそれぞれの場合で変動は小さいのですが、生活費は自宅・学生寮・下宿アパートの順で、金額が増加します(食費と住宅費の増加による)。

 生活費は、自宅生の場合で372,300円ですが、学寮生では817,100円、そして、下宿・アパートの学生は1,040,500円です。

 これに学費をプラスした、自宅生1,692,700円、学寮生2,060,300円、下宿・アパート生2,363,200円が総支出額になります。

 私立大学での学生生活(4年)は、自宅から通うケースで6,770,800円、これに初年度納付金と受験料等(通常30万円程度)が必要で、60万円をプラスした、総額約740万円程度の支出と推計できます。

 同様に、学生寮に入る場合には約884万円、下宿・アパートの場合には約1,005万円程度かかります。

 大学、学部、都会・市街地、住居の形態、在学期間等々で費用総額が異なりますが、上記は、私立大学に進学する際の費用の目安としてお考えください。

 進路を国立大学、住居は自宅から通う際には、1,085,600円×4年間+600,000円=4,942,400円の約500万円です、

 ちなみに、国立大学と公立大学の差は小さく、国立で学寮の場合の支出は年間1,306,200円で、受験からの4年間で約582万円、下宿アパートで743万円です。

 これらの、必要費用とご夫婦のお子様への期待や家族・地域の環境なども含め、夫婦で十分にお話し合いになってお子様の進路を予定し、中学入学(中高一貫校)または高校進学の際に、お子様を交えて進路を決定されることをおすすめします。

 そこで決まりました大学進学コースの資金の調達先と調達方法を紹介します、

 【グラフ2】は、現況の学生生活を賄うための収入の源泉を示したものです。

 資金の調達先として一番大きなものは、家族からの給付です。また、奨学金の部分がアルバイト収入よりも多い事に気付かれたと思います。

 現況は、このような姿になりますが、最初の計画立案としては、全額をご家族からの給付で賄う方法をお考えください。

 前述した、費用の最高金額は、下宿・アパートから通う1,005万円でした。

 この金額をすべて貯蓄で賄う際には、子どもが生まれてすぐに貯蓄を始めて、収益を考えない場合には、月々約46,500円の積み立て額になります。現在価値でこの金額さえ貯めれば、学費の心配は無くなります。

 初めて、お子様を得られることの多い30代前半30歳~34歳の勤労者世帯の収入は、月426,040円です(総務省家計調査平成23年より)。したがってこの貯蓄額は世帯収入の10.9%ですので、決して無理な数値ではないことが理解頂けると思います(総務省家計調査によれば平成23年家計収支の黒字率30~39歳31.5%です)。

 ただし、この後に人生の最大支出、住宅購入とそのローン返済が控えています。可処分所得に占めるローン返済額の割合は約21%です(総務省家計調査平成23年より)

 したがって、月々の積立が学費目的のみにならないケースが出ます。

 その場合の、不足額への調達先として、ぜひ加えて頂きたいのが、祖父母です。来年度から、直系卑属への教育費としての贈与の制度が変わります。

 毎月10,000円程度の積み立てをお願いして、家族全員で教育への参加・負担をする体制を作ることをおすすめします。もし、両家から支援が受けられれば、20,000円になります。ただ、これらはお子様名義の預金として、夫婦の家計とは別管理をしてください。お子様が二人になれば、増額もお話合いされることをもご検討ください。

 著者は学資保険を将来に備える手段として考えていません。

 理由は、主たる稼ぎ手の死亡リスクに備えるのであれば、生命保険が適切ですし、お子様の学費分を含んだ保険金額にすることが効率的です。

 また、財形や銀行預金として積み立てる場合、災害や病気等で緊急に使途が出た際に、当該貯蓄で賄うことができます。家計に負担を掛けない、借入を行わないための自家保険となります。資産運用では、資金の一括管理がより効率的な運用が行えます。

 このような将来確実に発生する生活のイベント費用は、定期預金・個人向け国債10年変動等元本が保証されている金融商品が相応しく、円のMMF(マネー・マネジメント・ファンド)も実績金利で市中金利への連動性が高くインフレに対応し、元本割れリスクの低い商品として対象に加えることをご検討ください。

 このように貯蓄を進めても、なお、資金が不足するようでしたら、資金調達先としての奨学金をご検討ください。

 不足分としての借り入れや奨学金を検討する際の調達順位は、「(1)返済義務のない給付金」「(2)無利子の奨学金」「(3)金利が低い奨学金」それでもなお不足するようでしたら、(4)として銀行など民間の学資ローンも検討ください。

<著者紹介>吉野充巨(ファイナンシャル・プランナー)
 1945年4月4日 東京都生まれ。家業の靴卸商社勤務後、事務サプライ品商社富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社を経て2005年に退職し、2006年1月1日に独立系FP事務所を開業しました。長い人生での知見と市民後見などボランティア活動経験からライフプランの相談に与っています。保険・不動産・金融商品を販売しないアドバイスの専門家です。
《編集部》

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