全国初等教育研究会(JEES)は6月2日、「授業力をつけよう、若手教師たち!」と題した第1回教育シンポジウムを開催した。このシンポジウムは、校務や雑務に忙殺され、授業内容や教え方について振り返ったり、ベテランの指導を受けたり、他校や異業種との交流による研究が困難なケースがある現状を踏まえ、若手教師へのスキル伝達や多方面との情報共有などの方策を考える目的で企画された。 JEESは、今回のシンポジウムのテーマでもある、小中学校の先生たちの指導力やスキルアップを支援するために設立されたNPO法人であり、各種教材の調査・分析、情報発信、セミナーなどのイベント開催、会員への指導相談といった直接サポートなどの活動を行う。◆授業力を高める4つのポイント…柳瀬修氏 シンポジウムの第1部はJEES理事長である柳瀬修氏による「授業力をつけようー1」と題した基調講演だ。今後、2、3と続く計画という。柳瀬氏は、変化が激しい現代において、学校では子どもの学習力だけでなく教師の「授業力」が試されているとし、その授業力のある先生とはどういうものかというポイントを4つあげた。それは、(1)教育に対する熱意と使命感、(2)豊かな人間性と思いやり、(3)子どものよさや可能性を引き出し伸ばすこと、(4)「わかる授業」を追求し実践すること、だという。 (1)については教師としての責任感、倫理観の重要性を説き、特に叱るとき、褒めるとき、認める・許すときは、現象や事実をもとに判断すべきだという。(2)は柔軟な発想と寛容な気持ち、そしてコミュニケーション能力が重要であり、(3)には子どものよさを具体的に伝えられる能力が求められるという。(4)については、学習指導要領をベースとしながらも「考えさせるところ」と「教えるところ」の関連を考えた授業を構成してほしいと述べた。 柳瀬氏は、次回は授業を高める4つの視点を授業から語る予定であると説明して、講演を終えた。休憩をはさみ第2部では、JEES理事2名による対談形式のセッションとなった。登壇者は、玉川大学教職大学院教授 堀田龍也氏と千葉大学教育学部教授 藤川大祐氏だ。