【大学と就職】保護者の7割が誤解? 「就職留年に反対」はきわめて危険

 「就職留年」という言葉がある。簡単に言えば、内定が出なかった学生が、学校を留年して、就職活動をもう一度やり直すことだ。保護者の中には反対の声も多いが、今回はこの就職留年を軸に、内定が出なかった場合にどのような道を取るべきなのかを見ていきたい。

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◆「新卒」と「既卒」では天と地ほど違う

 ここで、「新卒生」であることが就職活動にもたらすメリットをいくつか列挙する。

1. 現状の能力ではなく、将来の可能性で評価してもらえる
2. 説明会などのセミナーが開かれる
3. 中途採用の応募者と採用枠を争う必要がない

 既卒者のデメリットは、言わばこの逆である。採用枠を中途採用の応募者と争い、説明会などもほとんど開かれない。

 応募する案件は中途採用枠となるため、すでに社会人経験のある人たちと内定を争うことになる。雇用情勢を鑑みてか、「未経験歓迎」「第二新卒歓迎」と謳う求人も多くはなったが、応募してくるのは未経験者や第二新卒だけに限らない。すでに能力を持っている経験者も応募してくる。

 最近では、既卒者も「新卒」とみなして採用活動を行う企業も少なくはない。有名な就活ナビサイトである「リクナビ」にも、既卒者向けの「リクナビダイレクト 既卒版」が登場した。しかし、既卒者の就職活動が新卒者と比べて厳しい現実は、あまり変わっていない。

 「新卒」という看板を背負えることで得られるメリットは多い。逆に、その看板を手放すことになる、未就職のまま卒業するという選択肢は(就職活動のやりやすさという点から見れば)かなり危険である。

 また、就職活動を継続するためだけに大学院や専門学校へ進学するのも、あまりお勧めできない。(進んだ先にもよるが、通常)大学院は学部生時代よりも忙しくなるため、就職活動に割ける時間は少なくなる。

◆(就職)留年は必ずしもマイナスに評価されるわけではない

 感覚値だが、(就職)留年は採用上、そこまでマイナス評価にならない。就職留年に限って言えば、「1回目の就職活動は正直甘かった。だから、もう一度、本気でやり直そうと決意した」と素直に言ってくれる学生は、企業にもよるが大抵は好印象だ。

 1回目の活動の反省を踏まえて、2回目はどのような点を意識して活動しているのか、そうした本気度が伝われば、採用担当者も就職留年をネガティブには捉えない。

 このように、「就職活動のやり直し方」に関して、保護者は誤解している面が多い。今一度、就職活動の現状についてしっかり調べていただければと思う。

<著者紹介>高嶌悠人(キャリアコンサルタント)
 慶應義塾大学法学部政治学科卒。株式会社電通を経て、教育系ベンチャー企業の株式会社ガクーに入社。そこでは新卒学生を対象とした就職活動支援スクールの運営に携わってきた。現在は独立し、高校や大学、塾、予備校などでキャリアをテーマとしたセミナーなどを開催したり、メディアにてキャリアに関するコラムなどを書いたりしながら情報発信している。著書に、「人気NO.1「内定塾」が教える エントリーシート 履歴書の書き方(高橋書店)」や、「これだけ覚える!一般常識&最新時事(高橋書店)」、「人気NO.1「内定塾」が教える!今までなかったエントリーシート 履歴書の文章講座」などがある。
《高嶌悠人》

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