司法試験予備試験、法科大学院の7割が懸念…存続への影響大

 司法試験予備試験について、7割以上の法科大学院が懸念を抱いていることが、文部科学省が実施した調査結果から明らかになった。

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司法試験予備試験に関する法科大学院の調査結果
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  • 法科大学院(文部科学省HP)
 司法試験予備試験について、7割以上の法科大学院が懸念を抱いていることが、文部科学省が実施した調査結果から明らかになった。

 司法試験予備試験とは、法科大学院を経由しない者でも法曹資格を取得できるよう2011年から設けられた試験。予備試験の合格者は、法科大学院修了者と同等の資格で、司法試験を受験することができる。

 法務省によると、2013年の司法試験では全合格者2,049人のうち、予備試験合格者は120人。合格者数を受験者数で割った合格率では、法科大学院各校を抑えて、予備試験合格者がトップの71.9%だった。

 これに対して、司法試験の累積合格率が全国平均以上の15校の法科大学院の合格者は141人、全国平均の半分未満の23校の法科大学院の合格者は2人だった。

 今回の調査で、予備試験に対して懸念を回答した大学は、法科大学院73校中54校(74%)。司法試験の累積合格率が全国平均以上の大学15校に限ると、12校(80%)が懸念を示した。

 自由記述では、「予備試験の受験者数の増加と反比例して法科大学院の入学試験の受験者数が減少している」「予備試験の併存で、在学生が予備試験の受験準備を行い、法科大学院教育の深化を妨げている」「優秀な学生は予備試験を選択し、法科大学院は一部の上位校への合格者の吸い上げが加速し、閉校を余儀なくされる法科大学院がますます増加する」など、法科大学院の存続や教育活動に与える影響の大きさが数多く指摘された。

 調査結果は、2月24日に開催された中央教育審議会大学分科会の第60回法科大学院特別委員会で公表された。
《奥山直美》

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