下村博文文部科学大臣は、2月28日の定例記者会見で「教科書問題」を起こさない法整備、全日展の不正問題に関する再調査、世界記憶遺産である「アンネの日記」について発言した。◆2月28日のテーマ「教科書問題」を起こさない法整備へ(1:35~)全日展の不正問題、厳正な対処で再調査も(3:22~)世界記憶遺産である「アンネの日記」は人類共通の文化遺産(4:17~)※()内に動画の再生時間を記した・「教科書問題」を起こさない法整備へ 2月28日の閣議において義務教育の中学校の教科用図書の無償措置に関する法律と私立学校法の一部を改正する法律案が閣議決定された。教科書無償措置法の改正案は義務教育諸学校の教科書採択制度の改善を図るため、下記3点について定めたものだという。1)共同採択地区における市町村教育委員会の協議の方法に関する規定の整備2)採択地区の設定単位の変更3)採択結果や理由などの公表 また、私立学校法の改正案は、学校法人が法令に違反した時などに所轄庁が必要な措置命令を行うことができることとするなどの規定の整備を行うものだという。「今後国会において審議し、これらの法律案の速やかな成立へ向け努力していきたい」と述べた。・全日展の不正問題、厳正な対処で再調査も 全日展の不正問題で、主催者である全日展書法会から2月28日に提出される報告書の内容を確認したうえで厳正に対処していくとし、「十分な回答が得られない場合には、弁護士などを含む第三者委員会による再度の調査を求めることもあり得る」と述べた。・世界記憶遺産である「アンネの日記」は人類共通の文化遺産 アンネの日記などが破られた事件で、これまでに被害が確認されたものは都内8自治体の38館、少なくとも計308冊にのぼり、神奈川県横浜市の2館の図書館でも同様の被害が2冊確認されている。「アンネの日記」は中学校の歴史の教科書に掲載されており、学校で子どもたちにも教えられているとともに、多くの国民に読まれている書物であり、このような本を破損することは決して許されるべきことではないとコメントした。 同書は、ユネスコの世界記憶遺産に登録されているように、ナチスのユダヤ人迫害という二度と繰り返してはならない痛ましい出来事を後世に語り継ぐ人類共通の文化遺産とも言うべきもの。これを棄損する行為は多くの人々の心を傷つけ、決して許しがたい犯罪であり、多くの日本国民が今回の事件については憤りを感じているだろうと述べた。 現在、警視庁において捜査本部を設置し捜査が進められており、古屋国家公安委員長も警察に対し徹底捜査を指示したところ。また、都内の図書館でも関連図書を職員の目の届きやすいカウンター周辺に移すなど対策を講じているという。なお、2月27日にイスラエル大使館から被害にあった図書館に対し、「アンネ・フランク」に関する関連図書が寄贈されたことに「心から感謝申し上げる」と述べた。